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令和デモクラシーに必要な3つの概念① 〜CSV(共有価値の創造)〜

令和4年ももうすぐおしまい。新年を迎える前の1年の締めくくりにこれまでの流れを俯瞰して節目として考えるようにしています。
戦争や暗殺など暴力による現状変更や強制的な統制が横行し始めた令和時代。暗黒の時代にならないように今一度、本質的かつ成熟した民主主義を取り返すべく、重要なキーワードを紐解きながらこれからの私達の選択について考えてみたいと思います。私が重要視している3つのキーワードから今日はCSVについて考えてみます。

令和モデルに欠かせない3つの概念
・CSV(共有価値の創造)
・タレンティズム(才能主義)
・サーキュラーエコノミー(循環型経済)

CSVとCSRの根本的な違い

よくCSR(企業の社会的責任)と混同されるのですが、CSVは全く違う概念です。CSRは営利企業が儲けた収益の1部を社会に対して還元することで、社会的責任を果たすべきだとの考え方が主流になっています。収益が上がらない、法人税を払えない企業には取り組みにくい、もしくは果たせない責任となっています。また、日本の企業の70%が赤字企業であることを考えたら、実質は大きな収益を上げる大手企業だけに対する責任の押し付けになってしまっています。
それに対し、CSVは共有価値の創造を事業本体で行うべき。との事業所のあり方そのものについての変革を提言しています。事業を推し進めることで、社員や顧客、地域社会や地球環境にとっての共有価値を生み出すことができれば、当然マーケットから支持されるようになり収益構造も改善されます。CSVとは方法論ではなく、あり方を見つめ直す概念なのです。

CSRではなくCSV

近年、CSR (企業の社会的責任)が取り沙汰されるようになり、大企業では納税を果たし、内部留保をたっぷり蓄えた上で、収益の一部を社会に還元するようになりました。しかし、経済活動の中での収益を上げるプロセスで、労働問題や環境問題など、様々な問題を企業自体が生み出してしまっている現実があります。日本を代表する企業であるユニクロが人権問題で物議をかもしているウイグル地区にて低コストでの製品の生産を行っていることが問題になったのがその例です。安い賃金で労働させて価格競争力をつけた大手企業がマーケットを寡占化して、大きな収益を上げる、この構図が繰り返されたせいで、世の中に社会課題が山積するようになってしまっています。収益のごく1部をボランティア団体に寄付した程度では、課題解決につながらず、問題はさらに深刻化していってしまいます。CSRの枠組みの中では、企業価値と株主価値の最大化を図るのが事業計画のベースになっており、格差の拡大と分断が加速する仕組みになってしまっているのです。

CSV経営が生み出すもの

そんなCSRに対して、CSVは本業そのもので、社会に存在する課題を解決し、社会全体での共有価値を作り上げることを事業計画に盛り込む考え方です。このように書くと非常にハードルが高いように感じるかもしれませんが、地域企業とは、そもそも地域に対して価値提供を行っている事業所です。本業そのものの精度を高め、本質的な価値を提供できるように、ブラッシュアップを繰り返すことで、多くの顧客から支持を集めることに繋がります。そしてそれはそのまま地域での共有価値となるのです。その意味では、CSVは何も新しい概念ではなく、本質への回帰を示唆している考え方とも受け取れます。ちなみに、私が代表を務めている株式会社四方継では、20年の歳月をかけて共有価値の創造に継続的に注力してきました。

CSVとは三方良しの日本式経営

そもそも、日本では、企業は社会の公器であり、社会的価値を生み出す存在であらねばならない。との価値観が広く浸透しています。戦後の経済成長以降、欧米式の短期決算方式が広く採用されるようになり、毎年の株式配当の額が企業の価値の指標となってしまい、その結果、近視眼的な経営をする事業所が圧倒的に増えました。しかし、大きな収益を上げ、内部留保を積み重ね、毎年、株主に配当を出すだけが良い企業の指標ではないことを誰もがうすうす感づいています。株主資本主義経済での企業の寿命が30年と言われる中、長寿企業は、やはり世の中に対して金銭だけではない価値を提供している企業であり、そして200年以上続く超長寿企業の大半は日本に存在します。三方良しに代表される日本型経営に時代の要請が向かっていると思うのです。

http://sanpoyoshi.net/

CSV企業と共同体の再構築

もし、世の中のすべての事業所がCSV経営に取り組むようになれば、自社の経済活動で社会課題を生み出すことよりも、世の中が良くなるスピードが早まることになります。また、それぞれの地域で良い事業所だと認知されることで、市場から支持され、安定した収益構造を構築できるようになり、企業の持続可能性も高まります。おのずと地域や社会の持続可能性も担保されるようになります。先行き不透明で閉塞感に満ち溢れた今の社会で将来への希望を見出し、明るい社会を作り上げるには、まず地方の小さな事業所がCSV経営に取り組み、そんな企業同士が連携し、共同体を再構築することだと思うのです。

未来創造企業

本業で社会課題を解決し、地域やそこに住む人たちとの共通価値を創造する、未来を作る企業が、日本の地域企業のスタンダードになれば、日本はもっと住みやすく美しい良い国になりますし、社会課題解決の先進国として、世界に大きくリードし、世界をより良い社会システムの運用へと牽引していく立場になると思います。少し大げさですが、世界平和を実現する種は、三方良しを標榜する日本の地域企業にこそあると思うのです。
そんなCSV経営に取り組む企業を認定する制度があります。日本最大のシンクタンク、日本創造研究所と日本未来企業研究所が編纂した87項目もの指標をもとに、未来を創る企業、未来創造企業としての認定を出しています。私は、令和モデルの企業の指標として、この認定が欠かせないと思っています。すべての地域企業はできるだけ早く認定を取られることを強くお勧めします。令和のデモクラシー、21世紀の民主主義は地域企業のビジネスモデル改革と同時に進めて行くべきだと思うのです。

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CSV経営に取り組む企業であることを第三者機関から認定されることはそれだけで大きな価値になります。

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