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コインランドリーのあの匂いがたまらない

コインランドリーのあの匂いが好きだという人は多いはずだ。
僕はどうかと言うと、すごく好き。そして嫌いな人なんてきっといないだろうくらいに思っている。
けれども先ほど試しにGoogleでコインランドリーと入力してみたら、「匂い 好き」よりも「匂い 嫌い」の候補が上位にいた。

ああ多分何かの間違いだろう。
というよりあの匂いが好きな人は、きっといちいちそれについて主張したりせず、コインランドリーに入るたび静かにその幸福に体を震わせ、コインランドリーの前を通るたびにその匂いに惹かれて思わず用もないのに中に入りたくなるような、そういうむっつりスケベみたいな人たちなんだろう。
そうだとするとこうやって真面目に記事を書くなんて以ての外なんだろうとは思うけれど、僕はむっつりではなくオープンなスケベでいたいので書きます。

どうして好きなんだろうと理由を考えてみたときに、まずは当然出てくるのが単純にあの匂いが好きだということだ。
洗剤そして柔軟剤の匂いが混じったあの空間。
空気は乾燥機のせいか少し温度が高く、そして乾いている。
出来上がった洗濯物の温かさとか、大量の洗濯物が一気に処理された達成感とかそういう空気までがあの匂いに含まれているような気がして、とても幸せな気持ちになる。
そして同じように洗濯が終わるのを待っている人についつい話しかけたくなるようなそういう匂い。

あと僕にとってコインランドリーがある場所も関係していそうだ。
僕は銭湯が好きだ。
昔は銭湯に併設されたコインランドリーが多かったから、コインランドリーの匂いはときに銭湯の匂いでもあった。
入り口を入る前に香ってくるその匂いは銭湯へ来たんだということを教えてくれた。
そして帰りのそれは風呂上がりの清潔感の象徴だったように思う。
少し暗くなり始めた町に出て、その匂いを目いっぱい吸い込んで、また早く来られたらいいなと家路についた。

ところで最近はコインランドリーも随分様変わりしていて、インスタ映えしそうなおしゃれなコインランドリーも登場している。
東京の学芸大学にこの春オープンしたFREDDY LECK sein WASCHSALON (フレディ レック・ウォッシュサロン)TOKYOは一見するとまるでカフェのようで、そして実際にカフェも併設している。

清澄白河にあるおしゃれアパートにも「ワールドネイバーズカフェ」というカフェが併設されているが、ここにはさらに最新設備を導入したコインランドリー「SoLiquid」が併設されている。

もはやコインランドリーは一人暮らしの人たちが仕方なく行く場所ではなく、行きたいから行く場所になっているのだ。

コインランドリー事情は世界に目を向けるとさらにおもしろい。
アメリカのポートランドにはクラフトビールまで飲めてしまうコインランドリーがあるのだ。

コインランドリーの香りの中で飲むクラフトビール!!!
想像するだけで幸せなその空間!!!
こうなるともはや洗濯はコインランドリーへ行く”ついで”にするものだ。

日本のコインランドリーでもクラフトビールを置く店舗が出始めた、もしくはこれから出てくることが以下の記事からもうかがえる。

2017年に始めたタップ・マルシェで提供するクラフトビールは、当初の8種類から25種類に増加、うち6割をキリン以外の醸造所が占める。設置箇所も美容院やコインランドリー、フィットネスクラブなども含め7000店を超えた。

出典 日本経済新聞web | クラフトビール革命(4) 2019年8月1日

今増えているおしゃれコインランドリーも、ビールを飲めるコインランドリーも、きっとあの匂いに魅せられた人たちが思いついたに違いない。
僕はそんな風に思う。
あの匂いはついつい誰かと話をしたくなる匂いだ。
優しくて、そしてどこかノスタルジックで。
思わず誰かに語り掛けたくなるようなその匂いは確かにカフェやコミュニティスペースとの相性は抜群じゃないか。

各家庭にほぼ洗濯機が置かれていて、場合によっては乾燥機もあって、浴室には乾燥機能がついているようなこの時代に、大好きなコインランドリーがますます盛り上がりそうな予感をさせることは、僕にとってとても嬉しいことだ。

ああ、早く僕もコインランドリーで冷たいビールを飲んでみたいなぁ。

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