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驚きの海外生活「20時まで練習しても外が明るい...!?」【尾崎有飛さんインタビューVol.2】

第1回に引き続き、尾崎有飛先生のインタビューをお届けします!
第2回では、留学時代のお話や印象に残ったコンサート、そして5/3『時代を巡る3種の鍵盤』への意気込みなどをお伺いしました!

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ー次に、プライベートな質問もさせていただきます。
今回のインタビューは音大生の方も多く読まれるかなと思います。大学生の時はどのくらい練習されてましたか?

1日練習詰めみたいな感じではなかったですね。時間よりも効率重視で練習したかったので。
ドイツだと日本みたいに何時間でも弾けるっていう環境じゃないんですよ。例えば練習室はこの学校のようにたくさんあるわけではないし、防音付きの音大生向けのアパートもないんです。
音大生が楽器を出してもいいアパートはありますけど、10時から18時のように時間が限られています。その代わり、学校が平日夜中12時まで空いてたりはします。

ーなるほど、環境によっても変わりますね。ではその留学についてですが、日本と海外の大学で特に違っているところは何でしたか?

学生として日本の大学にいたのは短期間なので、学生目線で言うのは難しいんですけど、日本の大学生の方がヨーロッパの学生より忙しいと思います。授業の数が違うのかもしれないけど、日本だとあれもこれもやらなきゃってなるんじゃないですかね。
ドイツの大学にいる時の方が、まず自分で何をやろうかを考えなきゃいけないっていうか、選択肢が委ねられているという感じがします。

でも何を学ぶかっていうよりも個人的に一番差が大きいと思ったのは、季節の感じ方の違いですかね。僕がいた北ドイツは、夏は日本よりずっと日が長いし、冬は日本よりずっと日が短いんですよ。
例えば夏だったら、朝は5時頃から明るくなるけど、サマータイムで夜は10時半ぐらいまで真っ暗にはならないんです。

ーえぇ!?日の入りがすごく遅いんですね、なかなか感覚が掴めないです…

例えば8時まで練習して学校を出てもまだ明るいんですよ。そこから友達とレストランに行って、まだ明るいテラス席でビール飲んだりするんですよ。なんなら10時ぐらいには食べ終わって、 もう1回学校戻って12時まで練習しようかみたいなことも出来る。
だから、生活はとてものびのびとしていました。
その代わり冬は悲惨で、朝9時になったってまだ暗いし、夕方は4時にはもう真っ暗で(笑)
それがすごく面白かったです。


留学中の先生との練習風景

ー海外での生活は新鮮で面白いですね…!
次の質問になりますが、今まで行ったコンサートで特に印象に残っているものがあれば教えてください。

留学中にベルリンフィルを聴きに行ったんですよ。
僕が留学していた時はサイモン・ラトルが指揮者だったんですけど、その前任のクラウディオ・アバドっていう指揮者が来た時があったんです。その演奏を聴いた時、かつて毎週のように一緒に演奏していた指揮者が戻ってきて、また一緒に音楽できるということに演奏者たちがすごく喜んでいるのが伝わってきましたね。家族のようにすごく温かくて、帰ってきてくれてありがとうっていう、幸せなオーラがステージに満ちているのを感じました。

演奏家ってそういう幸せもあるんだなっていうのを知れたので、そのコンサートはすごく印象に残ってるんですよね。
お客さんもベルリンの人たちが集まっていて、かつてこの街で演奏してくれていた指揮者がまた戻ってきてくれたんだっていう、すごくアットホームでウェルカムの雰囲気がホールに満ちているっていう、すごく良い体験だったなと思います。

ーあたたかいお話に、とても感慨深い気持ちになりました…!
では最後になりますが、コンサートへの意気込みやお客様へのメッセージをお願いします。

その日コンサートに集まった方々というのは、他のコンサートでも同じ面々が集まるってことはないわけですから、いつも演奏するときはその場に調和する演奏をしようと思っているんです。

でも今回に関しては、チェンバロを聴いて、フォルテピアノを聴いて、そしてモダンピアノとくるうえに、しかもそれをファツィオリにしているので、あえて違うところだったり、ファツィオリの音を楽しんでもらうことを目指したいなと思っています。

あと、特に平均律(バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻より第1番「前奏曲」)は3種類の楽器で、しかも同じホールで、同じ音響で聴き比べられるっていう、なかなか無い機会ですよね。

YouTubeなどでそれぞれ検索すれば、音源としては聴き比べられるけど、同じ場所(同じ音響)で同じ曲を3回立て続けに違う楽器で聴くっていうのは、ものすごく面白いと思うんですよね。

だから、僕は現代ピアノの面白さというのがわかる演奏をしたいなと思っています。

ー今回の企画ではやはり3種の鍵盤それぞれの魅力が際立ちますね。
本日はたくさんの貴重なお話をありがとうございました!

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2回にわたりお届けしましたが、みなさんお楽しみいただけましたでしょうか?
学生の私たちに分かりやすく丁寧に説明してくださり、穏やかにインタビューを行うことができました。
尾崎先生の華麗なる演奏とファツィオリのコラボをぜひご堪能ください!!


〈公演概要〉

「時代を巡る3種の鍵盤~あなたの知らない変遷がここに~」
2024年5月3日(金・祝)
開場 15:30 開演16:00
会場 昭和音楽大学 南校舎5階 ユリホール
〈チケット〉
一般:3,000円 ゆりフレンズ:2,700円 学生:1,500円
チケット購入先:https://www.tosei-showa-music.ac.jp/concert/ticket.html
〈自主企画公式HP〉


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