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ディスレクシアって知っていますか?①

 先日、発達性ディスレクシアの研修を受講する機会があった。ディスレクシアは「発達性読み書き障害」とも呼ばれ、漢字・ひらがな・カタカナの文字文化である日本では、特に漢字の読みに関する出現頻度としては約8%、英語文化圏では15%以上と言われている。

 当事者の方がディスレクシアがどんなものなのかを健常者向けに体験させてくださった。試しに以下の問題を解いていただきたい。

次の言葉の記号にひらがなを当てはめて10秒以内に答えなさい。 
ひ さ 〇 △ ◇ ■ △ 〇 ■ ▼ い あ ▼ ◇ 〇 た
    し=〇 た=▼ に=■ ぶ=△ り=◇

 正直言って私は30秒かかってもできなかったが、ディスレクシアを抱えている人の大変さ、文字を読んだり書いたりすることの困難さが一瞬にして体感できた。教科書、新聞、案内板、黒板、説明書、ノート、映画、書籍、SNS、試験問題・・・世の中は文字に溢れている。
 発達生ディスレクシアの人は、字を読めない、読み間違える、読むのが遅い、書き間違える、綴りが思い出せない、思い出すことが遅い。文字を音に変換する(文字の音韻化)ことで対処しようとしているので、ひらがなやカタカナならまだしも、いろんな読み方のある漢字や英語に至っては全然わからないという。さらに、ディスレクシアを抱えている人への二次的な影響としては、読解の遅延、学習意欲の低下、知識不足などがある。漢字や英語などはルビをふるだけで膨大な時間がかかり、それだけで学習時間が奪われてしまうのだ。

 ディスレクシアの人は、教科書が読めないといっても、文字がゆがんで見えるわけでも、視覚自体に問題があるわけでもない。文字の形は正しく見えているのだが、読み方や意味が頭の中にすぐに浮かんでこないのだ。意味が浮かんでこないため単語の切れ目もわからない。たとえば「いちばんしまいに(一番終いに)」という文章は「いち」で切れるのか、「いちば」で切れるのか、「いちばん」で切れるのかわからなかったり、「終い」という言葉を知らなければ「姉妹」だと勘違いするかもしれない。
 通常、人間の脳は目から文字の情報が送られてくると、まず字の形を識別し、そして、頭の中の辞書と照らし合わせる。たとえば「りんご」という文字を見たときには、まず「りんご」という綴りが照合され、次に「ringo」という読み方、そして「赤くて甘酸っぱい果物」というりんごの意味が頭のなかで結びついていく。こうした作業を経て、目で「りんご」という文字を認識して「りんご」と発音することができるのだ。しかし、ディスレクシアがあると、最初の綴りの照合に時間がかかり、文字を見てもすぐに発音することができない。

つづく




クイズの答え
 「ひさしぶりにぶしにたいあたりした(久しぶりに武士に体当たりした)」です。


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