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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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2024年3月の記事一覧

いまこそ、カンパニーへ

企業や、企業で働く人に、産業僧として何ができるか。体験を重ねるなかで感じているのは、必要とされている僧侶のスキル(あえてスキルと呼んでみたい)は、「布教力」ではないかということだ。 僧侶は、言ってみれば、ブッダや祖師の説いた教えを翻訳、伝達する「翻訳者」である。仏教が説く普遍的な智慧や教えは、現代を生きる人々、そして、目の前にある人の日常にどのようにはたらくかー。人生を歩むにあたって、どんな意味をもち得るかー。その答えは縁によって様々だが、どのような状況にある相手であっても

変わりたくない、変わらねばならない。

終身雇用が一般的だった時代、会社の中には生え抜き社員の方が大半で、転職組は少数だったかもしれない。最近は、企業規模や業種にかかわらず、中途採用で働く人がずいぶん増えた。 産業僧としてさまざまな企業とご縁をいただいている。担当者として対応くださっていた方が、翌月伺った時には、退職されたと知らされることも何度かある。ふだん、住職の方々との付き合いが多い自分にとっては、「僧侶を辞める」とか、「宗派を変える」「お寺を変える」といったことは滅多にないので、そうした人の変化は新鮮でもあ