落語家のギャラ【前半・無料】

東京の真打の標準価格(最低価格?)は、10万円~15万円と言われます。
そこから人気によって値段が高くなると言われ、
笑点に出てるような人は100万円以上するとも噂されております。
(どこまでホンマかはわかりませんが…)

ただ、それは1つの噂であり、
実際はどういう風に噺家の価格が決まるのかを
市場原理から分析解説、いや予想していこうと思います。

落語家の寄席のギャラは安いとか言いますし、
ホール落語会の売上から逆算した場合、
「噺家がそんな値段のギャラをもらえてるのか?」について
非常に疑問が生まれます。
実はそれとこれとは両立するという話を書いていきます。

本日のnoteを読めば、貴方も自分で落語会を主催したり、
イベントの余興担当になったりした時に、
落語家さんを気持ちよく呼ぶことが可能です・・・(ホンマか?)

ちなみに芸能人のギャラの話ではありません。いわゆるライブで活躍する落語家さんのギャラの話と思って読んでください。

そして最後には「落語家のギャラとは気持ち1つ」と言われる”謎”が解き明かされます。
(途中までは無料です。怒られそうな核心部分から有料です。
いつかYOUTUBEで発表するかもしれませんので、有料部分は読まなくても良いかもしれません。ただ、YOUTUBEにしないかもしれません。先に読みたい方や応援して下さる方は有料部分も読んで下さい

真打の標準価格(最低定価)

「真打とは何か?」

真打とは何かと言えば、わかりやすく言えば、落語家の「品質保証」です。
一定の品質が保証された落語家である証で、基準としては「寄席でトリを取れる資格を持つ者」です。大体芸歴15年ぐらいで真打昇進するのですが、早いと芸歴10年くらいでも真打になります。

東京の落語家には「真打」制度がありますが、大阪には真打制度はありません(そもそも繁昌亭が出来るまでは寄席が数十年?以上存在していなかった)。
しかし、大阪も東京も、ほぼ同じ芸歴の噺家は同じギャラランクとして考えて良いので、芸歴10年~15年くらいの落語家の標準価格は10万円~15万円と考えてよいと思います。

「なぜ10万円~15万円が真打の標準価格(最低定価)と言われるのか?」

①真打とは「1人前の技術者の値段」です。
10年~15年かけないと習得できない「特殊技術」を持ってる噺家を呼ぶのです。そらまあ最低10万円から15万円のギャラはするでしょう。


この文章だけ読むと「そらそうや」と思うのが普通の感覚だと思います。
(この文章で「高い!あほか」と思う人は、この先を読んでも共感できないかと思います。すいません。)
ただ、一方で

「10年~15年かけて、そんだけの技術なのか?」と思う落語家もおるから、
そいつは10万円から15万円は高いんやないか???

と思う方がいらっしゃるのは否定しません。それについてはまた後述します。一旦、「10年~15年かけて習得する特殊技術を得た者」についての値段ですので、10万円~15万円のギャラというのを飲み込んでください。

あるいは、別の考え方でも、この相場に行きつきます。
噺家のギャラとは「あってないようなもの」と言われます。
この真意とは、「噺家が仕事を受けるかどうかは、その時の気持ち1つ」ということです。
ここから、下記②が導き出されます。

②ギャラとは、買い手から噺家への敬意の証として「たくさん出せませんが、私が出せる精一杯の金額がこれです」というお金です。
「真打=師匠と呼ばれる偉い人」に渡すのだから、金額は、キレの良い数字の10万円~15万円が標準価格(最低定価)になります。

いわゆる豪華な結婚式で祝儀を出す感じです。また「祝儀」みたいな金額ですので、ギャラそのものは「キレの良い数字」になり、10万円とか15万円になりやすいです(そこに交通費などが加算されたりした場合は、キレの悪い数字にはなりますが…)。そしてこれはあくまで「真打=師匠と呼ぶべき偉い人」に渡す標準価格(最低定価)です。

真打昇進すれば「真打」ですから。一番ランクが下の真打は芸歴10~15年の噺家(30歳前後)ですので、そこが10~15万円です。そして、そっからキャリアを重ねた偉い師匠や忙しそうな人気の師匠には20万円、30万円、、、という金額になるのは当然です。

(※でも「もっと安いギャラの真打もいるはず!」という”謎”については後述=「真打価格の暴落」にて書きます)

また、別の「買い手側の経済的理由」から考えると、

③素人さんが自前の落語会を開催した場合、プロの噺家に出せる金額が10万~15万円になりやすいので、それが標準となります。(以下で説明)

素人さんが個人で落語会をやってみたいと思った場合を考えてみましょう。

一般の人が知り合いに無理から声をかけて集められる人数は普通は30~50人です。3,000円の入場料を取った場合、売上は、9万円~15万円です。
会場は小さい会議室などでしょうし、チラシも自分で作ったりするので、そんなに経費はかからないので、おそらくその部分は自腹でしょう(自分の趣味に使うお金として問題ないと考えるでしょう)。
この売上から出せる噺家へのギャラは「売上全部」=「9~15万円」です。
→まさに真打の標準価格に近い金額です!

次に、もしも入場者数が100人の場合を考えてみましょう。
その場合、入場料3000円×100人なので、売上が30万円です。
ところが100人を集める場合、急に会場費が高くなります。
また宣伝費も高くなりますので、売上の半分が経費でなくなります。残った金額は、15万円です。結局同じような値段になります・・・。

ちなみに素人さんの落語会で、集客200人の場合、売上が60万円、経費が半分の30万円となります。
しかし、芸能人でもなく、地方で素人さん主催で200人を集められる噺家は「落語世界でもかなりの実力者(&その世界の有名人)」ですので、ギャラは20~30万円という感じでしょうか。
(※ここから読み取れる別なことは、落語会の世話人は、一切儲からない「ただの道楽」ということです。)

上記のような経済的事情により、落語好きの人が落語会を開催した場合、プロに支払える金額は10万~15万円に収束しやすいです。

そして後述しますが、落語家は「気持ちの良いところで落語をしたい」ので、落語好きの人が敬意や愛情を持って開催している落語会は「よい落語会」(楽しい落語会)ですので、出演してくれやすいです。

落語好きのお客様が集まってる落語会で、落語がやりやすい状況なら(良い環境なら)、仕事を引き受けやすいです。つまり、買い手と売り手の「経済と気持ちのバランス」が一致する金額が10万~15万円になりやすいとも言えます。ただし、あくまで「なりやすい」だけですが。

以上のことから、真打の標準価格は10~15万円になりやすいということです。

真打定価が暴落する場合

さきほど触れた「もっと安いギャラの真打もいるはず!」という謎についてここから書きます。

以下は、怒られそうな内容なので、有料です。

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