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プロダクトのリデザインプロセス

HDDの整理をしていたら、学生時代にまとめたらしい「デザイン」のプロセスについての資料が出てきました。これは基本的な「リデザイン」のプロセスで、大きくは学校課題であっても仕事であっても当てはまるものだと改めて感じたので、紹介します。(にしても、まめに資料化していた過去の自分に驚いています。)

競合他社・既存製品の分析

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サンプル製品を、中のステンレス内容器ごと真っ二つにしたことを覚えています。「リバースエンジニアリング」という言葉がありますが、そのように各部の寸法を計測したりして、図面も作りました。「#観察スケッチ」にも通じるところがありますね。

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そんな分析から見えてきた仕様から、このケトルのコンセプトを「こんな意味を込めてつくったのでは?」と想像します。大切なのは、仕様の「技術的なデータ」ではなく、そこから得られた実感や「こうかも?」という解釈を盛り込んで構成することです。

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ユーザーの生活シーンを想定

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こんな日常のなかであるあるなシーンを想定し、先ほどの「コンセプト」に対するサンプル製品の最大化・最適化を考えていきます。

アイディエーション

生活シーンにやユーザーの気持ちに対して、プロダクトがどう寄り添ってくれるのか?をスケッチしながら展開していきます。

例えば、コップ1杯分だけ沸けるケトルで、重たくなくて本体自体を掴んで注げるものは?

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や、本体を持ち上げずに、3本足を使って傾けるだけで注げたら安定するかな?など、かな?・かも?・では?という気づきにカタチを与えていきます。

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「こんな感じのもの」から、具体的に「こういう意味をもった形状」へと、だんだんとスタイリングを詰めていきます。

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最終的にはこのスケッチをベースに、進めていくこととしました。ポイントは「両手で持って注ぐ」ことでした。十分にお手伝いできるだけの量のお湯を一度に沸かすことができ、安定して注げる姿を一番カタチにできているアイデアでした。

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プロトタイピング検証

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本当に両手で持って注げるカタチなの?こどもの手の大きさは?大人も使えるの?などなど、絵の中ではわからないことはたくさんあります。粘土や、丸めたダンボール、水を入れたペットボトルなど身の回りにあるものを使って、カタチの検証を進めていきます。

大まかに、寸法関係や重量バランスなどを検証したら、実際のものに近いモックアップを作っていきます。3Dモデリング→3Dプリンターは、今ではもう当たり前ですね。

しかし、この「3Dプリンターで」がもう当たり前すぎて、もう1ステップ手前のクイックにラフに、試行錯誤して、失敗を重ねて大枠を掴んでおくという、本当の意味でのプロトタイピングの工程が飛ばされがちです。←ここには注意が必要ですね。

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今回のモックアップは、形状だけ見れればよかったので、樹脂の肉厚や基板等々の配置確認などは3DCAD上でおこない、モックアップ自体は軽量のモデルブロックを切削して作りました。この後、パテを盛って磨いて、塗装します。

プレゼンテーション(相手に伝える)

このプロダクトには、どんな「意味」があって、それが見た目を含めて、どう「仕様」に現れているのか。を伝えることが大事です。単なる機能の説明だけでは「それって本当に必要?」「もっと違う方法があったんじゃない?」など、聞き手の違和感を誘ってしまいます。

▼何がしたかったのか、コンセプトを伝える。
メッセージと、こどもが持った想定の写真などを使います。

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▼コンセプトが一番現れているポイントを伝える。
いわゆるウリのポイントです。熱くならないから両手で持てること。お湯が垂れて手にかからないようなカタチ。を伝えます。

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▼「もう、ひと工夫」のうれしいポイントを伝える。
想定ユーザーである「こども」をはじめ、だれでもわかりやすくお湯の量を測れるように、容器内のメモリは「ml」ではなく「コップの数」で表現しています。ひとつだけのウリの一点突破でなく、こういうポイントが複数あると製品に厚みが増します。

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▼どうやって実現しているのかを伝える。
「そうだったらいいよねー」で終わっては意味がありません。ちゃんと「できる理由」の裏づけも大事です。

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リデザインとリニューアル

学生時代の資料にnoteで加筆しながらまとめてみましたが、なかなかよくまとめていたなという流れでした。ここで改めて感じたのは「リニューアル」と「リデザイン」の違いです。言葉の定義の正しさはどうあれ、つぎのように解釈しました。

「リニューアル」→お化粧直し・再パッケージング
「リデザイン」→再構成・再解釈

どちらも、デザイン案件でよくいただく話です。しかし、依頼相手とこの解釈のズレがあると危険だなと再認識しました。こうやって過去の資料も再解釈してみると、またおもしろい気づきや発見があるのかもしれません。

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