『ソラニン』が刺さる世代に向けた、「消耗」の正体について(2)

満員電車で、人混みで、溢れる仕事で、人は「消耗する」と口にする。前回は、「消耗の正体」について書いたので今回は、「なぜ消耗するのか」ということについて考えてみる。

そもそもなぜ、人は消耗してしまうのか

前回の言葉を使うのであれば、「なぜ、夢を描いていたあのころの自分と、現在の自分に差があるのか」ということについて考えるとよいのだろう。

まず結論から言うと、その理由は日本人の「空気を読めてしまう力」にある。順を追って説明しよう。

ヒトは学び、さまざまな環境に"慣れる"ことができる生き物だ。その環境への適応能力は、衣類・道具・住居の使用、高度な情報伝達能力など、生物学の観点からみても、ピカイチだといえるだろう。なんでもどうにかして食べようとするし。あのナマコですら好んで食べるのだ。誰が最初に食べようって言ったんだアレを。美味しいものいっぱい見つけてくれてありがとう本当に。

前置きはさておき、とにかく人は、慣れることができる。そこで問題なのは、「消耗に"慣れた"人の多い環境に適応してしまうこと」だ。

「空気を読めてしまう」という能力

そもそも日本人という民族集団は、この環境適応能力が高い。そしてそこには、この民族ならではの「受動性」と「空気を読む」力にあるのではないだろうか。

言語をベースに考えてみてほしい。日本語は本来、中国から伝来した漢字より生まれた。日本人の、来るもの拒まずの受動性が垣間見えるワンシーンである。

その際、ただ伝わった言葉を使うだけでは飽き足らず、漢字に「訓読み」という概念を加え、もともと日本に存在していた話し言葉、いわゆる「大和言葉」を漢字に適応させるという、荒業を果たした。「山(サン)」という漢字に、大和言葉の「やま」という意味も与えたのだ。富士山を「ふじサン」と読もうが「ふじ(の)やま」と呼んでもよい。

そして日本人は、それらの文字を用途に応じて使いこなす。例えば「熊」という字は動物としての熊を表し、「クマ」とは生物分類上のクマ科を示す。熊本県のマスコットキャラクターはひらがなの「くま」モンだ。

これらの文字を解読するために必要となるのが、「文脈を読む力」。この力がDNAに刻み込まれ、転じて「空気を読む力」に結び付いているのではなかろうか。

『ブレードランナー 2049』の監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴ氏の作品『メッセージ』において、「新たな言語を習得すると考え方が変わる」という話があった。「サピア・ウォーフ仮説(言語相対性仮説)」ともいう。日本人は、日本語を理解し、使い続けていることによって、「空気を読む力」が非常に高くなってしまっているのではないだろうか。

つまり、消耗してしまう原因は、日本人という稀有な「文脈(空気)を読めてしまう力」、そして外からの影響を「受動する性格」にあるのではないか、という話だ。それゆえに、先に問題として挙げた「消耗に"慣れた"人の多い環境に適応してしまう」という事態に陥ってしまうのである。

しかし、これは朗報だ。仮説ではあるが、消耗の原因を突き止めることができた。では反対に、どうすれば「消耗」とうまく付き合うことができるのだろうか。次回は、まさに試行錯誤している、わたし自身の体験と重ねて説明していきたい。

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