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遠い日の乳『首』

あれは渋谷のスポーツジムで走っていた夜。

トレッドミル(ランニングマシン)にはそれぞれテレビがついているんですけど、リモコンを向ける方向が甘くて他のテレビのチャンネルを変えちゃったり、変えられちゃったりすることはよくあるんですね。

その夜も、隣で誰かが走り始めたらすぐに私のテレビのチャンネルが変わっちゃって。1回目、2回目は黙っていたんですけど、3回目にちょっと注意させていただこうかなと「あのぉ…」って隣を見たら、見まごうことなき西島秀俊さんだったんですよ。

こんな感じのプライベート秀俊


背がバーンと高くて、細部まで強く美しい男性の形をした体で、なにより顔面がパーフェクトでねぇ。上下、黒のスウェット姿でしたけど、肌の白さが際立って透明感がすごかった。
西島秀俊さんのことは「カッコいいとは思うけど好きなタイプではない」なんて偉そうにも思っていましたけど一転、一瞬で愛が爆発しましたね。

もう、アタシ、秀俊にならチャンネルなんてどれだけ変えられてもいいよ。っていうかむしろこのまま秀俊の隣で、永遠にチャンネルを変えられ続ける、そんな人生を歩みたい。でもね、アタシ、相手が芸能人だからって態度を変えるような人間だって秀俊に思われるのはイヤだったんだ。だから勇気を振り絞って言ったよ。「あの、申し訳ないんですけどリモコンを真っ直ぐテレビに向けていただけますか?こっちのテレビが反応しちゃってまして…」。そしたら秀俊ってば「ああああ!すみません!」ってすごく焦って、それから低姿勢にお詫びしてくれて、さらに「これなら大丈夫ですか?これで変わってしまっていませんか?」って何度も確かめてくれたよね。アタシはリモコンを押す秀俊の指を見つめながら妄想の中で抱かれていたよ。「これなら大丈夫?ここは痛くない?」なんて尋ねながらその長い指でアタシの体を優しく弄る、そんなあなたに。

ねえ、秀俊。

もしもあの時あなたが「お詫びに何か…」なんて言ってくれたら、たぶん、アタシ「ギュッとして…そばにいて」ってこたえちゃっていたと思うよ。うん。マジ卍。

…そんな西島秀俊さんのなめらかに盛り上がった美しい胸筋と、その頂点に君臨するちょっと濃いめの乳首が堪能できます。

北野武監督作品『首』


織田信長(加瀬亮)の時代から、本能寺の変を経て、山崎の戦いで豊臣秀吉(ビートたけし) が明智光秀(西島秀俊)を下して天下をとるまでのドラマが北野武ならではの想像力で進んでいきます。

「NHKの大河ドラマでは描かれない歴史ドラマを描きたかった」

何かで北野武がそんなことを言っていましたが、男色あり、裏切りあり、コントみたいなバカ話あり、部下の命なんてなんとも思っていない権力者がいて、首がバッカバッカ飛びかって、でも観ているうちに人間なんて、歴史なんて、実はそれほど大層なものでもなく、実はこんなものだったのかもしれないなー、と私には思えてきました。

ヤクザの世界を描いても戦国時代を描いても北野武のバイオレンス映画って、どことなく「こんなくだらないことに命かけて、人間って馬鹿だろ?(=だからこんなことしちゃいけないよ)」と言っているような気がして好きです。

まあ、でも、そんなことより私にしてみればこの映画は、もしも渋谷のあの夜が、何かがどうにかなってさらにどうにもこうにもならなさそうなことさえどうにかなっていたそんな夜だったならば、秀俊のこの厚い胸板と乳首は今ごろ私のものだったかのしれない(完全ノイローゼ)なんて、遠い日の花火を想うようにスクリーンを見つめる、そんなスイートな時間でした。

よかったら、みなさんもぜひ。

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