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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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方丈庵 Latest News!|2024.4.26

◉ 朝日新聞デジタル連載「松本紹圭の抜苦与楽」(第6回)掲載のお知らせ ▼ 期間限定 無料公開ページ(〜4月27日AM 08:05) ▼ 有料ページ ◉ 4/30 トークイベント|SHIBAURA HOUSE × Pakhuis de Zwijger ◉ 5/10 トークイベント|在日スイス領事館

私がみる循環葬 <後編>

<前編はこちら> 世界の動きと、ヒューマン・コンポスティングという選択肢今から6年前、金沢21世紀美術館で「DeathLAB:死を民主化せよ」(期間:2018年7月7日-2019年3月24日)が開催された。建築家のカーラ・マリア・ロススタインは、2013年に米国コロンビア大学大学院に「DeathLAB(死の研究所)」を創設。宗教や民族を超えた新たな葬送について、建築、宗教学、地球環境工学、生物学といった多分野から横断的に研究し、死の扱い方について、人々の意識を足元から掘り起

私がみる循環葬 <前編>

人のヒストリーやアイデンティティを支える基盤には、国、民族、地域コミュニティー、職業といった所属先とも言える拠り所がある。私たちは生まれて間もなく、何処の誰であるかの属性と、依るべきところ、帰るべきところを、生まれた土地の社会から授かっている。その最小単位に「家」がある。 家や家系は、唯一無二の縁に他ならない。けれど、人の一生を支える無数の縁を思えば、その強さや深さは、一生を振り返って初めて浮かび上がるようなものかもしれない。そして、縁には始まりも終わりもなく、結ばれほどけ

方丈庵 Latest News!|2024.4.19

◉ トークイベントのお知らせ|SHIBAURA HOUSE × Pakhuis de Zwijger ◉ Web掲載のお知らせ

NY短期出張メモ

大学の仕事でNYCに短時間行ってきた。短時間の滞在のために飛行機で太平洋を横断するのは地球にも自分の身体にも負担が大きいので、このような出張スケジュールになってしまったことはとても残念で、反省しているのだが、だからこそなるべく役に立てたいと思い、印象に残ったことをランダムにメモしてみたい。

いまこそ、カンパニーへ

企業や、企業で働く人に、産業僧として何ができるか。体験を重ねるなかで感じているのは、必要とされている僧侶のスキル(あえてスキルと呼んでみたい)は、「布教力」ではないかということだ。 僧侶は、言ってみれば、ブッダや祖師の説いた教えを翻訳、伝達する「翻訳者」である。仏教が説く普遍的な智慧や教えは、現代を生きる人々、そして、目の前にある人の日常にどのようにはたらくかー。人生を歩むにあたって、どんな意味をもち得るかー。その答えは縁によって様々だが、どのような状況にある相手であっても

変わりたくない、変わらねばならない。

終身雇用が一般的だった時代、会社の中には生え抜き社員の方が大半で、転職組は少数だったかもしれない。最近は、企業規模や業種にかかわらず、中途採用で働く人がずいぶん増えた。 産業僧としてさまざまな企業とご縁をいただいている。担当者として対応くださっていた方が、翌月伺った時には、退職されたと知らされることも何度かある。ふだん、住職の方々との付き合いが多い自分にとっては、「僧侶を辞める」とか、「宗派を変える」「お寺を変える」といったことは滅多にないので、そうした人の変化は新鮮でもあ

能力とは、何か

能力とは、何か。 「既に備わっているもの」「身につけていくもの」「鍛え高めるもの」と、捉え方はいろいろありそうです。 仏教には「開発(かいほつ)」という言葉があります。開発(かいほつ)は、本来あるものが養われていくプロセスであり、開発されるのは、そこにある仏性という「可能性」と言ってもいいかもしれません。 そこにあるものが、縁(他者や環境要素との関わり)のうえにひらかれ、生かされ、育まれる。自力によるはたらきと、他からもたらされるもの。内から湧き出る「おのずから」と、「

先住民に問う、真に新しいもの

ここ数年、世界経済フォーラムの会場やプログラムには、アートの要素がふんだんに取り込まれている。どんなにテクノロジーが発展しても、分断、限界、危機といったテーマのやまない世界に行き詰まりを感じるなかで、思考をゆるめ、感性と意識をひらく場が必要とされている。表現は、固有性を写しながらも時空間をつなぐ媒介になる。アートが理論や概念を超えて広く響くメッセージを孕んでいるのは、いつの時代も同じだろう。 スイス山間部の長閑な町で、分野を超えた人々が、火を囲んで語らうようになって50年。

方丈庵 Latest News!|2024.2.6

◉ 朝日新聞デジタル連載「松本紹圭の抜苦与楽」(第5回)掲載のお知らせ ▼ 期間限定 無料公開ページ(〜2月7日AM 9:49) https://digital.asahi.com/articles/ASS1Z6292S1TULLI004.html?ptoken=01HNXY92EAVGC3BDKNXW979D7D ▼ 有料ページ ◉ Web・雑誌掲載|Forbes JAPAN

ダボスにて@世界経済フォーラム 2024(2)

引き続き、世界経済フォーラム(2024年1月15日ー 19日) の備忘録をシェアしたい。 ◉ イベント:マインドフル・メディテーション with Penny Low ダボス会議の期間中は、メイン会場で行われる公式MTGの他に、会場外では世界から集まる国や企業、個人が主催するの様々なイベントが行われている。 今回、友人のPenny Low氏からの誘いを受けて、モーニングイベント「Mindful Meditation」を開いた。Pennyはシンガポールの国会議員を長年務め、

ダボスにて@世界経済フォーラム 2024(1)

2024年1月15日ー 19日、第54回世界経済フォーラム(ダボス会議)がスイス・ダボスで開催され、今回も参加のご縁をいただいた。 ここ3年続けて出席をしていると、顔見知りも増えてくる。朝から晩まで代わる代わる人に会い、話をして、イベントに参加する怒涛の日々、全力疾走の一週間でもある。 毎回、期間中は追われるように毎日が過ぎていくものの、会を重ねるうちに、宗教者として自分がここに参加している意味や役割がだんだんみえてきている実感もある。それが何より、自分にとっての収穫かも

ダボスにて@世界経済フォーラム 2024 -Faith in Action:信頼の再構築へ

2024年1月15日(月)~ 19日(金)スイス・ダボスで開催された第54回世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加した。今回のテーマは「Rebuilding Trust(信頼の再構築へ)」。 全日程を終えて、友人に会うためイギリスを経由して帰路に着くなか、印象的だったフォーラム最終日を振り返りたい。 朝、ダボス市庁舎で開かれた静かな「祈り」の場に参加した。 世界の不当な拷問をなくすため宗教を超えて共に祈りを捧げる集まりで、スイス・ジュネーブに拠点を置くNGO「Inter

方丈庵 Latest News!|2024.1.16

◉ 『TIME』誌掲載 米国タイム誌が発行する「ダボス特別号」への寄稿文が掲載されました。 『TIME』 DAVOS 2024:IDEAS OF THE YEAR "idea to help rebuild trust in 2024" 【日本語訳】 ◉ 2月18日(日) トークイベントのご案内|朝日新聞デジタル 2023年5月より連載中の朝日新聞デジタル「Re:Ron」主催のトークイベントで、組織開発コンサルタントの勅使川原真衣さんと対談いたします。 ぜひ、会場へ