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米国市場:10/30週の振返りと11/7週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4,358.34と前週比+5.85%で終了しました。NASDAQは13,478.28と前週比+6.61%で終了しました。
 主要4市場指数は5連騰するなど大きく上昇しました。年初来マイナスとなっていたラッセル2000もプラスに浮上しています。
 先週は、経済に関する統計データがいくつも発表されています。ISMの指数は製造業は46.7と50を割り込んでおり、また、非製造部門も51.8とアナリスト予想の53を下回りました。アメリカの経済は大半がサービス業が占めるため、緩やかな拡大が続いてはいますが景気が強いという雰囲気はなくなってきているように見受けられます。実際に、金曜日に発表された雇用統計も平均時給の伸びは7¢の34と伸び率が少しずつ減ってきています。(9月は11¢と上方修正されました。)雇用者数は、15万人と予想の19万人を下回りました。これは、自動車業界のストライキも影響していると思います。失業率は3.9%でした。労働市場は落ち着きつつあります。コロナ後の特需の期間が終わり、サプライチェーンも正常化しノーマルな状態に戻ったと考えています。つまり引き締め不要を示唆しているのではないかと考えられます。
 11月1日には、FOMCが開催されFFレートは予想通り現在の5.25-5.5%に据え置かれました。利上げの見送りは2会合連続となり、最後に上げられたのは7月です。FOMC後にパウエル議長は12月の会合での利上げの可能性についても「慎重にすすめている」と述べるにとどめており、FedWatchツール上も90%が12月も利上げがないと見込んでおります。つまり、利上げは終わったと判断していいと思います。今後は、いつ利下げが始まるかについて注目があつまってくることになると思います。10年債利回りは、先々週の5%付近から4.5%台まで低下してきています。11月からアノマリー的にラリーにはいる米国市場にとっていい条件がそろっており、24年2月ごろまではいい状態が続くと予想しています。

株式

 S&P500種指数は第3四半期決算シーズンのピーク週を終えました。好決算が出ており、その結果は10年平均を上回っています。そのため、S&P 500種株価指数は先週末、今四半期末と比べ、第3四半期が増益となるとされています。S&P500種指数が前年同期比で増益となるのは、2022年第3四半期以来のこととなります。
 全体として、S&P 500構成企業のうち81%が2023年第3四半期の決算発表を終えています。このうち82%の企業がアナリスト予想のEPSを上回り、5年平均の77%、10年平均の74%を上回りました。仮に82%が今四半期の最終的な数字であれば、S&P500構成銘柄のうちEPSのポジティブ・サプライズを報告した企業の割合は2021年第3四半期(同じく82%)以来最高となります。企業全体のEPSでは、アナリスト予想を7.1%上回るEPS結果となっており、これは5年平均の8.5%を下回るものの、10年平均の6.6%を上回っています。
 先週は、複数のセクターの企業(消費財・ITセクター)による好業績によって大きく増益されましたが、ヘルスケアセクターの悪業績によって一部相殺されていますが、、この期間の指数全体の増益となっています。その結果、同指数の第3四半期決算は、先週末比および四半期末比では増益となりました。第3四半期のブレンデッド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合わせたもの)増益率は3.7%となっており、、先週末の増益率:2.6%、第3四半期末(9月30日)の減益率:-0.3%を上回っています。
 仮に3.7%が今四半期の実際の増益率であった場合、同指数による前年同期比の増益は2022年第3四半期以来となる。
 売上高に関しては、S&P500構成企業の62%が実際の売上高が予想を上回ったと発表しており、これは5年平均の68%、10年平均の64%を下回っています。売上高では0.7%アナリスト予想を上回っており、これは5年平均の2.0%、10年平均の1.3%を下回っています。
 先週は、ヘルスケア・セクターを筆頭とする複数のセクターの企業によるポジティブ・サプライズが、この期間の指数全体の増収の要因となりました。その結果、第3四半期の混合売上成長率は、先週の売上成長率2.1%、第3四半期末(9月30日)の売上成長率1.6%に対し、現在は2.3%となっています。仮に2.3%が第3四半期の実際の増収率であれば、同指数は11四半期連続の増収となる。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年第4四半期の利益成長率(前年同期比)を3.9%と予想しており、これは9月30日時点の予想8.1%を下回っています。CY2023については、アナリストは(前年比)0.6%の増益を予想、これは9月30日の予想0.8%を下回っています。CY2024については、アナリストは(前年比)11.9%の増益を予想しており、9月30日時点の予想12.2%を下回っています。
 12ヵ月予想PERは17.8で、5年平均(18.7)を下回るが、10年平均(17.5)を上回る。また、9月30日時点の予想PER 17.8と同水準である。(FactSet)

来週の主な決算発表(予定)

11/6(月):
<寄付き前>Freshpet (FRPT), TreeHouse Foods (THS)
<引け後>Air Lease (AL). Coherent (COHR), Hims & Hers Health (HIMS), Medifast (MED), Mueller Water (MWA), NXP Semiconductor (NXPI), Realty Income (O), Tanger Factory Outlets (SKT), TripAdvisor (TRIP)
11/7(火):
<寄付き前> CNH Industrial (CNHI), DR Horton (DHI), GlobalFoundries (GFS), Planet Fitness (PLNT), Uber (UBER)
<引け後>Akami (AKAM), Axon (AXON), Cava Group (CAVA), Coty (COTY), Dutch Bros (BROS), Inter Parfums (IPAR), Mosaic (MOS), Rackspace Technology (RXT),
11/8(水):
<寄付き前>Ceva (CEVA), Clear Secure (YOU), EVgo (EVGO), Kellanova (K), Ralph Lauren (RL), Roblox (RBLX), Under Armor (UAA), WK Kellogg (KLG)
<引け後>Affirm (AFRM), Cutera (CUTR), Fair Isaac (FICO), Instacart (CART), Lyft (LYFT), MGM Resorts (MGM), Take-Two (TTWO), Walt Disney (DIS), ZipRecruiter (ZIP)
11/9(木):
<寄付き前>Becton Dickson (BDX), Edgewell Personal Care (EPC), Hanesbrands (HBI), Sony (SONY), Tapestry (TPR), Utz Brands (UTZ)
<引け後>Alarm.com (ALRM), Arlo Technologies (ARLO). Blink Charging (BLK), indie Semiconductor (INDI), Navitas Semiconductor (NVTS), Synaptics (SYNA). The Trade Desk (TTD)
11/10(金):
<寄付き前>Magna (MGA)

米国の主な経済指標

11/6(月):-
11/7(火):-
11/8(水):-
11/9(木):新規失業保険申請件数
11/10(金):ミシガン大学消費者信頼感指数

今週の着目点

 今週は、経済指標の発表はあまり多くはありません。先週で、S&P500構成企業のうち8割が決算発表を完了しており、決算発表のピークは過ぎました。IT小型株などの決算が今後は増えてきます。
 22年3月以降、2年近く金利が引き上げられておりこのセクターは大きく売られていますが、今後金利が下がってくる局面になると再度注目が集まる可能性もあります。このセクターで元気な企業はどこなのか、観察を続けたいです。
 中国が停滞している兆候がいろいろ出てきています。先週は、ISMが50を割り込んでいましたが、今週は中国のCPI,PPIが発表されます。マイナスの数値が予想されており、不動産バブルの崩壊から、停滞が続くことになるか、観察を続けたいです。このまま低迷となると中国への利益依存度の大きい企業とそうでない企業の明暗がくっきりと出てくるのではないかと思います。


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