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慢性腰痛を非特異的と結びつけるのはどうか?

こんにちは、今日は少し変わった視点の論文を。
慢性腰痛って近年、非特異的腰痛として扱われることが多くなってきて、認知面への介入など機能的な面から離れていってる可能性があります。
それに警鐘を鳴らすような論文がありましたので、ご紹介


抄読論文

Nicodemus CL, Sikorskii A, et al.
Revisiting chronic low back pain: evidence that it is not non-specific.
J Osteopath Med. 2022 Nov 29;123(3):143-149.
PMID: 36448422. PubMed. DOI: 10.1515/jom-2022-0092.
慢性腰痛の再検討:非特異的ではないという証拠
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要点

【はじめに・目的】

本研究は慢性腰痛が非特異的とされてきた従来の見解に疑問を投げかけることにある。(論文でこんな言い方するのはセンセーショナル!)

慢性腰痛でも腰痛のパターンには共通性があり、非特異的なものではなく、実際は特定の原因を有していると考える。
これまでの報告の多くでは、非特異的が前提とされており、その結果、治療が焦点化されず、慢性腰痛の有病率に顕著な変化は見られなかったとの報告もある。

本研究では、慢性腰痛は腰仙骨関節システムの機能不全が引き起こすものということを仮説として、関連を調査することにある。


【方法】

慢性腰痛患者252人を対象に仙腸関節機能ふぜんとそれに関連する7箇所の主要な痛み発生構造の存在を評価した。


後方視的な調査で、仙腸関節不安定性の有無を確認し、それに付随して、7箇所の圧痛の有無を調査している。

その割合をχ2検定で解析し、仙腸関節不安定性有無に対して、7箇所の関連を多変量解析で解析している。

【結果】


仙腸関節機能不全と腸腰靱帯部、大腰筋部の圧痛有無は関連が強く、影響も高かった。
腸腰靱帯や大腰筋の圧痛を生じていると仙腸関節機能不全を生じているという可能性が高まることになる。

【考察】

結果から、仙腸関節機能不全が慢性腰痛を引き起こすことにつながると解釈している。(実際は、考察が飛躍しすぎの感はある。。。)

考察からは、慢性腰痛が非特異的なものではなく、腰仙骨領域の神経筋骨格制御システムの乱れによって引き起こされる症候群であると述べている。
(正直、あまり意味は理解できない。。。)

結果から腸腰靱帯と大腰筋という腰椎と骨盤を連結する組織の要素が強く選択されたのは興味深い。
直接の仙腸関節部の靱帯である、仙結節靱帯等ではなく、腸腰靱帯というところが重要かと思う。
仙腸関節の機能不全が影響を及ぼしているのか、腰部からの不安定性が仙腸関節に影響を及ぼし、腰痛につながっているのかは不明であり、この点も本論文では考察されていない。(この点が重要かと思うが。。。)

どのように活用するか

結論から言うと、着眼点は面白いが、統計解析や方法論から判断して、本論文からは慢性腰痛が非特異的なものではなく、仙腸関節機能不全に由来するものであるという結論は飛躍しすぎである。

着眼点は非常に面白いし、自身も非特異的と言うところに進んでいきすぎるのはどうかとは思う。
しかし、それを否定するだけの根拠が本結果や、解析から得られるかというとそれは難しい。

しかし、圧痛点が腰部と骨盤を連結する組織に集中していること。それが仙腸関節機能不全と関連していると言う事実は受け入れることができる。

仙腸関節に着目すると同時に、下部腰椎と骨盤の連結、大腰筋の賦活などが腰痛に対して有効であるという可能性は示されたかと思う。

これらを活用して、治療に活かしていければいいかと思う。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。



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