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2023年度JPO試験

2023年度のJPOの募集が始まりました。

JPOとは「Junior Professional Officer」の略で、日本政府が費用負担して、35歳以下の若手日本人を様々な国際機関に原則2年間派遣し、国際機関での勤務経験を積む機会を提供するプログラムです。

※参考:国際機関人事センター
https://www.mofa-irc.go.jp/jpo/

一般的に、国連などの国際機関で勤務するには、以下のような条件を満たす必要があり、新卒で国際機関での職を獲得するのはかなり難易度が高いです。

  1.  修士号を取得(業務に関連する分野)

  2.  英語又はフランス語での勤務が可能(ポジションによってはその他の国連公用語がワーキングレベルだと尚良し)

  3.  (特に勤務する機関又はポジションに関係する)数年間の職務経験

そして、以上の条件を全て満たした上で、主に以下のような形で国際機関でのポジションを獲得することとなります。


各々の概要は以下のとおりです。


1 空席応募


 各機関のHPや外務省国際機関人事センターのHPなどで見ることができる様々な空席に応募して、数多くの応募者の中からポジションを獲得する方法です。
 国際機関人事センターのHPに詳細な情報が記載されていますが、主に以下のような流れになります。

空席の確認⇒応募資料の作成⇒応募⇒書類選考⇒筆記試験⇒面接⇒合格
https://www.mofa-irc.go.jp/boshu/open-recruitment.html

 空席応募の場合は、募集されているポジションと自分の経歴が完全にマッチしていることに加えて、面接等で他の応募者よりも良いパフォーマンスをしないと採用されません。空席は世界各地から応募があり、ポジションによっては数百もの応募があるため、倍率は数百倍の場合もあります。英語がネイティブではない日本人にとって、難易度は更に高いと言えます。また、コンペテンシー・ベースド・インタビュー(CBI)という面接が行われますので、かなりの練習が必要となります。

 私も、以前、とある国際機関のポジションに応募し、運よく最終面接まで進みましたが、面接後2か月以上待ったにもかかわらず、不合格でした。最終面接まで進んだことで、期待値が高くなっていた分、不合格だったときのショックは少し大きかったです・・・。

 この時の経験については、また別の機会にご紹介したいと思います。

2 国連事務局YPP(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)

YPPは国連事務局が直接実施するもので、若手職員を採用するための試験です。32歳までの年齢制限があります。こちらは年に一回試験が行われ、書類審査、筆記試験、面接を経て、合格した方はロスター(合格者名簿)に掲載されます。

そして、合格後は、ポストの空き状況に応じて、ロスター掲載者の中から選考が行われ、ポストに採用されます。2年の任期で勤務し、勤務中の2年間の仕事ぶりが十分な評価に値するものであれば、より継続的で安定的な雇用契約(continuing contract)への切り替えが考慮されることになります。

空席応募やJPOなどを通じてポジションを獲得した場合には、契約終了後は自分で別のポジションを探していく必要があり、安定的な雇用契約を獲得するのは容易ではありませんが、YPPを通じて国連に入った人は、より安定的に国連で勤務ができることになりますので、職の安定性は高くなるといった利点があります。

ただし、YPPは毎年、対象となった国々から多くの応募があるため倍率が非常に高く(数百倍)、合格するのは至難の業です。語学面でのハンデもあり、日本人でYPPに合格される人は数年に1名いる程度のようです。

3 JPO

毎年50~60名の35歳までの日本人がJPOとして国際機関に派遣されています。国際機関人事センターの資料によると、倍率は6~7倍程度となっており、空席応募やYPPと比べると圧倒的に倍率は低くなっています。また、国際機関の日本人職員の半数以上がJPOを通じて国際機関で勤務をしていると言われています。

国際機関にもよりますが、一度JPOを通じて国際機関の内部に入ることで、その機関での勤務経験や知見が得られるとともに、人的ネットワークが拡大するため、内部の候補者は外部から入る場合と比べて、新たなポジションを獲得する上で、圧倒的に優位な立場に立つことができます。機関によっては、例えば18か月以上勤務することで、内部候補者のみアクセス・応募が可能なポジションが見られるようになるようです。

JPO制度を通じて一度国際機関に入ることで、国際機関で継続的に勤務できる可能性が飛躍的に高まるため、日本人にとってJPOは国際機関への入り口として最も有効な制度だと思います。
実際に、JPOとして国際機関で勤務する日本人職員の約7割が引き続き国際機関で勤務しているようです。

4 コンサルタント、UNV、インターン

最後に、コンサルタントやUNV(国連ボランティア)、インターンとして国際機関で勤務する方法もあります。
コンサルタントやUNVは、正規職員としての待遇を受けることができる1~3の方法とは異なるため、正規職員と比べると待遇面で少し劣りますが、機関での勤務経験や知見が得られ、人的ネットワークを広げられるという点で、とても良い制度だと思います。

インターンについては、お給料をもらえないことが多いかと思いますが、インターンとして勤務をした後にコンサルタントしてのポジションをゲットするといったケースは少なくないようです。

また、コンサルタントやUNVとしての仕事のパフォーマンスが評価されれば、その後正規職員としてポジションを獲得できる可能性が大いにあるようです。

仕事面でも、普通のスタッフと同じように業務を任され、やりがいもあるようですし、JPOで必要とされる職務経験を積む上で貴重な機会だと思います。

実際に、JPOで国際機関に入る方でコンサルタントやUNVとして勤務経験がある人はほぼ確実にいますし、私の同期も数名がコンサルタント又はUNVの経験者でした。

UNVとして国際機関で勤務する方法については、青年海外協力隊(JOCV)枠のUNV制度や、広島平和構築人材センター(HPC)のプライマリーコースに参加してUNVとして1年間派遣される形が、多いかと思います。
https://www.jica.go.jp/volunteer/obog/career_support/unv/index.html
https://peacebuilderscenter.jp/


まとめ


以上のように、国際機関で勤務するためには以上のような方法がありますが、その中でも日本人が入りやすく、(上司にもよるかと思いますが)責任のある仕事を任され、かつ正規職員と同様の待遇を受けることができるJPOが最もおすすめです。

35歳までであれば何度も応募は可能ですので、応募資格を満たしていらっしゃるようであれば、応募されることを是非お勧めいたします!
私自身も1度目の応募は失敗し、2度目のチャレンジでJPOに合格しました。

応募書類の作成には時間がかかりますので、前広に準備をされるのをお勧めいたします。JPO合格をお祈りしています!

最後まで読んでください、ありがとうございました。カニマンボ!

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アフリカにある某国連機関のカントリーオフィスで勤務する新米国連職員の体験談です。 外務省で14年勤務、南米とアフリカの大使館で勤務した後に…

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