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コロナ時代のEC事業のあり方|望月智之さん対談インタビュー


株式会社いつも 取締役副社長望月智之さんとコデアル代表愛宕の対談インタビュー


<望月智之プロフィール>
Twitter: @mochizuki365
プロフィール:https://itsumo365.co.jp/blog/author/mochizuki/
東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。D2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。また、これまでの事業基盤を活かし、D2C・ECブランド企業に対して事業成長に必要な経営支援を行うべく、M&Aにより自社のブランドとして保有し、成長を加速させるブランドバリューアップ事業を運営。投資先企業の企業価値向上やシナジー創出を行うために国内外におけるD2C・EC関連企業への投資事業も行っている。

自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。著書に『2025年、人は「買い物」をしなくなる』、『買い物ゼロ秒時代の未来地図』がある。

<愛宕翔太プロフィール>
Twitter: @shotaatago
#働くをもっと自由にのビジョンの下 、即戦力エンジニア採用ができる「コデアル」 を開発・運営。#エンジニア採用を語る会 #エンジニア採用チャンネル も運営中
長崎県長崎市出身。青雲高等学校にて、高校3年時に囲碁部主将を務め全国高校囲碁選手権大会全国大会出場。2007年、東京大学文科二類に進学。

大学2年時は、東京大学・東京大学三四郎会との共同プロジェクト「知の創造的摩擦プロジェクト」に関わる東大公認学生団体「東大ドリームネット」において語る会のマネージャーを務める。

知の創造的摩擦プロジェクトとの関わりから、志高く、起業家として生きることに憧れ、起業家として生きることを決意する。大学3年時からは、旧東京大学産学連携のスタートアップ「リッテル」(現在は株式会社ライフルにM&A)にて仕事を始め、大学4年次はそのまま社員になる。働きながら、新宅純二郎教授のゼミ生として、MOT (技術経営) を学ぶ。2011年、東京大学経済学部経済学科卒業。

買収先の東証一部上場の株式会社ライフルリッテル研究所に参画。参画2年目で、株式会社ライフル新規事業部門にて、新卒採用仲介Webサービス『メンターズnet』を企画・実装(現在はサービス提供終了)。その後卒業し、2012年8月9日、コデアル株式会社創業。

2016年、エンジニアインターン、エンジニア就活を事業譲渡( http://bit.ly/2lQaVBa )による軍資金を全額投下し、即戦力エンジニア採用ができる「CODEAL( http://codeal.work )」のサービス立ち上げ現在に至る。


前半はD2C・ECに求められる人材像や業務手順の標準化のために重要な経営戦略とは何かについて、後半はD2C・EC領域において、差別化できる点はや変化の激しい事業領域で求められるものとは何かについて、望月さんに語っていただきました。

D2C・ECに向いている人材の特性は?

D2C・ECに向いている人材の特性は?


望月)まず消費者という存在がいますから、相手の笑顔のために頑張ることが大前提です。
あと、クリエイティブな業務だけではなく、手堅くルーチンを守って行える能力も大事です。

愛宕)確かに、決まった行動量をしっかりできる能力は必須ですよね。

望月)そうです、D2C・EC業務の多くはルーチンなのです。また、小売業というのはサービス業なので、感受性によってデザインの一部やメールの対応などの色々な部分に影響が出ます。この業界には感受性の高い人が向いていると言えます。

愛宕)なるほど。

望月)自分らしく働けて、相手の笑顔を見ることができて、というのがD2C・ECだなと私は思っています。しかも、働く時間という部分でも、時短もでき、夕方4時~5時でも終えることができる仕事です。1日のうちで何をやるかがほとんど決まっているので、働き方や活躍の幅が広いことも特徴です。

愛宕)新規の営業とかだと、働く時間もとてもバラつきますよね。そうではなくて、ECサイトでやることが決まっているので、働くことのデザインがしやすい、つまり、自分らしく働く、ということをデザインしやすいですよね。

業務手順の標準化などを進めるのに一番大事なこととは?社員数を増やすことの重要性

業務手順の標準化などを進めるのに一番大事なこととは?社員数を増やすことの重要性

愛宕)自分らしく働ける状態を作るために、業務手順の標準化が非常に重要になると思うのですが、御社だと望月さんが整理されているのでしょうか?誰が業務手順の標準化をされているのですか?

望月)私たちのような支援会社は、業務手順などを書き出してマニュアル化するのは確かに難しいです。しかし、メーカーなどの事業会社のD2C・ECはマニュアル化することはそこまで大変ではありません。

私たちは、自身だけではなくお客様の売上なども考えますので難易度が上がります。とはいえ、もう14年やってきているので、管理手法などのマニュアル化やチェックリスト化の仕組みはとても進んでいます。

D2C・EC自体、経験者が少ないマーケットなので、ほとんどは未経験者を採用して育てることになります。私たちの場合は、未経験者を採用したら、3ヶ月で一人前にして黒字化される、という仕組みが4年ほど前から出来上がっています。

ただ、同業他社は、20〜30名ぐらいの規模以下の会社がほとんどです。自分たちの会社も社員が20〜30名ぐらいの時は業務手順の標準化とか教育の仕組み化などができませんでした。

私たちの会社が毎年伸び続け、258名(※1)の会社に対して、ここ1~2年で50名以上の方が入社する理由は、すでに一定の規模を超えているからだと思います。
※1:スタッフ数 アルバイト含む(2021年9月末時点)

愛宕)なるほど、つまり業務手順などの標準化をできたタイミングから、今の好循環に乗られているのですか?

望月)そうですね。私たちの会社は7,8年前は50名程でした。50名を100名や200名にすると、標準化も自動で進み、離職率も下がり、仕事も多く入るようになる、ということが分かったのです。
ですから、たくさん人を入れることを決めました。私たちの会社の経営戦略は、「社員数を200名にする」でした。

愛宕)わかりやすいですね。キーとなる行動はそこなんですね。でも、それは御社がD2C・EC業界でずっとやられてきて最低限の土台や実績があるから、200名という目標を置くのが成り立つのか、そういったものは関係なく単純に人が増えれば手順の標準化などが進むのか、どちらの要素が大きいのでしょうか?

望月)これは私の感覚値なのですが、人の数ありきですね。標準化のコアは、人の時間を余らせることだと思います。働いている人の時間に余裕がないと、標準化は絶対にできないんです。時間を余らせるには、人員に余りがないといけないので、人の数が必要になります。

また、私が色々な経営者の方の話を聞く中では、「人を採用しすぎて倒産した会社という例はない」ということがわかりました。ですから、人は会社に入れたほうがいいという結論です。人を採用しすぎて立ち行かなくなった会社は、当社のような業種にはひとつもないはずです。

愛宕)基本的には、売上が人数×単価で構成されるようなビジネスだった場合によりそういう傾向が強くなるのですか?

望月)そうですね。おそらく、サービス業と言われる業種は全てそうだと思います。目標値を社員数と置かない限り、大胆な経営戦略とかマーケティングなどはできないですし、離職率などの問題も解決しないと思います。

私たちの会社も50名ぐらいの時期は、離職率の問題に直面していたのですが、社員数が100名ほどになった段階で離職率は劇的に下がりました。

社員の数を増やす前提条件は?経営戦略について

社員の数を増やす前提条件は?経営戦略について

愛宕)人を増やすのが大事、ということは今までの話を聞かせてもらい、分かりました。お客様が来なくなったら会社は立ち行かなくなるとも先ほど仰っていたので、今度はこの部分についても掘り下げていけたらと思います。

例えば、D2C・ECの総合支援といえば「株式会社いつも 」、という地位を確立して、問い合わせが来るような仕組みを作っておかなければ、お客様がくることを担保できないから、人の数を増やすだけではダメということはあるのでしょうか?つまり、人の数を増やすということの前に、そのような前提条件があるのでしょうか?

望月)その答えはほとんどランチェスター戦略の話になります。当社は、創業期からランチェスター戦略そのものを実践していて、ブルーオーシャンな市場でいち早く、収益が良くないタイミングでも実績を作ることが重要だと思っています。

私たちの会社は創業4年間で、得た利益を全て提供価格に転嫁させました。価格を下げ続けることで、1000件→2000件→4000件と販売実績を伸ばしたのです。ランチェスター戦略の基本はまず数なので、競合相手が来る前に値段を下げてでも顧客を増やし続けることが経営戦略の根本でした。

その当時の4000件は、値段を通常の5分の1で提供していたので、広告費は無しで、クチコミと紹介だけで仕事がありました。

愛宕)そのあと値上げしたタイミングもあるんですよね?それはいつ?どういう準備をして値上げされたのでしょうか?

望月)基本的に私は、経営戦略とは値上げ・値付けの戦略だと思っています。ですから、値段を上げ続ける会社が正しいと思っています。基本的に値上げは絶対に行いますし、実際に去年も値上げを行ったサービスもあります。

最初に値上げしたタイミングは、支援実績が4000件ほどに到達した時です。他の会社と圧倒的に差がある状態になっていたので、そのタイミングで一律で全て値上げをしました。今でも値上げは最も重要な戦略の一つです。

愛宕)どのタイミングで値上げを行うのか?どのタイミングまで来るとどういう景色が見えているか?については、当時からどのぐらいイメージできていたのですか?

望月)あまり見えていなかったです。ただ、経営戦略は値付けの戦略である、顧客の数こそが経営戦略にとって最も重要である、といった原理・原則は当時からありました。今となっては、値上げはもっと早い方がよかったと思いますし、契約期間ももっと長く設定しておくべきだったと思います。

未経験者が多いD2C・ECのマーケット、その採用基準とは?

未経験者が多いD2C・ECのマーケット、その採用基準とは?

愛宕)ECは未経験の人が多く、御社ではそういう人を3ヶ月で1人前にして黒字化するという手順があるとのことでしたが、採用の段階での採用基準として、どのようなものがあるのか、具体的に伺いたいです。

望月)当社はIT業ではなく、基本的にサービス業なのです。サービス業の本質は対人間性や人間力だと思っているので、人間性・人間力が高いかどうかを見ています。パソコンのスキルなどはほとんど見ていません。

私たちの仕事は、お客様相手の仕事で、相手に満足してもらって物事をおさめていきます。ですから、対応する人の話し方が信用できない、ということは許されないんです。人に愛されるキャラクターのような人は絶対に採用します。

愛宕)なるほど、ではその人の持つ空気感のようなものを重要視されているんですね。

望月)そうですね、そこは非常に大事です。ただ、その雰囲気や空気感の判断はかなりチェックリスト化しています。わかりやすい例を挙げると、人に「ありがとう」や「ごめんなさい」、「おはよう」や「おやすみ」を言える人を私たちは採用します。

これは、会社に来たときやミーティングの際に絶対に見える部分だと思っています。こういうことができない人は採用しません。なぜなら、挨拶にはその人の人間性が色濃く反映されているからです。その人間性は、自己肯定感や他者への対応などにも表れてきます。

IQテストなども行いますが、ある程度取れていれば採用しています。逆に、一芸に秀でているような人は、私たちの会社では活躍することが難しいと思っています。業種的に、お客様に対するコミュニケーション能力や社内のコミュニケーション能力や組織で動く能力がD2C・ECでは求められます。

当社は14年やってきているので、見た瞬間に数字的な答えはわかります。特定の人にしか数字が把握できない、ということは私たちの会社にはもうありません。ですから、数字などをしっかり把握できるというスキルはあまり必要ではないのです。

愛宕)成果を出すためのプロセスは、行動量と行動内容に因数分解されているので、その部分は御社の中ではわかっているということですよね。

望月)そうですね、そこを実行できるかどうかという部分に差別化の要素があります。

愛宕)先ほど雰囲気や空気感の判断をチェックリスト化してるというお話がありましたが、チェックリストは何項目あるのでしょうか?

望月)約10項目あり、各項目0〜3点、それとIQテストの結果を見て決めていきます。

愛宕)チェックリストの項目は、職種によって異なる部分はあるのでしょうか?それとも基本的には共通でしょうか?

望月)そうですね、昔は職種ごとに見るべき部分は違うのではないか、という仮説があり、色々と変えていました。しかし、結局見るべき部分は一緒であるという結論になり、今は共通です。運用が簡単というメリットもあります。

私たちの会社のコアなコンピタンス(コアコンピタンスとは、企業の活動分野において、最も競争力を持つその企業独自の分野・能力のこと)は、組織力と決まったことを確実にやり切る力なんです。

それは基本的なことで、凡事徹底ということになりますが、これができる人は世の中に非常に少ないのです。ですから、そういうことができる人を採用するということです。

愛宕)話を聴かせていただく中で、おそらくコンピテンシー面接(コンピテンシーとは、与えられた役割や職務で一貫して高い業績を出す人に共通する行動特性)のようなことを実施されてるのかなと思いました。

こういう性質が事業のキーとなるし、御社のカルチャーにフィットする、というようなことを相当言語化されている前提があってのチェックリストだと思いました。御社で活躍できる人の性質などを今のように整理できたのは、いつどのようにして、整理されたのですか?

望月)チェックリストができたのは約4、5年前です。それまでは肌感覚で自分たちの会社に合うだろう、という判断で採用を決めていました。

4年前に人の採用のボリュームが増えてきたときに、そういった部分を標準化したい、もっといい人材を採用できるんじゃないか、というプロジェクトを開始しました。その際に、自分たちの会社で活躍しているメンバーとはどういう人物かを社内で調査しました。また、面接に私が参加して実際に参加したことで、言語化が進みました。

一人当たりの案件数を絞る理由や大手だけを相手にしてはいけない理由とは?

一人当たりの案件数を絞る理由や大手だけを相手にしてはいけない理由とは?

愛宕)支援されるお客様の人数は、大体一人当たり何人ぐらいもっていらっしゃるのでしょうか?

望月)案件とサービスによるので、はっきりとは言えません。エンタープライズで大きい会社などが相手ならば、1社しか持たないという人も中にはいます。逆に多くても、一人で持つのは15件ぐらいになることが多いですね。

愛宕)かなり絞り込まれてますね。

望月)そうですね、私たちの会社は顧客満足度を追求しているので、15件でも多いと思います。本来は、一人当たりの担当を減らした方が良いと考えています。そういう意味でいうと、一人が持てる案件には制限があるので値上げをしていかないといけない、ということになります。

値上げをすると、1件あたりにかけられる時間が増えることにつながるので、顧客満足度が上がる、という循環があります。

愛宕)支援するときの入り方のような部分について質問させていただきたいです。お客様にやってもらう部分の線引きと御社がやる部分の線引きは、全てを御社が代行するような形なのか?それともお客様も御社も業務を行って並走するような形になっているのか?またその場合の線引きはどうなっているのか伺ってもよろしいでしょうか?

望月)プランによって全然違ってくるのですが、全て私たちが代行するようなプランもあります。また、アドバイザリーやコンサルティングのみ私たちが行うような一番ミニマムなパターンもあります。

愛宕)ミニマムなパターンと全部代行するようなパターンだと、大体価格帯はどのぐらいになるのでしょうか?

望月)上は、月500万円以上の案件もあります。ミニマムなパターンの方だと月15万円ぐらいになりますね。

愛宕)一番多い価格帯はどこになるのでしょうか?

望月)案件の数で言うと、月15万円や20万円程度の案件が一番多いです。

ただ、これはGoodpatchの土屋氏(株式会社グッドパッチ代表取締役社長兼CEOの土屋尚文さん、今回の件についても述べている記事がこちら)も仰っていたんですが、お客様の構成が大手だけになると、サービスのレベルと人材のレベルが下がるんです。

逆に、お客様に中小企業がいると、サービスレベルと人材のレベルが格段に上がるんです。なぜなら、オーナーとやり取りをしてプロジェクトや売上支援を行うには、モチベーションやスキルなどがトータルで必要だからです。

ですから、教育的な意味で中小企業のお客様はいなければならないし、大手だけを相手にすることはあまり良くないと思っています。

コンサルティングビジネスの根本とは?

コンサルティングビジネスの根本とは?

愛宕)中小企業相手のミニマムのプランだとしたら、お客様のやる範囲はどうなるのでしょうか?

望月)コンサルティングが一番わかりやすいので、コンサルティングを例に説明します。基本的に実行はお客様側がやります。例えば、ページのデザインを修正したりするのはお客様が全部やります。
コンサルティングビジネスを私も研究していますが、7年ほど前、コンサルティングビジネスの根本を理解するために、色々なところで実際に受けてみたんです。
どうすればコンサルティングビジネスって大きくなるのか?誰でもできるようになるか?お客様がやめないか?などを研究したんです。
それで得た結論は、コンサルティングは言うだけだと成果も出ないし実行もしない。ですから、お客様の実行・管理を合わせることによって、成果が出て満足度も上がり契約が切れないことにつながる、というものでした。

D2C・ECの分野への自動化やAI化の影響は?望月さんがその影響に対して意識していることとは

その影響に対して意識していること

愛宕)私たちもよく受ける質問なので、望月さんにぶつけてみたいのですが、AIや自動化の話があります。D2C・ECの分野も自動化やAI化などが進んで、人のやる仕事がなくなるのではないか?という不安を抱えている人も一定数いらっしゃいます。そういった部分に対して、望月さんの意見を聞きたいです。

望月)D2C・ECでは、AI化というよりもデジタル化によって人がする仕事は減っています。例えば、昔はデザイナーを数多く抱えていないと、ECは立ち上げや運用できませんでしたが、今はもうプラットフォーマー側の整備が進んだことで、デザイナーの必要性は下がってきています。

広告も同様に、プラットフォーマー側やGoogleがしっかりやっているので、格段に作業量は減っています。

愛宕)そのように人がやる仕事が減っているという状況の中で、御社は社員を増やしていかれてるという話がありましたが、それはどうしてなのでしょうか?

望月)私たちの事業やサービスは、デザインのように見えてデザイン業務でもないですし、付加価値が高い仕事なんです。簡単にいうと「売上拡大を実現する」というのが私たちの会社の最も重要なことです。売上拡大を前提にしながらデザインや要件定義とかをできる人は少ないのです。

だから、こういった部分で機械が私たちのやっている仕事に取って代わるのは難しいだろうと思っています。

愛宕)なるほど。今の話を聞くと、開発も同じだと思っています。一つの機能で切り出されると、機械に取って代わられるような仕事は多いですが、売上にコミットする重要指標となるような数字を伸ばしながら、何を作ればいいかを考えることができる、ということは別の次元の話であるということですね。

変化の激しいD2C・ECの事業領域で求められるものは?

変化の激しいD2C・ECの事業領域で求められるものは?

望月)D2C・ECはマーケットの変化が特に激しくて、1年で様変わりしてしまうような部分があるんです。例えば、楽天でショップデザインをしていて、「トップのショップに所属していた」という人がいても、1年後にその勝ちパターンは通用しなくなることがあります。

愛宕)なるほど、改善を続けていかなければならないですし、勝ちパターンを作れたと思っても、次の1年にはもうかなり変化しているような領域がD2C・ECだということですね。

望月)そうですね。私たちの会社は人数が多くて、日々改善やアップデートが行われているので、そこは他の会社との差別化点だと思います。

愛宕)ちなみに、改善が行われて、運用手順などが変わることになった場合、どうやって多くの社員に伝えていっているのでしょうか?

望月)ドックベース(Wikipediaのように文書を簡単に書ける情報共有ツール)を使ったり、チェックリストがあったり、情報共有会という部署を超えて情報共有をする場を設けています。そうすることで、ナレッジをシェアする仕組みをお金と時間をかけて整えています。また、それが浸透しているのかについても別の角度で調査しています。

愛宕)何かお客様と一緒にみていくようなものはあるのでしょうか?

望月)「鉄則」と呼んでいるんですが、マーケティングの型のようなものが当社にはあります。300項目程度のチェックリストとそれに基づいたマニュアルが存在しているんです。それをお客様に提示して、一緒に見ながらやっていきますね。

愛宕)御社で働くことで、その素晴らしい型を経験しながら、D2C・EC人材へ成長できるのだと思います。

望月)中途採用の方は、入社時に型がしっかり整備されている状態に驚かれますね。

得意分野だけでは決まらない役割の話や、共同創業者である坂本さんと望月さんの役割分担について

得意分野だけでは決まらない役割の話や、共同創業者である坂本さんと望月さんの役割分担について

愛宕)望月さんのお話を聞いていて感じたことが、常に社内だけではなく外を見て、わからないことがあれば調べにいくという姿勢、そういう部分にとても学びがありました。

望月)私が元々そういう性格というのもあると思います。お金を払ってでも、ノウハウや知恵は買った方がいいというスタンスです。私は人と会って、その方が面白いと感じたら「毎月1回私との壁打ちの時間を取って欲しい」という依頼を数多くしています。

愛宕)社内のメンバーと話す時と、外に機会を見出して話す時の2つがあると思うのですが、望月さんが意識されていらっしゃることはあるのでしょうか?

望月)これは、役割的な話もあると思うのですが、私は基本会社の外に出るという役割が多いです。一方、代表の坂本(株式会社いつも 代表取締役社長 坂本守 35歳のとき副代表の望月さんといつも を共同創業。)の方が内部のことをすることが基本の役割ですね。

ただ、社内でも新規事業やゼロイチフェーズのような事業はあるので、そこは私も見ます、というのが基本的な役割分担です。

愛宕)望月さんは、型化が得意なのに、会社の外に出てるというイメージが私にはあります。その部分については、なぜ社外に出る役割の方をしていらっしゃるのだろうと不思議に思いました。通常なら内部のことをやる人がオペレーションが得意という印象があるので。

望月)一つだけ問題があるのは、確かに私は型を作るのは得意ですし、好きなんですが、あまりそれをやりすぎると現場が疲弊してしまうことです(笑)

愛宕)それは工夫の余地がなくて面白くなくなってしまう、という意味ですか?

望月)そうです。あと、チェックリストで明確に基準を設けるので、あまりやりすぎると社員が離れてしまうことにつながります。ですから、内部で型を作るのを抑えて、適度に社外にも出ているという部分もあります。

愛宕)代表の坂本様のお話も出たので、聴かせてください。坂本様の得意分野がどのあたりで、副社長の望月さんとはどういう役割分担になっているのかをもっと詳しく聞かせて頂いてもいいでしょうか?

望月)坂本は、社内の人心掌握やマネジメントが得意です。あとは、色々な交渉であるとか大型の商談などもやっています。

愛宕)その役割分担は創業期から自然と決まっていったんでしょうか?

望月)最初の一年目からそういう感じになっていました。最初に決めたことは「新しい事業があるときに、二人で検討しない」というルールです。

得意分野も違いますし、「仕事を任されたら自分だけでやる」と決めています。案件が来たら、どちらに向いているかを判別して、各々で判断してやっていきます。

愛宕)なるほど、それぞれの得意分野を活かしてルールを設けているんですね。ありがとうございました。

ここまで、株式会社いつもの歴史の部分に触れながら、御社ではどういう人が働いているのかであったり、御社で働くとどうなっていくかの話をしていただきました。

今回の対談を見て、株式会社いつもで働いてみたいという方がいたら、是非コデアルからご応募していただけたらと思います。

望月さん、今日は本当にありがとうございました。



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