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投げられた矢に刺さって流血するかしないかの違い


知らない爺さんが主任と
こちらの通路に向かってやってきている

爺さんは何やら鬼の形相で
怒り狂っている様子

植物たちに
水をあげていた私

慣れない出勤シフトで
半分寝ぼけていた矢先のことだった

ああまた何かクレームかな
主任もあんなにペコペコしちゃって
大変そうだな

同情心で眺めていると
爺さんは
なんと私めがけて
やってきたのだ

「▲お※○〜!9:30分〜□う▲!!
 ※r〜◎×〜!その態度は〜※!」

ファッっっっつ!?!?!?


ああ思い出した
この爺さん
開店前に外の花苗売り場で
すれ違ったんだ

そのときは
確か「まだ開かないのか」と聞かれて
私は「9:30からです」と答えたら
その後何事もなくすれ違ったんだ

え?
なんでこんなに怒ってるの?

目をまん丸にして
私よりも5cmくらい背の低い爺さんの顔を
眺めていた

何やら私に文句を言いたい
ということは伝わってきたので
とりあえず「すみません」と
謝っておいた

「返事せろっ!」
「お前の給料は売り上げの
何%かによって変わるんだろっ!
もう俺はここで買い物せんからなっ!」
「なんだその態度はっ!」

かろうじて聞き取れた一部を
抜粋するとこんな感じである

ありとあらゆる罵りの言葉を
吐き捨てたその爺は
どしどしと歩いて行った
相変わらず主任はペコペコしながら
ついて行った

ポカーン

肝心の
怒り狂う原因に全く身に覚えがなく、
尚且つ
方言が酷すぎて聞き取れない

なんだこの感覚は


まるで矢が飛んできたのに
見えないベールが
私を守ってくれているような、
あるいは宇宙人と話したような、

そんな気持ちである

自称傷つきやすい、私

先日も自分の不手際ゆえのミスにより
先輩からお説教を受け
数日間もの間
ずるずると落ち込んでいたばかりだった

相手から向かってきた矢に
身に覚えがあるとあんなに血が流れたのに

わけわかめだと
こんなにも響かないものなんだ

つくづく
自分は外の地域からきた人間であるという現実に
感謝を抱く日であった


ちなみに
爺の怒りくるった原因を
後で主任に聞いてみたところ

「自分は常連なんだから
開店時間くらい分かっとるわ!
いちいち言うなぼけ!」

そんなん知るか〜〜〜い

そしてそれに同乗した主任からは
試供品をもらった


自分の思いどおりにならないと
怒り狂う人間になるのか

すっと落ち着かせる人間になるのか

爺にもいろんなタイプがいるということを
改めて感じる
アルバイトdayである

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