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世界で初めて手話を覚え、人間と会話を交わしたゴリラがいます。メスのローランドゴリラ・Kokoです。
生後3ヶ月の頃より、発達心理学者のフランシーヌ・パターソン氏に手話を教わりはじめ、2012年の時点では2000語以上の単語を使うことができるようになり、時には嘘やジョークを言うこともあったと言います。

ペットの猫の死を知り、大きな声で泣き続けた

飼育係のパターソンがKokoに絵本を読み聞かせていたところ、Kokoは絵本に出てきた猫を気に入り、誕生日プレゼントに猫をおねだりしました。 おもちゃの猫を与えたのですが、Kokoが気に入ることはありませんでした。

そこで、「ゴリラが別の動物をペットとして飼育することができるのか」という実験も兼ねて、議論の末、本物の生きた子猫を与えることとなりました。3匹の子猫が候補となり、Kokoはその中から1匹を選び、「ボール」と名づけ、ゴリラと猫の生活が始まりました。

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当初、飼育員たちは、Kokoがボールを殺してしまうことを危惧していましたが、Kokoはボールの体を舐めたり、抱きかかえたりして、愛情込めてボールを育てていきました。

しかし、ある日のこと、ボールが外に出てしまい、車に轢かれて死んでしまいます。
パターソン氏がそのことを手話でKokoに伝えたところ、Kokoは少しの間沈黙した後に「話したくない」と答えました。
その後、Kokoは、手話でボールへの愛情や悲哀の言葉を繰り返し、大きな声で泣き続けました。このときの様子は映像としても記録されており、Kokoの悲しむ様子もはっきりと確認できたそうです。

「死」の概念も理解していた

Kokoの会話能力には目を見張るものがありましたが、なによりも驚かされたのは、Kokoが死の概念を理解し、それを手話で表現できるということでした。

ボールの死のときもそうでしたが、親交があったという俳優のロビン・ウィリアムズの訃報を聞いた際にも、深い悲しみを伝えてきたと言います。

ロビンウイリアムスと

また、手話で「ゴリラはいつ死ぬのか?」と問われると「歳をとり、病気で」と回答し、「その時何を感じるのか?」という質問には、「眠る」とだけ答えました。
そして、「死んだゴリラはどこへ行くのか?」と聞かれると、「苦痛のない穴に、さようなら」と答えたと言います。

環境問題へのメッセージ

そんなKokoが人間に送ったメッセージがあります。

この映像は、2015年に開催された「第21回 気候変動枠組条約締約国会議」(COP21)で公開されました。

「私はゴリラ」
「私は花、動物」
「私は自然」
「人間、Koko大好き」
「地球、Koko大好き」
「だけど、人間はバカ…バカ」
「Koko、残念」
「Koko、泣く」
「時間、急いで」
「地球を治して、地球を助けて、地球を守って」
「自然があなたを見てる」
「ありがとう」


このメッセージ、人間は、そしてあなたは、どう受け止めるでしょうか?

Kokoは、その3年後、47歳でこの世を去りました。

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