見出し画像

米国市場:12/4週の振返りと12/11週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4,604.37と前週比+0.21%で終了しました。NASDAQは14,403.97と前週比+0.69%で終了しました。
 先週の株価は、S&P500指数は年初来の高値を更新し、一つの節目であった4600を超えて終了しました。週間での動きをみると小幅ながら上昇はしていますがほぼ横ばいで推移していました。FactSetの調べによる2023年度のEPS予想は220.95ですから、現時点でのPERは20.8バイト若干買われすぎの状況となっています。2024年のEPS予想は246.36ですからこちらで測るとPERは18.7倍で推移しておりほぼ中央値にいますが、24年度のEPS予想は通年通りですと今後下がってきますので、若干高めで推移しているかなと感じます。NASDAQの状況も似たような状況となっており、こちらもほぼ横ばいの推移を1カ月近くしてきています。
 指数は横ばいの展開でしたが、先週はSAAS銘柄が決算発表をしています。こちらは、きっちりと決算を出してこれた企業の株価はしっかりと伸びていることが多く、テーマや相場の雰囲気であがるといった浮ついた雰囲気は感じませんでした。ただ、VIX指数は今年度の最低水準に近く、Fear&Greed指数もGreedからExtraGreedに迫ってきており、暗転の兆しがないか引続き注意深く見守っていく必要があります。
 経済指標を確認してみると、12月8日に発表された11月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比19.9万人増と予想18万人を上回っていました。失業率は3.7%に低下し、労働市場の底堅さが示されております。また、平均時給も前月比+0.4%、前年同期比+4.0%と強い数字が現れており、消費の減退を示すようなイメージはありませんでした。また原油価格が一時70ドル割れするなどエネルギー価格は下がっており、全米平均レギュラーガソリン価格も1ガロン当たり3.158ドルまで下がってきていることから消費者の懐は暖かいと思います。小売りに大きな変調はまだ現れていないのかなと感じています。従い、景気自体は冷えこまず、落ち着いた状態だと思います。
 FEDWatchToolを確認すると、今週に開催されるFOMCでは利下げは行われず、来年3月に1回目の利下げが行われ、2024年12月末までには4回~5回の利下げがあるのではないかと予想されています。この利下げ予想が株価を押し上げている要因かとは思います。ただ、これまでの経済指標を確認していると、景気が悪化するような兆候はまだ見て取れず、落ち着いた状態であると考えると、大きな指標の悪化が見られない限りこのままレートが維持されるものと考えられます。今週の13日水曜日にはFOMCの記者会見でパウエル議長がどのような発言をするか、そして可能性はほぼないと思いますが将来の利下げ可能性をにおわせるかは注目していく必要があります。現状の市場が予想している2024年4回~5回の利下げ予想から利下げ回数が下回ることを認識してくると市場は少し調整するかもしれません。
 長期金利は、10月以来ズルズル下げてきましたが、水曜日に4.12%をつけた後、金曜日には4.245%まで戻して、1週間単位で見ると横ばいとなりました。まだ、いったんのボトムをつけたかどうかはわかりませんが、金曜日のしっかりとした雇用統計があった後に、上昇したことを考えると、経済はゴルディロックスにあり、ソフトランディングのシナリオを織り込み、利下げ回数は現在の予想よりも少なくなるのではないかということを少し織り込んだのではないかなと考えています。
 どのシナリオが有力かはまだはっきりしないため、懸念の壁を上るかのように市場がずるずると上がっていってくれる形になると嬉しいなと思っています。

株式

 アナリストや企業は、S&P 500種構成企業の第4四半期の業績見通しを、過去の平均と比べてより悲観的な見方となっています。その結果、アナリストは2023年第4四半期の業績予想を平均より大きな幅で引き下げています。1株当たりでは、第4四半期の予想利益は9月30日以降5.3%減少しています。。この減少は5年平均(-3.5%)、10年平均(-3.3%)よりも大きいです。また、四半期の予想EPSの減少幅としては、2023年第1四半期(-6.4%)以来の大きさである。
 ガイダンスの面では、S&P500構成企業のうち、2023年第4四半期のEPSガイダンスに否定的な見解を示した企業の数、割合ともに平均を上回っています。このうち70社がマイナスのEPSガイダンスを、38社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。ネガティブなEPSガイダンスを発表している企業の数は、5年平均(57社)、10年平均(62社)を上回っています。S&P500構成企業のうち、2023年第4四半期のEPSガイダンスに否定的な見解を示した企業の割合は65%(108社中70社)で、5年平均の59%、10年平均の63%を上回っています。
 アナリストによる業績予想の下方修正と各社によるEPSガイダンスの下方修正により、2023年第4四半期の推定(前年同期比)利益成長率は第4四半期の開始時点と比較して下がっています。S&P500種指数は、9月30日時点の予想(前年同期比)増益率8.1%に対し、本日時点では2.7%の増益を予想となっています。仮に2.7%が実際の増益率となれば、S&P500種指数は2四半期連続で前年同期比増益となします。しかし、第3四半期(4.9%)より低い成長率となります。
 11セクター中6セクターが前年同期比で増益となる見通しで、通信サービス、公益事業、消費財セクタ ーなどがその牽引役となる予想がされています。一方、前年同期比で減益と予想されるセクターは、エネルギー、素材、ヘルスケアを筆頭に5つとなっています。
 収益の面でも、アナリストは当四半期中に予想を下方修正しています。9月30日時点の予想では3.9%の増収だったのに対し、本日時点では3.2%の増収と予想されています。仮に3.2%が実際の増収率となれば、S&P500種指数は12四半期連続で増収となります。
 金融セクターを筆頭に、8セクターで前年同期比増収が見込まれています。一方、前年同期比で減収となるセクターは、素材セクターとエネルギー・セクターを筆頭に3セクターと予測されています。
 今後の見通しとして、アナリストは2024年第1四半期の収益成長率(前年同期比)を6.8%、第2四半期を10.8%と予想している。12ヵ月先のPERは18.8倍で、5年平均(18.8倍)と同水準だが、10年平均(17.6倍)を上回っている。

来週の主な決算発表(予定)

12/11(月):
<寄付き前>-
<引け後>Casey's General Store (CASY), Oracle (ORCL)
12/12(火):
<寄付き前>-
<引け後>-
12/13(水):
<寄付き前>REV Group (REVG)
<引け後>Adobe (ADBE), Nordson (NDSN)
12/14(木):
<寄付き前>-
<引け後> Costco (COST), Lennar (LEN)
12/15(金):
<寄付き前>Darden Restaurants (DRI)

米国の主な経済指標

12/11(月):
12/12(火):消費者物価指数(CPI)
12/13(水):生産者物価指数(PPI)、FOMC
12/14(木):小売売上高、新規失業保険申請件数
12/15(金):ニューヨーク連銀製造業景気指数、設備稼働率、鉱工業生産指数

今週の着目点

 今週の経済指標の発表は、12日のCPI、13日のPPI、及びFOMCが控えています。この大きなイベントを乗り越えると年末を迎えることになります。この12日、13日の結果からその後に開かれる、FRBの政策決定会合後のパウエル議長の記者会見でのトーンがどのように変化するのかを確認することが今年最後のイベントかなと思います。FRBはこの会合においては、金利を据え置くと予想されていますが、パウエルFRB議長の記者会見でのコメントによってFedWatchToolの予想が動くと思います。この動いた結果のインパクトがどのようなものなのか観察していきたいとおもいます。サンタラリーが控えているはずですのでそこに水を差すようなコメントだけは控えてもらいたいなと願っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?