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日本の誇り「もったいない」の精神は「もったいないばあさん」に引き継がれた!

 数年前まで、名古屋市の中学3年生が使っている英語の教科書に2004年にノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが載っていた。
 2005年、ケニアの環境保護活動家として京都議定書の関係で来日したマータイさんは、「もったいない」という日本の言葉を耳にする。そして、「3R + Respect」という精神のすべてを網羅する「もったいない」という言葉が日本語以外の言語には存在しないことを知る。「3R」とは、「Reduce(ゴミ削減)」「Reuse(再利用)」「Recycle(再資源化)」のことを指し、最後の「Respect」はかけがえのない地球資源に対する「尊敬の念」を意味する。          (上記画像出典:mottainai-baasan.com)

 「もったい」とは本来は漢字で「勿体」「物体」と書き、「物のあるべき姿/物の本質的なもの」を意味する。それが仏教の「空の思想」や「縁起の思想」に派生して、「もったいない」が「この世に何一つとして独立して存在しているものはない」「物事はすべて繋がって存在している」という意味に解釈された。つまり、すべて当たり前ではなく、何一つとってもすべては有難い(有ることが難い)ことであり、私たちは支えあって「生かされている」という真実が、「もったいない」という言葉の根底にあるということだ。だからこそ、「もったいない」を他言語に一言で翻訳することはできない。マータイさんのおかげで「もったいない」が「MOTTAINAI」という英単語として世界に広まったことは日本人にとって実に誇らしいことだ。

 残念ながらほとんど知られていないことだが、環境省が絵本アニメ「もったいないばあさん」の無料動画を公開している。しかも、英語・中国語・ヒンディ語・フランス語・スペイン語版も世界に向けて発信されている。「もったいないばあさん」の作者真珠まりこさんは、お子さんに「もったいないって、どういう意味?」と聞かれ、どのように答えたらよいのか困った経験をもとに「もったいないばあさん」を描き始めた。         

 真珠さんは語る。「この国には、食べ物も物も豊富にあって、子どもたちが『もったいない』の意味を実感することは容易でない。『もったいない』という日本語は、物の価値を生かしきることなく簡単に捨てたり、無駄使いする時に使われているが、言葉の中には、自然の恵みや、物を作ってくれた人たちへの感謝と思いやりの気持ちも込められている。絵本を通して、物を大切にする気持ち、愛と思いやりの心、『もったいないの心』を子どもたちが楽しく学ぶきっかけになってほしい。」と。

 西アフリカの国ブルキナファソでは、日本のママチャリ(いわゆるかご付きの自転車)が庶民の足になっていると聞いた。街の市場には日本から運ばれた中古自転車が何百台も並んでいるそうだ。日本在住のガーナ人が、所有者の名乗り出ない放置自転車を大量に買い取り、1万3千キロも離れたブルキナファソに輸出したことで、ママチャリ文化が浸透したとのこと。

「MOTTAINAI」の精神を大切にしているのは、いまや日本ではなくアフリカということか。私たち日本人こそ「もったいない」の精神をもう一度「もったいないばあさん」から学ばなければならないのではないだろうか。

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