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彼女たちはヤバい/加藤元

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“女たらし”、”金なし”、”嘘だらけ”の中年男性・ケンに、執着する女性たち。 彼を自分だけのものにしようと、彼女たちは互いにけん制するものの、同じ男性に引っかかってしまっている分… もっと読む
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彼女たちはヤバい 終章/加藤元

【前回】  今日のお客は、飯塚あやという女性だった。 「いい雰囲気のお店ですね」  初対面の飯塚あやは、緊張気味の頬をゆるめながら言った。 「私、喫茶店が好きなんです。とくに懐かしい感じのこういうお店、大好きなんですよ」 「いかにも昭和な店でしょう」  四角いガラスがはまった木の扉。カウンター五席と四人掛けボックス二つ。全体がコーヒー色に染まったようなオーク材の内装。  「母親が経営しています」  飯塚あや。ホームページから予約のメールを送ってきた初回のお客に向かって、占

彼女たちはヤバい 第七章(後編)/加藤元

【前回】      三  中谷里奈は、1DKのアパートのベッドの上で、咽喉の痛みに喘いでいる。  呼吸すると、痛い。  胸が痛い。      *  ケンちゃんが、家に帰った。  奥さんがいる家に帰った。  息子が家出をした? 本当? 奥さんが嘘をついて呼び戻そうとしているんじゃないの? 「本当なんだ。警察にも捜索願を出したと言っている」  だったら、警察に任せればいいでしょう。ケンちゃんが家に帰ったところで、何の役にも立たない。 「そういうわけにもいかない。父親なん

彼女たちはヤバい 第七章(前編)/加藤元

【前回】      一  立野マリは、自分の部屋にいる。 「あやたん」と一緒だ。      *  横山ことみの娘「あやたん」は、立野マリのベッドで寝ている。  寝ろ、と言ったら、寝てくれた。素直な子でよかった。素直すぎる気もする。普通、知らないひとに知らない場所に連れてこられたら、怯えるだろう。泣いたり騒いだりするものじゃないか?  へんな子ども。  誘い出すときだって、そうだ。ショッピングモールのトイレの前で、横山ことみが「あやたん」から離れた。あんな小さい子

noteにお引越し!「彼女たちはヤバい」序章~第六章まではこちらから

皆さんこんにちは。 Web集英社文庫にて連載しておりました、加藤元さん「彼女たちはヤバい」がnoteにお引越し! 序章から第六章までは以前のページにてお読みいただけます。 各章へは以下から。 【序章】 【第一章】 【第二章】 【第三章】 【第四章】 【第五章】 【第六章】 今後の更新もお楽しみに!