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MBOというフレームワークにあえて囚われた目標設定の仕方

国税庁の決算期月別法人数の統計情報によれば、9月を決算月としている会社は3月に次いで2番目に多い。

9月は3月決算の会社にとっても上半期の終わりの月でもあり、また1年間の第三四半期の終わりの月でもあるため、10月から異動になったり新しいミッションに取り組む人も多いだろう。

そんな時期に必ず必要になってくるものが「目標設定」だ。

目標設定のやり方(フレームワーク)は、このnoteで紹介するMBOの他にもOKR等もあるし、単純に売上数値等を目標とする成果至上主義のやり方も存在する。
どのやり方にもメリット・デメリットがあり、万人に当てはまる目標設定の方法は無いと思う。

ただ僕の肌感では、MBOないしはそれに準ずるフレームワークを用いて期のはじめ等に目標設定をしている人が多い。会社単位でそういう管理方法を採用していなくても、自分の所属するチーム単位ではMBO形式が多いのではないだろうか。自分も例にもれずMBOを設定する会社員の一人だ。

一つだけ言えることは、
「本当に良い目標」と、「MBOという形式において良い目標」は異なる
ということだ。

本来の目標設定において大切なこと

もしマネジメントする/されることを一切考えず、達成度合いで評価も決まらないのであれば、目標設定に対する考え方は大きく異なると思う。

本来の目標設定とは「その期間中何に熱狂するかを決めること」であると思う。

今や会社で行う目標設定は、社員を評価するための一つの手段となっているが、本来の目標設定とは自分のやりたいこと、なりたい像に向かう方向性を定めて、その方向へ突っ走っていくことだと思う。

ただ大前提、ここでは評価のための目標設定の良し悪しや、MBO等のフレームワークについての議論は行わない。
言ってしまえばどれも一長一短であり、どんな状況下における目標設定なのかにもよるので、結論は出ないからだ。
まずは、与えられたフレームワークで最大限良い目標を立てることに専念したほうが良い。

MBOとは?

MBO:Management By Object
直訳すると「目標によるマネジメント」
簡単に言えば1つ目標を立てて、その目標の達成難易度×達成度におうじて評価ないしマネジメントをすること

どのくらいの粒度で達成難易度や達成度を定めているかは所属組織によるが、仮に3段階とする場合は以下のようなマトリクスとなる。

MBOの評価マトリクス.001

これに従い、より高いレベルの目標をより高いレベルで達成しよう、このマトリクスでいうと左上に近づこうとしていくのがMBOである。

なぜMBO設定・目標設定するのか?

理由
①"目標"を軸にマネジメントするため
②目標をチームとして共有するため
③目標の難易度と達成度に応じて評価をするため

理由については様々な考え方があるが、おおよそこの辺りが考えられる。
そしてここで重要なのが「③評価をするため」だ。

目標設定をするだけであれば、評価と結びつける必要はない筈である。
しかし、組織である以上一定評価をするための目標設定は必要である。

基本概念としては
MBO:マネジメントや評価のためのツール
自分の目標:自分のやりたいことを言語化し共有するもの
である。

なので、評価のための目標設定と、真の目標設定とは別なものであると考える必要がある

スクリーンショット 2020-09-30 17.05.05

※S.M.A.R.T
Specific:具体的か
Measurable:測定可能か
Achievable:達成可能か
Related:経営目標に関連性はあるか
Time-bound:時間制約はあるか

"良い目標"を設定するための考え方

良い目標1

基本的にはMBOに設定するべき目標は、MBOに即した考え方で目標設定をすべきである。
しかし、自分のやりたいことでもなんでもないことをMBOに掲げるとつまらない期間を過ごすことになる。
(画像はTime-boundを半年とした例なので半年と記載してある)

自分のやりたいことのうち、MBOの目標に相応しい部分を抽出することで、自分のやりたいことにも沿ったMBOの設定ができる。

自分のやりたいことを先に考え→そこからMBOに相応しいことを見つける

目標としての重要性としては、自分軸のやりたいことの方が大事なので、この順番が大事である。

しかし、ここで一つ考えなければならないことは、この手順でやると、MBOとしてはショボい目標設定となってしまうことである。
例えば、経営目標との関連性が薄いため、仮にその目標を達成したとしてもあまり良い評価が期待できない場合等が考えられる。

良い目標2

そうなった場合でも、あくまでも自分のやりたいことをブラさずにMBOとしての目標設定を見直すことが重要である。

もしそれでも合わなかったら、自分を変えるか会社を変えるかしか選択肢は無い。

僕個人の考えではあるが、会社はあくまでも手段。なので自分の人生にとって会社が阻害となっているようであれば、会社は手段なのだからその手段は変えたほうが良いと思う。
もちろん、上司と対話して自分の方向性を自分が納得いく形で変えても良いとも思う。

そして、会社を変えても良いと思う。
特に自分が素晴らしい目標を掲げているという自信があるのであれば、会社を変えることをオススメする。
高々目の前にいる上司や内部の事情をある程度知っている会社ですら動かせない・変えられない人に、社会を変えることは出来ないからだ。

本来の目標とMBOを別に設定するチームビルディング

特に日本企業では目標設定や評価に関する面談等は、評価に直結するにもかかわらず、多くの人から面倒くさがられる傾向にある。

年功序列制度が強い会社は、この面談が形骸化しているだけ、という理由もある。しかしそうでない会社でも面倒くさがられてしまう理由の一つに、自分の指向性と合致してない目標に対しての議論であるから、興味が湧いていないという理由があると考える。

チームのマネージャとしては、チームのパフォーマンス(≒評価)を最大化しつつ、個人の目標達成も支援したい。

そのためにはまずは、メンバーに対して、評価用の目標と自身の真の目標とが存在することを伝える。
そしてメンバー個々人の真の目標を叶えるための手段の一つとして、MBO等会社による評価のための目標設定の必要があることを伝える必要がある。


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