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呼吸器疾患や心血管疾患患者さんにとってスマホアプリを使用したリハビリは有効か

こんばんは。
今日もアクセスしてくださり、ありがとうございます。

21時からwebで会議をし、その後記事を書いております。

今日はアプリを使ったリハビリのご紹介です。
韓国のもののようですが、非常に興味深いので、ぜひ見てみてください。


抄読論文

Chung C, Kim AR, et al.
Smartphone application-based rehabilitation in patients with chronic respiratory and cardiovascular diseases.
Sci Rep. 2024 Feb 6;14(1):3018.
PMID: 38321153; PubMed. DOI: 10.1038/s41598-024-53583-2.
慢性呼吸器疾患および心血管疾患患者におけるスマートフォンアプリケーションを用いたリハビリテーション
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【アプリを使ったリハビリプログラム】

慢性呼吸器疾患や循環器疾患は、世界中で重要な脂肪および障害の原因となっています。
肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、下気道感染症、虚血性心疾患は50歳以上の障害調整生命年数の上位にランクインしています。

呼吸リハは運動、行動変容、教育を通じて、身体的、心理的要因を改善するものです。心臓リハは運動、服薬、教育などを含む包括治療の一部であり、死亡率の軽減や生活の質の向上などに寄与するとされています。

効果は示されてきているものの、問題となるのは施設(病院等)で行うプログラムに参加することが難しいということです。
在宅で行うことができると有効であると考えますが、そのためには多くの障壁があります。

それらを改善し、在宅プログラムを行った報告では、良い結果に結びついているものも少なくありません。

本研究では、スマートフォンアプリケーション(スマホアプリ)を用いたリハビリテーションプログラムにより在宅支援の活動やテレリハビリテーションの代わりとなるのではないかと考え、アプリを作成するとともに検証しました。

【方法】

参加者は慢性呼吸器疾患はmMRCの息切れスコアが1以上、循環器疾患はNYHA分類が1以上の患者で、提起的に薬物治療を受けているものとした。


スマホアプリはLifeSemantics Corp.によって開発されたもので、Androidプラットフォームで開発されました。

1日の合計の運動記録が表示され、毎日の運動スケジュールがメニューで表示されるようになっています。
また、RPEスケールが表出され、それに応じて運動プログラムを選択できるようになっています。
時間経過タイマーと歩数カウンターが表示されます。

これらのアプリを使用して、12週間運動を実施したのちにアウトカムを再評価して、比較した。

【結果】

慢性呼吸器疾患の患者に対して、スマホアプリでの運動管理を行った結果、VO2peak、CAT、EQ-5D-5L、HINT-8、FEV1、FVCで有意に改善が見られた。


循環器疾患患者に対しては、VO2peak、運動時間、METs、EQ-5D-5L、HINT-8で有意に改善が見られた。


運動のアプリで問題となるのは、運動の遵守であり、その遵守の度合いもアプリにて確認することができた。
その結果、VO2peakは呼吸でも循環でもどちらも改善は得られるものの、プログラムを遵守したもの、していないものに分けてみた場合、呼吸では遵守していない群では改善が低いという結果となった。

【考察】

本結果から、スマホアプリを用いた、リハビリテーション、運動の促進は図ることができ、効果として示すことができた。
これにより、リハビリテーション施設に行って、プログラムを施行することにこだわらずとも、運動を促進していくことが可能であるということが示された。

一方、呼吸器リハビリでは遵守率が大きく影響したのに対し、心臓リハでは影響が少なかった。
これは、プログラムの違いということに着目すべきであり、内容を見直していくことが必要であろう。

スマホアプリの使用ということは日常的に馴染みやすいものである。
それによって、運動の促しが得られたということに非常に興味深い結果を感じる。

【どのように活用するか】

このプログラムで最も興味深いことは、運動の内容ということではなく、運動を行うということを促すことができたという結果である。

つまり、このアプリがすごく優れていて、たとえば、フィジカル面から運動項目がたくさんあるもののうち、適切なものを選択して、提案してくれるとか、いろんな計算をして、効率の良いプログラムを設定するとか、そういうことができるものではないということである。

ただただ、運動を促すことができるツールとしてスマホアプリは有効であり、運動することによって、VO2も向上するし、呼吸器疾患のスコアも向上する。
運動をすることで、METsも向上し、生活の質も向上するという結果になっていると思われる。

このように「何をするか」というよりは「どれだけするか」という視点を追求できたのが、このアプリの成果なのではないかと思う。

それでも運動を促すことができたのは間違いない、今後このようなアプリとして、どれだけ運動を管理できるかというったことが重要になると思うし、それを実現できるよう働きかけていきたいところである。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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