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アポを取るための外資系Cold Callのやり方

宮原です。

こちら初投稿になりますが、
表題の件でお届けいたします。



早速、表題の結論から。

【結論】Cold Callはスクリプトが命。

まずは、アポ獲得までの流れを整理してみる。

  1. ゲートキーパー(受付担当)の有無確認

  2. 受付ブロックの突破

  3. 信頼感を醸成 ~スクリプトに盛り込む4要素

  4. アポの獲得

ここで、参考までに業界特有の用語も確認。

【用語の定義】

  • 架電:電話すること

  • ゲートキーパー:受付担当

  • インバウンド:過去のマーケティング活動によって、既にお客様データがある活動の総称。

  • アウトバウンド:インバウンドの逆で、何も無いところからアプローチする活動の総称。

  • プロスペクト:マーケティングにおいては、サービスや商品購入が期待できる「見込み客」のことを指す。


1. ゲートキーパー(受付担当)の有無確認

ゲートキーパー(受付担当)の有無を確認することは、Cold Callにおいて、
最重要事項である。

とはいえ何も難しく考えることはない。
何故なら、あるリストにおけるゲートキーパーを突破できる確率は
変わることがない(注1)からである。

つまり、ゲートキーパーを突破するためのスキルは、
属人的になり得ない要素である。

誰がやっても結果が変わらないため、
割り当てるリソースは最小限に収めたい。
メンタルを正常に保つためにも、「ゲートキーパー突破は確率論」
というマインドを持って架電をかけ始めることが、大事なのである。

では、何故ゲートキーパー突破にはスキルが不要なのかを考えてみる。
まずは、我が国におけるゲートキーパーの属性を以下にて確認したい。

  • 受付ブロック命系

  • 嘘つき系

  • 真実系

ネーミングに関して、世のゲートキーパー達にお詫び申し上げたい。
早速、以下にて解説していく。

▼受付ブロック系のゲートキーパー

文字通り架電してきた営業を「ブロック」するプロである。
そのため、あなたの声がどんなにイケボでも、
一寸の間も許されず、営業お断りの一点張り。
中には受付その道数十年というプロもいるため、
この種属に遭遇した際には、潔く可能な限り早く電話を終えよう。

▼嘘つき系のゲートキーパー

文字通り嘘をつく属性である。
「担当は今外出中でして」
「担当は在宅勤務で電話に出られません」
といった具合に、電話を繋がせない妥当な嘘をついてくる属性。
この属性に遭遇した際には、理由は何にせよ、
この嘘に逆上してはいけない。ネガティブ感情は、
その次の架電のクオリティに大きく影響してしまうからだ。

▼真実系のゲートキーパー

真摯に対応してくれるゲートキーパーである。
ゲートキーパーの突破においては、
この属性のみを対象属性とする必要があるのだ。逆にいうと、
この属性以外には時間を割いても時間の無駄である。

尚、参考までに架電先のリストにもよるが、筆者経験値による
それぞれの遭遇確率は以下に示した。

・受付ブロック命系:50%

・嘘つき系:25%

・真実系:25%

注1:
実際には、真実系のゲートキーパーを対象に、突破確率を上げる方法が存在する。具体的には次章の「2. 受付ブロックの突破」で紹介する。


2. 受付ブロックの突破

ここまでの話では、まだゲートキーパー突破の話しかしていない。

ゲートキーパーの突破ができて、ようやくCold Callが始まるのである。

では、ゲートキーパーを突破する確率を上げるためには何ができるのか。
ここでは、いくつかある方法の一部を紹介させていただく。

▼馴れ馴れしさを出す

馴れ馴れしさがあれば、新規の営業っぽさがなくなる。
いかにも、以前から取引していました感を出すのだ。

しかし、嘘を付いてはいけない。"それっぽさ"を演出するだけだ。

▼バイネームで呼びかける

受付担当も人間である。
(少なくとも2023年時点はまだAIではない)
受付担当が名前を名乗ったら、バイネームで反復して差し上げよう。

「はい、株式会社〇〇の佐藤です」に対しては、
「佐藤さん、いつもお世話になっております」
で返す具合である。

これは同時に、受付担当に責任感を植え付ることにも一役買う場合がある。

▼受付担当で判断不可な問いを投げる

あなたが新人だった頃を思い出してほしい。
電話対応で営業電話にお断りをしている時、
「プリンタ契約の件でお電話を差し上げております。」と言われれば、
一旦プリンタ担当に代わる必要があると思うのでは無いだろうか。

営業お断り系の受付担当でも、担当部門じゃないと分からない系の
質問を投げ掛ければ、案外繋がることもある。

▼既存事実を持ち出す

日経新聞に載っている人事情報や、会社のIR資料や中期経営計画の資料等、
架電前に準備できることは実はめちゃくちゃある。

その会社について知っていることが多ければ多いほど、
既存事実は持ち出し可能で、例えば関連会社と以前商談したことがあれば、
その事実をもとに、担当者への取次をお願いすれば、
それは受付担当としては無碍にできない問い合わせ内容となるだろう。

繰り返すが、上記は一例である。受付突破確率を上げるためには、
売り込む商材や業界によってもアプローチが異なるため、

あくまでも一般論として捉えていただきたい。

また、高度な架電となれば、プロスペクトをターゲティングし、
その上でスナイピングコールする方法があり、その方法じゃないと
アポイントが取られないプロスペクトが実は多く存在する。

しかし、本稿の一般的なCold Call内容とは趣旨がずれるため、
ここでは割愛させていただく。


3. 信頼感を醸成 ~スクリプトに盛り込む4要素

スクリプトで一番重要な要素はズバリ、「信頼感の醸成」である。

そもそも、信頼できない奴の話を、あなたは聞きたいと思うだろうか?
答えはNoだろう。

相手が話を聞く準備ができて、はじめて会話が成り立つのである。

実際に、2人の不動産営業のスクリプトを元に、
一体どのように信頼感を醸成させるのか、比較して見てみよう。

▼スクリプト~ダメな不動産投資営業の電話①

以下は、ダメな不動産投資営業からAさんへのスクリプト①である。

 いつもお世話になっております。 

 〇〇不動産の佐藤でございます。 

 突然のお電話にて大変恐縮でございますが、

 今少しだお時間いただけますでしょうか? 

-はい、少しだけなら 

 ありがとうございます。 

 この度は、投資戦略のご紹介をさせていただきたく

 ご連絡させていただきました。 

 実は、Aさんのご勤務されている〇〇社の社員様でも

 ご支援実績がございまして、お電話させていただいております。 

 不動産投資について、ご興味ございましたでしょうか? 

-まあ、なくはないですが、自分でも色々やっているので大丈夫です。

 なるほどですね。

 既に実施されている投資戦略もあると思いますが、

 来週で30分ほどお時間いただけませんでしょうか? 

 私どもの方から最新の不動産投資戦略について

 ご説明させていただきたく存じます。 

-あ、間に合っているので結構です。

-あと、忙しいので電話はやめてください。 

 承知いたしました。 

 突然のお電話にて大変失礼いたしました。 

 それでは、失礼いたします。

ダメな不動産投資営業 佐藤さんからAさんへのスクリプト①


▼スクリプト~イケてる不動産投資営業の電話②


以下は、イケてる不動産投資営業からAさんへのスクリプト②である。

Aさん、いつもお世話になっております。  

 〇〇不動産の佐藤でございます。  

 突然のお電話にて大変恐縮でございますが、

 今少しだお時間いただけますでしょうか? 

-はい、少しだけなら  

 ありがとうございます。  

 弊社は東京証券取引所上場の不動産投資戦略アドバイザー企業

 でございまして、お客様の利益の最大化、管理工数の圧倒的な削減、

 実現可能な投資戦略の実現
をご支援させていただいております。 

 外部機関からも日系〇〇誌で2022年トップのご評価をいただいて

 おりまして、おかげさまで国内上場企業の管理職レイヤー様1,000人

 以上へのご支援実績
がございます。  

 例として、日系大手自動車メーカの営業部長様では土地価格にして

 年率約2%の利回り資産運用
されると同時に、

 税金対策としても全体で約20%の節税に成功された事例がございます。

 この度は、先日AさんのLinkedInの投稿にて、先月にAさんが

 アジア営業統括のお立場に昇格された
ことを拝見しまして、

 そのインタビュー記事の中で「強い組織の形成には基盤となる適切な

 人事投資戦略が必要」とAさんが仰っておられる部
分に対し、

 仕事のみならずプライベートでも「投資戦略」にご注力されている

 ことと、誠に勝手ながら拝察
致しまして、是非一度不動産投資の

 国内外での昨今のトレンド、為替感、市況感等を鑑みた投資戦略

 の成功事例をご紹介をさせていただきたくお電話差し上げました。

 投資戦略を実際に実行するまでのコンサルサービスは全て無償

 なりまして、仮にご契約いただいた後も弊社のサポート部隊からの

 手厚いサービスがご提供可能
です。  

 Web面談の形で構いませんので、

 来週で30分ほどお時間頂戴できませんでしょうか? 

- 30分なら良いですよ。  

 ありがとうございます。  

 早速日程についてですが、来週の月曜日、 

 11/24日の19時〜でいかがでしょうか? 

-月曜の夜6時でどうです?月曜は在宅勤務なので、

-その時間だと助かります。  

 ありがとうございます。  

 月曜日の6時で承知いたしました。  

 後程、Web面談回線を送付させていただきますので、 

 Aさんのメールアドレスだけお伺いできますでしょうか? 

-〇〇〇〇〇〇〇〇@gmail.comでお願いします。  

 ありがとうございます。 

 後程、メールにて回線を送付させていただきます。 

 突然のお電話にも関わらず、ご対応いただきありがとうございました。

 それでは、後程メールにて失礼いたします。

イケてる不動産投資営業 佐藤さんからAさんへのスクリプト②

スクリプト②が勝ちパターンであることは、一目瞭然である。

何故、スクリプト①と②では成功率に差が生まれるのか。
その理由について、順を追って整理していこう。

▼スクリプト①の成功率が低い原因

  • 信頼感の醸成がない

  • パーソナライズ要素(=特別感)がない

▼イケてる営業のスクリプトがなぜ良いのか

スクリプト②の重要ポイントを
以下に太字で示した。
※なぜ重要なのかは以降で解説している。

▼スクリプト②のポイント根拠

冒頭の「Aさん」は、Aさんに話しているというアピール。
これは、例のバイネーム戦法である。

「東京証券取引所上場、外部機関からも日系〇〇誌で2022年トップの
ご評価、国内上場企業の管理職レイヤー様1,000人以上へのご支援実績」は、優れた既存事実の列挙である。これは、信頼感の醸成の土台となる。

「お客様の利益の最大化、管理工数の圧倒的な削減、
実現可能な投資戦略の実現」では、
製品/サービスの概要を中身ではなく貢献できる"結果"でアピール。
これにより、プロスペクトは判断が楽になる。

「日系大手自動車メーカの営業部長様では土地価格にして
年率約2%の利回り資産運用、税金対策としても全体で約20%の節税に
成功」では、Aさんと同じ部類の人/会社の成功事例を明示。
これは、共感を得るための手法の一つである。

「先日AさんのLinkedInの投稿にて、先月にAさんがアジア営業統括の
お立場に昇格されたことを拝見しまして、そのインタビュー記事の中で
「強い組織の形成には基盤となる適切な人事投資戦略が必要」
とAさんが仰っておられる部分に対し、仕事のみならずプライベート
でも「投資戦略」にご注力されていることと、誠に勝手ながら拝察」では、
Aさんとの更なる共通話題を紹介して、より共感を得ている。

「投資戦略を実際に実行するまでのコンサルサービスは全て無償に
なりまして、仮にご契約いただいた後も弊社のサポート部隊からの
手厚いサービスがご提供可能」では、
サポート体制についても満足できることを明言。これは、安心感に繋がる。

▼まとめ~信頼感が醸成できる重要要素

以上のポイントをまとめると、重要要素は以下である。

  • 会社の外部評価

  • 製品/サービスで実現可能な結果の概要

  • 同業界 / 同ペルソナの事例

  • サポート体制の概要

尚、今回は不動産投資営業での「B to C」Cold Callであったが、
SaaSの「B to B」Cold Callであっても同じパターンが通用する。
※筆者のベルトザキはSaaS外資のBDR精鋭部隊の所属である。

信頼感がなければ、お客様が話を聞いてくれることはない。

逆に言えば、信頼感の醸造があれば、聞いてくれるのである。

一度会話が成立すれば、こっちのものである。


3. アポの獲得

どうだっただろうか。長かっただろうと思う。

上記全てのステップを踏んで、
ここでようやく、アポの獲得ができるのである。

しかし、安心してはいけない。

実際の実務においては、「まずは資料が欲しい」というプロスペクトや、
「時期として忙しいから無理」というプロスペクトが多く存在する。

その場合は、将来的な潜在顧客として、所謂"ナーチャリング"の
アプローチを繰り出すわけだが、
ナーチャリングの話は本稿とは
趣旨がズレるため、ここでは、割愛させていただく。


さいごに

いかがだっただろうか。
今回は、一番ベーシックなCold Callのやり方を整理した。
是非とも「いいね」をいただけると嬉しい限りである。


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