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映画でしか見たことのないような雰囲気の

浜松カギヤビルの一階の、とある喫茶店へ行った。
最近はそこの本屋さんのオーナーであり写真家の若木さんが世に広めてくれているみたいで若い客が半分くらい増えたそう。でもみんな雰囲気だけを求めに来るのかうちの後に入ってきた若い女子なんかは、話さないでくださいオーラを出したまま奥でiPhoneをいじってるだけだった、こういった場がただのインスタスポット化してしまうのは悲しく感じた。
うちはカウンターに座ってミルクティーと焼きそばを頼んだ。おばあちゃんとの会話は初対面じゃないみたい。小さい頃からおばあちゃんって、周りに居なかったから懐っこい感じがまた嬉しい。

初めて入ったのに「金柑煮たのあるけど食べる?」って出してくれた。最近この辺じゃ風邪が流行ってるから、風邪予防ねって。店内を見渡しても「風邪予防、レモネード」の貼り紙がたくさん。素敵マダム、浜松の流行に乗っている。
常連のじいさんが入ってきてや否やビールを飲みながらテクノロジーについて語り始める。
しばらくして素敵マダムは「大根持ってく?」なんてじいさんに言って、じいさんは「ぼくんちにもあれたくさんあるけどいる?」なんて言って。やあ、いい関係だねじいさんばあさん。じいさんはそこにもう3年通っているそう。もっと長い付き合いのようにも見える。

「遠州弁ってんはやっぱ他所の人からするときつく聞こえるだってねー」全然きつくない遠州弁で言う。そうやってしてたら気付いたら結局3時間くらいマダムとじいさんと過ごしてた。

ここの喫茶店は常連客の数がすごい。一人帰ったと思ったらまた一人、みんな順番を待ってたかのように入ってくる。マダムはもちろんお客ごとのことをちゃーーんと知ってて、理解してて、メニューだって覚えてる。90近くのマダム、尊敬する。誰とだって会話が出来る情報の幅の広さ、マダムを見て見習おうとより思った。

「作家のねぇ能町みね子?がミルクセーキの本を書くためにここ来たってーの!でもあたしのお店13時からでその方来られた時まだ開いてなかったの」とマダム。お話を聞いてたら能町みね子とやらが本に書きたかったミルクセーキがあるらしい。そんな話を聞いたらそりゃミルクセーキを頼むんだ。ちょろみ。目の前で焼きそばもお紅茶もコーヒーもミルクセーキも、全部1からつくってる。コーヒーなんかはサイフォンで作ってる。感動。この時代に足りないのって、要はこういうことじゃない?次はクリームソーダが飲みたいなあ。

その後上の階にある行きつけの本屋さんに行ったら前に知り合った店長さんがいた。数年前一回立ち話しただけなのにインスタをフォローしてくれていて、うちが転々としてることも知っている。笑 「お久しぶりだねー!」と会話に花を咲かせて、普段飲まないブラックコーヒーを飲みながら、いつものように写真集を漁りながら、お喋りしながら、気付いたら2時間くらい居た。

なんて至福のひととき!

途中とある高校の写真部がお店にゴワーっとやってきて、顧問の先生とまたお話に花咲かせまくる。フリーでこんなことやってます、なんて自己紹介したら「うちに来て教えて欲しいくらいです」と言ってくれた。生徒さんたちは浜松では見たことのないピンクとグレーのチェックのスカートを履いていて、熱心に本屋さんの写真をパパラッチのように連写。

上の階の陶器の個展を経営するさんがやってきて、その方ともまた話していたら少し仲良くなって、ふらふらしてたら明日オープンする個展を「見ますー?」ってチラッと見せてもらった。定期的にアーティストは変わるけど、いつも陶器らしい。きれいに艶めくお皿やマグが並んでる。本屋さんの店長さん、寂しくなったのか「なんか声がして」と本屋さんそっちのけでやってきた。

ここまでまるで、穏やかな映画の世界を過ごしたよう。深夜食堂が近い。

浜松は昨日大雨、今日はカンカンに晴れて、浜松らしい風がビュービュー吹いてる。寒 浜松のひと(友達ではないひと)たちと一日中こんなにもたくさん触れ合えて嬉しい。絶え間なく喋った

カギヤビルはやっぱり面白いひとの集う場だと感じる。なによりも応援したい気持ちで今日は本を2冊、コーヒー1杯、ミルクティー1杯、ミルクセーキ1杯、焼きそば1皿、いただきました。

浜松やっぱり好きだなあと痛感した一日

2019/02/02

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