見出し画像

「仕事ができる」とは何か? #2仕事ができる人に共通するソフトスキル

前回の記事(「仕事ができる」人とはどんな人か?ソフトスキルが重要な理由)で仕事ができる人は優れたソフトスキルを保有している、したがってソフトスキルが大事!という話をさせて頂きました。

しかし、ソフトスキルにおける「問題解決力」「コミュニケーション力」「チームワーク」「セルフマネジメント」「ビジネスリテラシー」とは何で、その5つがなぜ重要なのかについて疑問を持たれると思います。この記事では5つの要素について説明をします。


ソフトスキルの主要5スキルの定義

まず、それぞれのスキルの定義から行います。(人によって解釈が変わる部分がありますが、どの切り口から捉えるかの違いであって、本質的な違いはありません)

問題解決力:ビジネスにおける課題を設定・特定し、ロジカルに適切な解決策を立案、スピード感をもって実行できる能力

コミュニケーション力:他者と円滑にビジネスを行うために適切に伝え、適切に受け取り、共通の利益を見出す能力

チームワーク:組織・チームを適切に動かし目標を達成させる能力

セルフマネジメント力:タスクを適切に管理、処理し、自らをモチベートすることができる能力

ビジネスリテラシー:専門外の事象であっても適切に処理し、必要に応じて専門家に協力を依頼できる能力

上記のスキルを保有した人物を視覚的に表現すると下記のようなレーダーチャートで表現することができます。

ソフトスキルのレーダーチャート

定義を終えた上で、なぜ上の5つの要素が重要なのか、実際に周りに存在する人を思い浮かべながら、以下の5つ登場人物について見てみてください。スキルをわかりやすくするため、必ずどれか一要素が欠けていて、それ以外は十分に保有している人材という前提です。(お名前は全て仮名ですのでご了承下さい。)

問題解決力が足りない山田さんのケース


上司の評価

「山田さんはチーム内で中心的な人物。コミュニケーションも円滑で、任された仕事は期限内に仕上げようとする。
しかし、いつもポイントがずれている。難しい課題を与えると一人では解決できず、周りの手助けが必要な状況だ。」

解説

山田さんはコミュニケーション力やチームワークに秀でているため、周りの人と協力しながら仕事をすることが得意です。社外の人からも信頼が置かれる理由がわかります。ルーティーンワーク中心であれば、成果を出して評価される人材だと思います。

しかし、問題解決力が足りていないため、非定型業務や難しい問題にぶち当たると、どうして良いのか分からなくなり、上司や先輩が手助けしないといけない状況です。

例えば、普段経理の仕事をしているとすれば、日々の業務やちょっとしたトラブル対応は周りと連携して解決することができますが、新しい経理システムの導入や会計制度の変更プロジェクトなど、より難度が高い業務になると手に負えなくなるような状況です。

問題解決力は問題を発見し、課題を分解して、適切な解決策(打ち手)を見つける流れです。難易度が高い問題はそもそも課題が何かわからない、課題がわかっても分解しない限り手が打てないということが往々にしてあります。

ロジカルに組み立て、問題を深堀して、対応すべき事柄を分解したうえで動くことを学べば、山田さんももっと大きな仕事ができるようになります。

コミュニケーション力が足りない鈴木さんのケース

上司の評価

「鈴木さんは信頼のおける社員。どんなに難しい課題でも難なくこなしていくため非常に頼りにされている。
しかし、社外や他部署からの評判がよくない。説明が不足していたり、人当たりがよくないたりするため、一緒に仕事をすることを敬遠されがちである。」

解説

鈴木さんは問題解決力に秀でており、チームワークもあることからリーダーシップを発揮し、難しい課題であっても周りを巻き込んで推進していくことができます。上司からも頼りにされているでしょう。

一方でコミュニケーション力が高くないため、たとえ正しいことをしていたとしても、周りから理解が得られなかったり、そもそも説明が理解されなかったりします。俗にいう頭でっかちに近い人物像です。

人は感情の動物」と言われる通り、論理だけで人は動きません。また、自分と同じレベルで相手も物事を捉えているとは限りません。相手の立場に立った、感情に配慮したコミュニケーションをすることで鈴木さんはもっと周りの協力を得て、高い成果を上げられるでしょう。

チームワークが足りない高橋さんのケース

上司の評価

「高橋さんは将来を期待されている人物。難題も見事に切り抜け社内外の信頼も厚い。
しかし、大きなプロジェクトやステークホルダーが増えると思うように仕事が進まず苦労している。メンバーからリーダークラスになるにはあと一歩というところである。」

解説

高橋さんは山田さんや鈴木さんと異なり、問題解決力もコミュニケーション力も兼ね備えています。そのため、上司からも厚く信頼をされており、難しい問題であっても必要に応じて周りの協力を得ながら進めていくことができます。例えば、営業部で新しい営業管理システムを導入するプロジェクトの責任者で、営業部も数十人程度であればうまく実施することができるでしょう。

ただ、チームワークが足りていないため、様々なステークホルダーが登場するとうまくプロジェクトを前進させることができません。先ほどの例えでいうと、全社導入を行う経費管理システムのIT部門オーナーとなった場合などです。ITだけではなく、現場部門や財務経理、役員にも配慮しつつプロジェクトを進めなければいけませんが、段取りや調整、根回しといったスキルやプロジェクトマネジメント力がないため、うまく前に進めることができないのです。

様々な利害関係者がいる中で仕事を進めるには健全な根回しや調整、プロジェクトマネジメントの力が求められます。これらが備われば、高橋さんはチームマネージャーとなって一組織を引っ張っていけるでしょう。

セルフマネジメント力が足りない佐藤さんのケース

上司の評価

「Dさんは難しいプロジェクトでも利害関係者を巻き込み推進できる貴重な人物。常にトップクラスの実績を出す。
しかし、社内外からの評判は決して良くない。依頼された仕事を期限内に終えられなかったり、ミスも多いためである。もっと評価されて良いはずなのにと思う人である。」

解説

佐藤さんは問題解決力もあってコミュニケーション力もあり、チームワークがある時点でかなり優秀な人材と言えます。それでもセルフマネジメントが欠けているというのは、あまり多くありませんが、まれに見かける惜しい人材です。

大きな問題であっても適切に問題を設定して、周りを巻き込み推進していくことができるため、当初の評判は非常に高いです。しかし、セルフマネジメントができていないため、期限を守らない、モチベーションの乱高下があるなど自身の問題を多く抱えています。このような人に多く見られる特徴はメールの返信が来ない、向こうから必要な時だけ連絡が来るケースです。

潜在的な能力は高いため、時間管理、タスク管理の習慣づけを行い、モチベーションの保ち方や自己理解を深める訓練を行えば、間違いなくどこでも評価を受ける人材となります。

ビジネスリテラシーが足りない田中さんのケース

上司の評価

「田中さんは管理職登用を検討されている社員である。これまでも多くの実績を残してきており、社内の評判も良い。
しかし、経験していない問題にぶつかると、判断がつかずわかる人に問題を丸投げしてしまう傾向がある。コンプライアンスに違反する事案を推進し止められたこともある。」

解説

田中さんタイプは多くの企業で既に管理職に登用されているかもしれません。なぜならこれまで見てきたスキルを全て兼ね備えた稀有な存在のため、「仕事ができる」と周りで評判だからです。

それでは何が問題なのでしょうか。ビジネスリテラシーとはよく言われるITリテラシーにとどまらず、会計財務や法務リテラシーを含む、ほぼ全ての職種で必要なリテラシーのことを指します。

リテラシーは定義が難しい言葉ですが、最低限の知識と自分が何を知っているかを把握し、知らない問題はどうすれば答えにたどり着けるか理解していることと私は考えています。

田中さんのケースでいうと、例えば営業だからITは分からないといった専門外に関しては全く無頓着で専門家に任せれば良いと考えてしまうケースです。
プレイヤーとしては一流ですが、このような人が組織のトップに立ってしまうと、自分の専門以外のチームからの報告は全て部下の報告によって判断が異なってしまう危険性があります。
例えばITチームから新しいERPの導入提案が上がってきた場合も、システムの構成、価格の妥当性に対して判断ができないため、基本的に部下のロジックをもとに判断を下すことになり、自身の判断要素を入れることができません。そうなると、仮に自社の規模的にクラウドERPが適していたとしても、ERP導入に傾いている部下に再考を促すこともできません。

餅は餅屋ですが、最低限のリテラシーを幅広く持つことで、想定外の対処や新たな知見を生み出すことができ、さらなる成果を期待することができます

ここまで、各5つの要素を見てきました。
それぞれを分解すると更にいくつかの要素で構成されていますが、周りの人を思い浮かべて「こういう人いるな~」と思って頂けたでしょうか。

今回はこれまでにします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?