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【無料】仏教入門ノート03 宗教ってなに?③ 世界宗教

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前回の記事では宗教のはじまりと民族宗教についてお話ししました。
今回は世界宗教についてのお話です。

(1)世界宗教のなりたち

民族宗教が生まれ時代を経ていくと、今度はこの民族宗教的な土壌の上で、さらに思索を深め、特定の民族だけではなく人類みんなに受け入れられるような普遍的な教えを説く人があらわれます。

たとえば、
バラモン教の土壌であらわれたのが仏教の開祖であるお釈迦様ですし。
ユダヤ教の土壌であらわれたのがキリスト教の祖であるイエスキリストです。


お釈迦様やイエスキリスト、そして一神教の土壌で新たな教えを説いたイスラム教のムハンマド、このような人々の教えは特定の民族だけでなく、垣根を超えて世界的に受け入れられていきました。

このような宗教のことを世界宗教(創唱宗教)と言います。


(2)世界宗教の特徴と分類

世界宗教の特徴として、

①創唱者がいる。
②教典がある。
③教えが全人類に対しての普遍性をもっている。

という点があげられます。

現在、有名なものとしては、上にあげた、仏教・キリスト教・イスラム教、が最もメジャーな世界宗教(世界三大宗教)ということになっています。

しかし、宗教の中には「教えの内容やあり方としては世界宗教的なんだけど、実質的には民族間でのみ信仰されている」という理由で民族宗教のほうに振り分けられている宗教もあります。

その宗教が何かのキッカケで世界に広まれば、その時点でその教えは世界宗教になるわけです。

逆に言えば、世界宗教とされている宗教であっても、信者が激減して特定の民族間でだけ信じられるようになり、民族宗教に分類されるという日が来ないとも限りません。

実際、仏教が生まれた地であるインドでは、仏教徒が激減し消滅しそうになったことがありました。
今でもインドでは仏教徒は超少数派で1%くらいしかいないと言われています。

ちなみに、私が所属する浄土真宗(本願寺派)という宗派だけをとって見てみると、教え自体は完全に世界宗教ですし、世界宗教としての条件も満たしているんですが、今現在実質的に信仰している人は日本人か日本文化の中で暮らす人、もしくは海外の日系人がほとんどですので、実態としては「日本に関係している人の民族宗教」みたいな感じになっています。
ここらへんは、言語の壁と文化の壁の厚さを感じます。

このように、仏教という大きなくくりで見れば世界宗教だけど、小さな集まりで見ると民族宗教的ということもあるわけです。
その点、カトリックなんかはまさにキング・オブ・世界宗教って感じがしますよね。

そんなことを考えていくと、民族宗教と世界宗教という分け方も必ずしもガッチリと厳密に分けられたものではないということがわかります。あくまでも便宜的な分け方なんですね。

また、民族宗教とか世界宗教という名前のイメージから、「世界宗教の方が民族宗教よりも優れた宗教である」と受け取られかねない危険性があるので一応言っておきますが、そもそもこの分類は優れているとか劣っているという意味での分類ではありません。

宗教は外から眺めていると色々と比較して比べがちですが、その教えを信仰している人にとっては、その宗教が唯一の宗教なのです。

しかも自分の存在自体の「むね」であり、よりどころとなっている教えですから、あまり「コレの方が良いよね、アレは良くないよね」と軽々しく言うもんじゃありません。それこそ、国によっては大問題になったりします。

無宗教の人には感覚的にわかりにくいところですが、デリカシーというかマナーというか、そういう意味で注意が必要なところです。


(3)世界宗教の中の仏教

宗教は分類上、民族宗教と世界宗教に分けることができて、仏教は世界宗教に分類されるということをお話ししました。

では、世界宗教の中で仏教はどういう位置づけなのでしょうか?

世界三大宗教は

①キリスト教
②イスラム教
③仏教

でしたよね。

この中のキリスト教とイスラム教の2つは、元をたどればユダヤ教にいきつきます。

民族宗教であるユダヤ教(アブラハムの宗教)の土壌からキリスト教が生まれましたので、ユダヤ教とキリスト教が崇拝している神は同じ神です。またイスラム教では、その同じ神から選ばれた最後の預言者ムハンマドが説いたのがイスラム教であるということになっています。
つまり、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教、は解釈や表現の仕方は違っても、根本的には同じ神を信仰して、その神に救われていくことを説く宗教なのです。

では、仏教はどうかと言うと、バラモン教という宗教の土壌から生まれた宗教ですので、そもそもの土壌が違います。三大宗教とは言え、実はこの3つの中で仏教はかなり異質な宗教なのです。

唯一絶対の神を信仰して救われるのではなく、自分自身がさとりを開くことによって「生まれ変わり死に変りする苦しみの輪廻」から「解脱する」ということを目的としています。

一神教は「救い型の宗教」で、仏教は「さとり型の宗教」と言うこともできるのではないかなと思います。

ちなみに、私の宗派は浄土真宗でして、浄土系の仏教は構造的にキリスト教と似ていると言われることがあります。
確かに、阿弥陀仏一仏の救いを説きますから、ぱっと見の構造的には似てるっちゃ似てるんですよね。
でも、その救いも、さとりを前提とした救いであり、救いがそのままさとりに繋がってるので、やっぱり浄土系の仏教もさとり型の宗教なのです。(ここらへんは機会がありましたらちゃんと説明します)

(4)次回予告 お釈迦様以前のインド宗教事情

さて、今回で一応は宗教という大きなくくりでのお話については終わりです。
大変にザックリしたものですが、これ以上やると「仏教入門ノートなのに全然仏教が出て来ないやないか~い!」と言われてしまうので終わりです。


次回は、仏教が生まれた土壌となったバラモン教のお話をさせていただこうと思っております。

いや、また仏教とちゃうんか~い!!

次回もよろしければ読んでみてくださいね。

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