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さようなら、コダクローム(ネタバレ)


Kodachrome

公開 2018年 アメリカ

監督 マーク・ラソ

出演 ジェイソン・サダイキス
   エド・ハリス
   エリザベス・オルセン
   ブルース・グリーンウッド
   デニス・ヘイスバート

最近Netflixにあがってましたがもう5年前の映画。
エリザベス・オルセン目当てで観たけどちゃんと良かった。

↓以下ネタバレ↓


登場人物

マット(ジェイソン・サダイキス)
主人公。レコード会社に勤めるが最近業績がよろしくなくてクビになりかけている。バツイチ。

ゾーイ(エリザベス・オルセン)
マットの父ベンの看護士。バツイチ。

ベン(エド・ハリス)
マットの父。わりと有名な写真家。妻には先立たれている。浮気癖あり。

ラリー(デニス・ヘイスバート)
ベンのマネージャー。なんか知らんが顔が広い。


ストーリー

レコード会社で働くマット(ジェイソン・サダイキス)は、担当するバンドのボーカル・イライジャからレーベル移籍を言い渡される。理由はトロいから。「新しいとこはもう2つも曲を用意してくれた」って。
え?いやいやいや…今、アルバムの準備中やん、しかもオリジナル曲やりたい言うてたの自分やんとマットは思ったが、思ったし口に出したが、イライジャの決意は固かった。

翌朝出社すると早速社長からの呼び出し。部屋に入った瞬間、社長の神妙な顔で察したマットは、コールドプレイやアーケード・ファイアは俺が見つけたんだけど!?と過去の功績アピール。見苦しいぞ!
「お前は最近ずっと赤字続きだよな…」と切り出されたので、苦し紛れに他レーベルの次世代バンドスペア・ヘブンズを引き抜いてみせる!と宣言。ぎりクビを免れる。
イライラしながらデスクへ戻ると、そこには見知らぬ金髪巨乳美女(エリザベス・オルセン)が。彼女はゾーイと名乗り、マットの父・ベンの看護師であると明かした。
写真家であるベンは、最近見つけた古いフィルムで展覧会をしたいと考えたが、その特殊な映写式のフィルム「コダクローム」を唯一現像できるのはカンザス州にある閉鎖予定のラボだけ。末期の膵臓がんで余命いくばくもないベンは、息子にカンザスへ同行してほしいとゾーイをよこしたのだ。

父とは疎遠だし色々と恨みつらみのあるマットは申し出を一度は断ったものの、ゾーイの説得で一旦は会うことにする。
マットとベン、ゾーイ、それからベンのマネージャーであるラリー(デニス・ヘイスバート)で夕食を囲んでいると、父の浮気癖で母が苦しんでいたのを許していないマットは、ベンと軽い口論に。何とか仲裁しようとするゾーイだったが、マットは「カンザスへは同行しない」と言って出ていってしまう。
(´・ω・)

しかし都合のいいことに、ラリーから「スペア・セブンスのマネージャー、ワイの元後輩やから紹介できるで」という電話がかかってくる。
これにはマットも首を縦に振るしかない。まあそういうことならこっちにも利益あるし。世間一般でいうところの「あんたのためじゃないんだからね!」である。
そんなわけでマットとベン、そしてゾーイのカンザスへの3人旅が始まった。

父ベンは自分勝手に生きてきた今までの人生通りマイペースで無神経。マットはそれを疎むように悪態をつく。何とか二人を取り持とうとするゾーイ。
圧倒的先行き不安な旅も、日を追うにつれてさすがに角が取れてきて、まあ何とかなっていく…のか?
途中で訪れたベンの弟の家では、弟の奥さんとベンが結婚前に寝ていたことが判明。ちゃんと弟からも嫌われてて、ちゃんとろくでなし。マットはマットでゾーイにキスしようとして普通に拒否されたが、プラネタリウムでごまかした。

でも、「幸福から芸術は生まれない」と嘯くベンのぶっきらぼうで心ない態度の裏には、我が子に対する確かな思いがあるように見えた。それをマットも感じないではなかった。そんな今さら何言ったって、幼かった俺をあんたは見てくれなかったじゃないかとマット。

ライブ終わりのスペア・セブンスに会うため、シカゴに寄る一行。チケットはラリーに送ってもらった。
大手事務所に所属する彼らを引き抜くのは至難の業だったが、マットは「お前ら、今やりたくない音楽やってるだろ」と看破。ブラッドリー・クーパーを全体的に丸くしたみたいなボーカルにぶっ刺さる。ゾーイもニッコリ。
しかし契約に進もうとしたその時、ベンが小便を漏らしてしまう。バンドメンバーがそれを嘲笑ってバカにしたので、君たちみたいな人間とは付き合えないとマットの方から契約を破棄。ベンをかばったのだった。

マットがやけ酒に出かけると、「契約をとるべきだった」とベンが言うので、さすがのゾーイもおこ。あなたのためにこの旅にも来て大事な契約も無にしたのに、あなたは彼に優しくできないの!?じゃあ辞める!!!
わかった、クビだ。とベン。一貫している。芸術家はブレない。
マットに合流したゾーイ。めでたくお互いにクビになった記念でしこたま酒を飲む。別れ際、一度拒否されているマットはおとなしく帰ろうとするが、今度はゾーイの方からキス(!)。もちろんマットが拒否するはずもないので、その日二人は一夜を共にするのであった。

翌朝、正気に戻ったゾーイは早々に部屋を出ていってしまう。どうしてだと引き止めるマット。しかし「離婚は私の浮気が原因だから」と言われてぐうの音も出ない。
金髪美女にフラれテンションだだ下がりでも、カンザスへの旅は続けねばならない。気を取り直して、ベンの部屋をドアをノックする。しかしおかしいな返事がない。従業員に鍵を開けてもらい中に入ると、なんとベンが倒れているではないか!大変だ。急いで救急車を呼び、ベンは入院することになった。医者の話ではもう車で移動できるような体ではないという。それってカンザスに行けないってこと…?そういうことになります。

1日以上眠ったあと、ベンはようやく目を覚ます。自分を責めるから入院のことはゾーイに知らせるなと彼は言った。
その夜、マットにカメラの使い方を教えながら、ベンはマットが生まれた時の話を語り出す。

お前に色んな約束をした
永遠に愛していると
お前を一生守り…
一人にはさせないと
胸がいっぱいだった
お前への愛情で
自分にあんな感情があったなんて知らなかった
あんな風に感じるとは
もし 選べるのであればー
お前と過ごしたあの瞬間を永遠に生きたい

お前に許してもらおうと思ってる訳ではないよ
ただ…
お前を愛してる
これだけは本当だ
ごめんな

次の日、二人は病院を抜け出しカンザスへ向かった。

カンザスのラボには、最終日というだけあって、世界中のカメラマンたちが集まっていた。
女性スタッフに「コダクロームは染料が切れたので昨日で終わりです」とか言われてあわを食ったが、ベンの知り合いである店長ドウェインが「あなたのために残しておきました」と受け付けてくれた。あぶねえー。女性スタッフはドウェインの娘だった。彼はベンを「世界最高のカメラマンだ」と紹介した。ラボを訪れていた客にも声をかけられ、いつの間にかベンの周りに人だかりができていた。ベンは界隈ではかなり有名なカメラマンだった。

俺たちには皆時間ってものを怖がる
時間が全てを消していく
だからこそー
我々の役割がある
写真で時間を止めー
瞬間を永遠にする
人の本質を表現する

ベンは人としてはろくでもなかったかもしれない。でもカメラマンとしては、多くの人から尊敬され、崇拝されるほどの人物だったのだとマットは知る。その日の夜ベンはホテルの一室で、静かにこの世を去った。

ラリーに言われ、マットは最後のコダクロームフィルムで展覧会を企画することになる。
ベンの家を訪れたマットは、映写室でスライドフィルムを再生させた。
そこには、幼いマットとマットの母親、そしてマットを抱く若き日のベンの姿が写されていた。ベンが最後に現像しようとしたフィルムは、一枚残らず家族の写真だった。
そこへゾーイが現れる。
「一緒に見ても?」
ゾーイはマットの隣に立つと、彼の肩に頭をもたれた。


感想

ぐう良い。
ぐう良かった。
語彙力なくなるくらいエモい映画だった。
ブログ書くのに見直したんだけど1回目より良かった。

家族を顧みなかった芸術肌のろくでもない父親と、彼を恨み続ける息子。疎遠だった二人がひょんなことでまた再会して、氷が溶けるように絆を取り戻していく…っていう構成はシンプルだけどわかりやすくていい。
これでもかってくらいのクズ男紹介パートだった前半と、名言だらけの親子愛炸裂パートの対比が素晴らしい。「幸福なんてものはまやかしだ」に対しての「お前と過ごしたあの瞬間を永遠に生きたい」という台詞も。エド・ハリスが言うと本当にかっこいい。

マットは、彼の死後に現像された家族の写真を見て、ベンが自分たち家族に澱みない愛を注いでいたことを知る。でもそれは最後の最後、ベンが告白するまではわからない。「もしかしたらそうなのかもしれない、そうであってほしい」とマットもゾーイも観てる我々も思ってるけど、やっぱり言葉にしないと伝わらない。病院のベッドの上の告白からは、少なからずベンの後悔を感じて切なかった。

エリザベス・オルセンとのロマンスも良かった。
青春時代に好きだったバンドをマットが当てようとして、「ライブ」と言われたゾーイが「そんなバンド知らないけど?」みたいなシーンがあるんですけど、最後のほうで一緒に飲んでる時に店内でかかっていたライブの曲を口ずさんじゃうんですよね。ゾーイが。だからきっと見事に当てられて咄嗟に知らないふりしたんでしょうね。エモ〜
あと可愛い。エリザベス・オルセン。Tシャツとデニムとサングラスが似合う似合う。それでロードムービーだった日には。それだけでも良い。

なんとなく観た映画なのに、いい映画っていつもこんな感じに出会うんだよな。エモいっすね。
感動する映画って聞かれたらおすすめできるくらいにはいい映画でした。

あ、あとタイトルもすこ。
「さよなら。いつかわかること」も「さよなら、人類」もすこ。
さよなら句読点系すこ。




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