見出し画像

2024年は金に投資すべき? - 米国MBA&公認会計士が検証

金の価格は、過去2年間の低迷を経て、2023年に見事に復活しました。

2023年4月の1オンスあたり2,048ドルをピークに下落傾向にありましたが、2023年11月末までに同水準まで回復しています。2020年8月に達した2,060ドルの最高値に近づいています。

▶過去5年間の金の価格推移

出所:田中貴金属ホームページ

2023年10月5日に1,820ドルまで下落した後、いくつかの要因が組み合わさり、金の復活への有利な環境へと変わりつつあります。

金の価格が上昇する条件とは

一般的に金が上昇する背景としては、以下の3つがあります。

①インフレが加速している環境

インフレが進むと各国は金利を引き上げインフレを抑制しようとします。米国を中心にインフレ対策として金利を上昇させているので、景気減退を懸念して金への投資が増えています。

②経済の不確実性が高い状況

経済が不安定な場合、リスク資産である株式などよりも安全資産である金が買われる傾向にあります。

③地政学リスクが高まっている状況

戦争などの地政学リスクにより債券や株式の価格下落リスクを避けるために、より安全な金に需要が集まります。

2024年に金の価格を左右する要因とは

中東の紛争による地政学的な緊張状態が金の価格急騰の背景となっていると考えられます。

この地政学リスクの高まりにより各国が米国債の購入を避け、政治リスクの影響がない金への投資を加速させていると考えられます。

2024年に米国金利の大幅な利下げへの期待

それに加え、米国におけるインフレ率が落ち着いてきていることにより、米国における利下げの期待が高まっています。

▶米国のインフレ率の推移

金の市場は、将来の連邦準備制度(フェデラル・リザーブ・システム)の金利政策に対する市場の期待の影響を受けます。

米国におけるインフレの急激な減速と連邦準備制度が利上げを見送るという直近の決定から多くの投資家は、2024年により大きな利下げが行われるのではないかという期待があります。

多くの投資家が、2024年12月までの利下げの可能性は、70~80%程度あると予想しています。

EU圏における景気不安

EU圏のインフレが2年ぶりの低水準に落ち込んでいる一方、EUの景気の見通しは暗いです。このような経済的な不安が、安全資産である金への投資を後押しすると考えられます。

金の競合である安全資産の魅力が低下

金と競合する安全な資産とである短期国債の利回りが低下している傾向にあります。キャッシュの期待収益率が低下した場合、投資家は、代替資産への投資を模索します。

金利が低下する中でも経済状況が悪化した場合、株式でのプラスリターンが期待できないため、最も安全な金への投資が加速すると考えられます。

金は、経済リスクへのヘッジ手段として機能し、特定の債券や株式のパフォーマンスに左右されないというユニークな性質をもっています。そのため、多くの投資家が金を投資ポートフォリオに組み込みやすくなります。

2024年の大統領選による政治リスクも影響

2024年11月に予定されている米国の大統領選挙が近づいています。現大統領であるジョー・バイデンと共和党の挑戦者であるドナルド・トランプの間で激しい選挙戦が予想されています。この政治的な不確実性も金の価格をさらに下支えすると考えられます。

情勢不安にさらされている状況においては、金は高いパフォーマンスを示す傾向にあることが明らかになっています。

2023年11月への金ETFであるGLDへ約15億ドルの流入

2023年11月には、世界最大の金ETFであるGLDに約15億ドルの純流入があったという報道がありました。

この流入は、2022年3月以来で最大であり、5ヶ月連続の流出が続いた後に2023年11月に投資家の金への関心が再び高まったということになります。

2024年の金の動向はどうなるのか?

2024年に入ってからの数ヶ月では、金の価格が上昇する可能性が高いのではないでしょうか。

地政学リスクの高まりが金の価格をさらに押し上げる

連邦準備制度が、金利が高い水準にあることで、デフレや不況を引き起こす可能性があると示唆しています。銀行部門と労働市場における長期化する問題が、金の価格を底支えする可能性があります。

ヘッジファンド投資家であるPaul Tudor Jonesは以下のように述べています。

"現在、我々は第二次世界大戦以来最も弱い財政状況にあるアメリカが、史上最も脅威的で挑戦的な地政学的環境を直面している"
"金(およびビットコイン)は過去よりもポートフォリオの大きな部分を占めるべき"

Forbes

Bank of Americaは、金の価格が+18%となると予測

米国の金融機関であるBank of Americaも次のような見解を示しています。

Gold prices could climb as high as $2,400 per ounce by end of 2014 citing aggressive policy easing by the U.S. Federal Reserve and European Central Bank.

Reuters


つまり、Bank of Americaは、連邦準備制度が実際に早期の利下げを選択する場合、2024年には、金は、1オンスあたり2,400ドルに達すると予想しています。

これは、現在の水準から18%の急騰を記録する可能性があると予測しています。もし、そうであれば、2024年の金は、投資家にとって非常に魅力的な投資先の1つになると考えられます。

まとめ

直近の金の動向と2024年の展望についてまとめてみました。

将来の動向は誰にもわかりませんが、情報収集や投資判断の1つの参考になれば幸いです。

少しでも本記事が良いと思った方は、スキやフォロワーをしてもらえると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?