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「なつかしのきもの」・井上靖作「猟銃」をテーマに

京都新聞の連載原稿からの抜粋です。
2018年頃から約3年間、京都新聞で「なつかしのきもの」というシリーズを連載しました。このシリーズのうち、「京都編」は京都の周辺でロケをしています。
その際の画像とメイキングの記録です。

1 「猟銃」ストーリー

この回でテーマにしたのは、井上靖の作品「猟銃」です。猟銃というタイトルから予想されるような、ワイルドな内容ではく、恋愛をテーマにした小説です。
詩の同人雑誌に自己流のを掲載している「私」の所へ三杉穣介という全く面識の無い男性から手紙が届き、その手紙には「機関誌に掲載された詩を拝読して、描かれている猟人は自分のことではないかと思いました。手元に自分宛ての3通の手紙があるのですが、貴方(=私)に読んで頂きたい気持ちが起こりました。」と書かれていました。翌々日、三杉に宛てて書かれた3通の手紙が別便で「私」の所に送付されます。
その手紙の差出人は、
三杉穣介の妻みどり、愛人の彩子、彩子の娘、薔子です。手紙を主に構成され、3名がそれぞれの考えを三杉に訴えかけます。
舞台は西宮など、いわゆる阪神間なのも読者に親しみが持てると思い、この小説を選んでいます。

2 モデルの設定と着物

モデルは一応、愛人の彩子を想定しています。撮影場所は
アサヒビール大山崎山荘美術館です。このテラスが町を一望して素敵なので、この場所を選んでいます。
小説は1949年に発表されたので、戦後まもなくです。着物には昭和のテイストを、ということで、大島のアンサンブルを選びました。

3 メイキング

ヘアメイクは里美美代子先生に担当して頂いています。毎回筆者の出す無理難題に応えていただき、良い原稿となりました。この年代のヘアを実際にみておられるので、リアルな再現です。後れ毛のカールが昭和でした。

撮影シーンです。

大山崎山荘美術館はどこを撮影しても絵になります。特にこの階段のステンドグラスが素敵でした。紬の着物でもう1カット撮影しました。大島は良いですね。着るだけでマダムの雰囲気が出ます。
【参考】猟銃 井上靖著 猟銃・闘牛 (新潮文庫)
手紙を読み進むうちに、不倫の真相が明らかになる面白さがあります。最近はあまり読まれずもはや古典ですが、一読をおすすめします。

似内惠子(一般社団法人昭和きもの愛好会理事)
(この原稿の著作権は昭和きもの愛好会に属します。無断転載を禁じます)

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