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エンジニア組織に発信文化を浸透させるには

IT企業で駆け出しマネージャーをやっています。優秀なエンジニアの採用は難しいという文脈にしろ、技術力のアピールや情報共有の文脈にしろ、「やっぱもっと発信やっていかないとね」というところに着地する会社や組織は多いのではないでしょうか。

ただ、Qiitaでいいねが1でもついてる人は上位15%、トータル100いいねもあればもう上位3%というデータがあるように、発信をする人はエンジニア界隈でも実は希少種です。

Qiitaのあれこれをひたすら分析してランキング」より

「うちの会社でも技術発信していくぞ!」とテックブログを立ち上げて「書いていこう!」と呼びかけてみたものの、全然続かなかった、というケースも結構あるのではないでしょうか。

まだまだ道半ばではありますが、マネジメントしているチームにて、発信の量が約10倍に増え、習慣として定着させることにある程度成功したので、どういうことをやったのか、あるいはやらなかったのかについて振り返りたいと思います。

ノルマは課さない

発信文化が根付いていないエンジニア組織でよくあるのが、ノルマや当番制にする、というものです。

ただ、発信をこういう「義務」として課してしまうと結局そこにはやらされ感がつきまとい「できればやりたくないもの」になってしまいます。

これは結局習慣として根付いているわけではないので、開発がめちゃくちゃ立て込んだ、とか何かの拍子に簡単に止まってしまいます。

発信することの価値を伝える

じゃあどうするのかというと、メンバーそれぞれが個人として「発信したい」と思ってもらうように、発信することの価値を丁寧に伝えました。

発信の価値自体については、おそらく既に価値を感じている方がここまで読んでくれていると思われるので本記事では説明を割愛しますが、このあたりの考えは結構いろんなところで語ってきたので、よろしければ見てみてください:

発信しないのは「仕事をしても請求書を出さない」のと同じ。堤修一が開発~発信の循環を作る理由 - エンジニアHub

【エンジニアのための発信講座】#1 発信をはじめよう - YouTube

1on1で個別サポート

とはいえ、「価値があるんですよ、あなた個人にとっても得なんですよ、だから記事書いてね」とチームに呼びかけたぐらいで、それまで書いてなかったメンバーが急に書いてくれるようになるほど甘くはありません。

発信の価値に多少なりとも反応してくれた/共感してくれたメンバーには、

  • どんな得をすると嬉しい人なのか

    • どういうモチベーションでこの会社で働いているのか

    • エンジニアとしてどうなりたい(あるいはどうなりたいというのもない)のか

  • 発信のメリットについては共感してくれているけど何かしらのポイントでハードルを感じているのか

    • ネタがない

    • 怖い

    • 時間がない

    • がんばって書いたけどあまり反響がない

こういったところを1on1で個別にサポートしました。

メンバーの業務内容から一緒にネタになりそうな部分を抽出したり、時間がないメンバーには業務整理をしたり、時間がかかりすぎるメンバーにはサボり方を教えたり、どうしても腰が重いメンバーには記事の大枠を僕が書いて、穴埋め的に書けるようにしたり。

結果

チーム内でこの発信文化を浸透させる施策を開始したのは今年の6月でした。

この1年のチームメンバーによる(弊社テックブログでの)記事数はこういう変遷をたどりました。

1月 1記事
2月 0記事
3月 0記事
4月 0記事
5月 1記事
----------------- 施策実施
6月 3記事
7月 3記事
8月 3記事
9月 0記事
10月 2記事
11月 3記事
12月 5記事

施策開始前はまったく発信の文化がなかったところから、明確に増えたことがわかります。

まだ数字的には地味ですが、施策を開始してから7ヶ月間の記事数の合計は19記事、その前の7ヶ月間の合計はわずか2記事。約10倍になっています。

チームメンバーによるテックブログでの記事数の変遷

また、文化・習慣として定着してきたという手応えもあります。最近はもう1on1でネタ出しの補助をすることはほとんどなく、メンバー同士で勝手にこれ発信ネタになるねと話してくれています。最近の記事はもう「知らないうちに進んでいていつの間にか出ている」というケースがほとんどです。

補足

テックブログに書くか個人ブログに書くか問題

  • どっちでもOK

    • テックブログに書くことを強制したいとはまったく思ってない

    • メディアが外でも、メンバーが界隈で尖ってくれたら組織や会社にもメリットある。

  • テックブログに書くか個人ブログやZennに書くかはそれぞれメリットデメリットあるので発信内容や好みに応じて選べばいい

「がんばって書いたけどあまり反響がない」のケア

  • 発信は即効性を求めるものではないことを伝える

    • コツコツと積み上げた先に価値が出てくるもの

  • PVやシェア数が必ずしも良い記事を表す指標ではない

    • 長年フリーランスをやっていて、発信が仕事に繋がるかどうかはいいねの数やPVは関係ない、という実体験がある。たとえばスターが多いほうではないこのOSS経由でめっちゃ海外からも仕事の依頼がくる。

    • いいねやはてブが少ないが読む人が読めば○○について詳しい人だとわかる記事や、有名ではないがその分野の人はみんな知っている、みたいな人・ブログはよくある。

      • 届く人に届いて、わかってほしい人にわかってもらえれば良い。

    • 入門記事や煽り気味のことを書けばPVやいいねは増えるかもしれないが、それらは期待する発信の効果にはあまりつながらない。

そこまで手をかけるのか

  • 「1on1での個別サポート」はコストかけすぎに見えるかもしれない

  • が、自走するようになればそのあとは手がかからずずっと記事が出るようになる

  • 発信文化は伝染するので、やがて自分が直接どうこう言う必要がなくなる

    • 周りが当たり前に発信しているのを見て他の人も発信するようになる

    • すでに発信習慣がついているメンバーが発信の価値を伝えたりサポートしてくれるようになる

    • 前例あり


本記事は Sansan Advent Calendar 2022 の25日目の記事になります。


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