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OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める|読書メモ

なぜ読もうと思ったか?

タイトルにあるオープネスというキーワードを目にしたときに「何でもかんでもオープンな状態になっているということは必ずしも良いことではない」という自分なりの肌感を想起したが、個別具体のケース以外ではちゃんと考えたことがなく、どんな状態だと良いのかというところまではちゃんと整理できていなかったことに気づき、このテーマに興味をもった。

また、自分自身何度か転職をしてきた中で会社選びをする際に必ず気にしている軸のひとつがタイトルにもある「職場の空気感」であったが、こちらも良い状態の定義ができていなかったため、本書から下記の点を学べるんじゃないかという期待のもとに読むことにした。

・職場の空気感が良いというのはどんな状態をいうのか?
・職場の空気感の良さは組織にどのような効果をもたらすのか?

・風通しの良い組織とは?

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職場の空気感が良いというのはどんな状態をいうのか?

端的にまとめると職場の空気感が良い状態=「職場の満足度が高い状態」であると理解している。そして、職場の満足度を左右する要素としては以下の5要素が挙げられる(オープンワーク社のデータを元にした著者の分析結果)。

職場の満足度に影響を与える要素
・風通しの良さ(≒オープネス)
・人材の長期育成
・法令遵守意識
・待遇面の満足度
・社員の士気

詳細は省略するが、それぞれの分析結果が下記の整理となる。

すでに満足している要素
・法令遵守意識

期待値があまりに高すぎるため、先に期待値を調整する必要がある要素
・人材の長期育成
・待遇面の満足度

改善できそうなもの
・風通しの良さ(≒オープネス)
・社員の士気

上記のとおり職場の満足度に影響を与える要素の中で改善できる余地があるのは「風通しの良さ(≒オープネス)」と「社員の士気」の2つであり、この項目について理解し、改善していくことが職場の空気を良くしていくにあたって最も高い投資対効果を得られる道となる。

また、著者の調査の結果、「風通しが悪いのに、社員の士気が高い会社」は世の中にごくわずかしかないことが分かった。つまり、風通しの良さは社員の士気を高める上で必須であり、先に手をつけるべきは風通しを良くすることである。


職場の空気感の良さは組織にどんな効果をもたらすのか?

職場の満足度とROA(総資産利益率:全ての資本をいかに効率的に運用できているかを表す指標)には正の相関があり、職場の満足度が高い企業は将来的に業界平均を上回るパフォーマンスが出やすい。

また、著者が職場の空気に応じて投資(詳細は本書参照)した結果、ファンドのリターンが平均値より高かったことから、職場の空気は将来の財務指標にも強い影響を与えるようだ。


風通しの良い組織とは?

本書のタイトルにあるオープネスだが、オープネスとは情報の透明性であり、戦略のクリアさであり、リーダーの自己開示性とのことである。具体的には以下の3つの要素であると本書では定義されている。

オープネスを決める3つの要素
1. 経営開放性
2. 情報開放性
3. 自己開示性

それぞれの要素を簡潔にまとめると以下のとおりとなる。

経営開放性とは
経営者が社員にどれだけ情報を開示しているか?取締役・執行役員の顔と名前、思想などを現場のメンバーが認知、理解している割合

情報開放性とは
従業員が自分の仕事を意思決定する上での十分な情報が容易にアクセスできる状態にあると感じている割合

自己開示性とは
従業員がありのまま自分の才能を自由に表現しても、他者から意図的な攻撃を受けないと信じている割合

詳細は本書を読んでいただければと思うが、職場の満足度に影響を与える5要素の内、改善できそうな要素にプロットされている「風通しの良さ」は上記の3要素全てと強く関係している。

風通しの良い組織とは
上記の経営開放性、情報開放性、自己開示性の実態が従業員の期待値を満たしている組織である。
それは友達のようになんでも話せてゆるゆると楽しめるみたいなことではなく、「成果を出すために、健全に意見をぶつけあえる場」をいう。


その他、刺さったパンチライン5選

●成長とは「自分で手に入れるもの」であるにもかかわらず、多くの人々は「上司や会社が与えてくれるもの」だと過度に期待している

●すべての組織的問題は、現実が期待値を下回ることで勃発する

●オープネスの高い組織と低い組織を見極めるには、その組織でどれだけ失敗の情報や経営者の失敗談、かっこ悪いところが知られているかがポイントになることが多い

●人は自分の役割に応じて行動を変える

●「結論」だけでなく「思考のプロセス」を明確に語るリーダーが組織の弱体化を防ぐ


まとめ

職場の空気感(職場の満足度)を定量的に把握し、その結果において「風通しの良さ」と「社員の士気」が従業員の期待値を満たしていなかった場合はなにはなくともまずは風通しを良くするために以下のアクションに注力することが大事。

経営開放性を高めるアクション例
・チームで何を成し遂げたいか、ビジョンを伝え続ける
・3年単位、1年単位、3か月単位で組織、チームが何に注力していくかを発信する
・組織が現状もっている課題を隠さず、一緒に解決していく姿勢を取る
・リーダー自らの過去の大きな失敗やミスをメンバーにオープンにする

情報開放性を高めるアクション例
・普段のどんな人と出会い、どんな話をしているかを積極的に共有する
・失敗が起きたときに、個人ではなく仕組みの改善を検討する
・自身の経験だけではなく、ケースを整理した上で議論を分ける
・1on1とオープンな場所で質疑応答できる機会を両方つくる

自己開示性を高めるアクション例
・チームの成功を自身の成功よりも喜ぶ
・人柄や性格の多様性を歓迎する
・立場の壁をつくらず、フラットなコニュニケーションがしやすい雰囲気をつくる
・メンバーのモチベーションの源泉を知る努力をする

(引用:リーダーができるオープネスを高めるアクション12選)

以上の内容をヒントに取り組んでいけば、職場の満足度が高まり、結果として将来的に業界平均を上回るパフォーマンスを出せる組織へ進化できるというエビデンスを得ることができた。

まずは今後「風通しの良さ」と「社員の士気」に注視しサーベイの結果等を読み解いていくことにしたい。


個人的所感

読む前に設定した自分の問いに対して解を得られたことはすごく良かった。ただ、本書を読み終えて最初に想起し、最も自分の中での学びになったと感じたことは「風通しの良さと当事者意識の関係性」についてだった。

例えば、上司が部下の当事者意識を醸成するための代表的な問いである「お前はどうしたいんだ?」のケース。

上司に「お前はどうしたいんだ?」と問われたとき、本書で言及されている「オープネスを決める3つの要素」が実現されていなければ、当事者意識の醸成なんて以ての外で、部下としては的を射た回答をすらできない。

【経営開放性の観点】
経営者や事業の考えみたいなものが共有されていなければその視点で考えることはできない。おそらく個人の視点に留まった「おれはこうしたいんだ!」になり、そこにはなんらかのズレが発生する

【情報開放性の観点】
自分の仕事を意思決定する上での十分な情報がなければ、おそらく誤った「おれはこうしたいんだ!」になり、前提が異なっていたり、考慮漏れが発生するなど手戻りが発生する

【自己開示性の観点】
これを言うと批判、否定されてしまうんじゃないかという感情のもと、おそらく上司の顔色をみた「おれはこうしたいんだ!」になり、そこには当事者意識など到底生まれない

以上、ざざっと書いたとおり、当事者意識と「風通しの良さ(≒オープネス)」は切っても切り離せない密な関係であるため、当事者意識の高い組織(これは社員の士気の高い組織とも捉えられる)にしていくためにはベースとして風通しの良さを追求していかなければならないということを自分の中で納得度高く整理できたことが本書からの最大の収穫だったと感じている。

(ちょっとまとめ方が雑だったので、適宜アップデートしていこう)

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