見出し画像

「空太郎」あとがき【解説】


 最後まで読んでくださったみなさん。
 読んでくださって感謝申し上げます。この話は,今から20年近く前に,ある思いつきが元になってできあがった作品です。
 「どんなところからそれを思いつくのだろう」素晴らしい小説を読んだり,音楽を聴いたり,映画を観るたびに,その発想の源泉はなんなのだろうと思います。
 わたしもそんな面白いものを素晴らしいものを発掘してみたいと願う気持ちやその発想の秘密の一端に触れてみたいという思いがあるからです。また,その発想の源に関してあれやこれや想像してみるのも,作品を楽しむ一つのあり方だという思いもあります。
 そこで,誰にも需要はないかも知れませんが,この「空太郎」という話を読まれて,こいつはどこからこれを思いついたんだろうという方のために,そのいきさつを記しておこうと思います。

 さて,私の場合はですが…本当に恥ずかしい限りですが,それはパロディでした。いや違うな。パロディとか何か品の良いものじゃないな。ダジャレ。そう,冒頭の「思いつき」とはダジャレのことです。
 ね,恥ずかしいでしょう。
 わたしは,親父と呼ばれるにはまだ相当若い時分から,「親父ギャグが」大好きで…ん,これも違うな。大好きな訳じゃないな。言わずにはいられないという感じでしょうか。脳の構造が何か変質しているところがあるのかも知れません。
 例えば,「いか」なんてワードを与えられた日には,そういうことを考えるのは「いかがなものか」と思いますが「いかがわしい」ことをしている訳ではないし,もしかして「いかしてる」かななんて「い~かげんにしろ」と言われそうな,こういうダジャレを只管口走ってしまうと言う。変態ですね。聞かされていた周りの人間はたまったものじゃありません。

 で,「空太郎」というタイトルです。
 「からたろう」。
 はい,もうお気付きでしょうか。
 「からたろう」=「ち・からたろう」=力太郎です。
 「力太郎」は岩手に伝わる昔話で知らない人はそういないのではないでしょうか。人の垢から生まれた人形に命が芽生え,長じてたいへんな力持ちとなり,力太郎と名乗って冒険の旅に出る,というお話です。
 この「ちから」から「ち」を抜いて「から」。さらに漢字を当てはめて「空太郎」。力漲る正統派主人公に対して,たった一音抜いただけで真逆のイメージを持つ,およそ主人公にはなり得ない,頼りないキャラクターのできあがりです。
 正統派の力太郎がチート過ぎるスーパーパワーでライバルも化け物もぶっ飛ばす,まるでワンパンマンのような活躍をするのに対して,「空っぽ」にするしか能のないキャラクターにしたら面白いだろうなと,まあそんな感じです。(20年前ワンパンマンいないけど)
 ところで今話題にしたワンパンマンですが,これ,発想はアンパンマンからですか?だとしたら,空太郎と似ていてさらに親近感感じますね。(この漫画大好きなんで)もちろん,物語のスケールは向こうが遙かに上ですけど。発想がそこからなら興味深いです。
 空太郎は,白蛇の親玉から不思議な力を授かるのですが,これに関しても,元ネタがあります。お分かりでしょうか。分かるわけないか。子どもの頃読んだ民話にこんな話がありました。
 ある男が,大蛇の持つ不思議な丸薬を手に入れます。それを飲むと,それまで食べたものが全て消化されて,またいくらでも食べられるようになるという,そういう効能があるという丸薬です。この丸薬をもとに,男は大食い大会に臨むのですが,ここぞという場面でその丸薬を飲むと,はたして男は着物だけ残してきれいさっぱり溶けて無くなってしまうのでした。そうです。その丸薬は,大蛇用の胃薬で,餌とした人間を溶かすための薬なのでした。
 この話と空太郎が結びついて,あんな話になったのです。もしかしたら,ヒロインの無理難題は「かぐや姫」から来ているのかも。今,思いつきましたが。
 ということで,お読みいただいた「空太郎」は,創作というには何とも恥ずかしいダジャレが源泉のパロディの寄せ集めでしたという,裏話で,あとがきとしたいと思います。他の方々は,どうやってお話を思いつかれているのでしょうか。興味津々です。
 では,次回はまた別のネタで,ご機嫌伺えればと思います。(ここは、「武田鉄矢今朝の三枚おろし」のパロディでした。わかる訳ないか)

 さようなら。
 

よろしければサポートお願いします。もし、御支援いただけたときは、大好きなみたらしだんご(コンビニで百円くらいで売ってるの)を食べて、また創作に励みたいと思います。