ヘルメス 幻界の狩人
少女の吹くオカリナの音が、物悲しく響いている。
青みがかった雲がたなびき、その雲の切れ間にいくつもの惑星が浮かんでは消える。幻想的な空の下、ヘルメスは獲物の痕跡を追って砂漠の大地を歩んでいた。
永遠とも言える時の間、彼は惑星から惑星へと渡り続け、獲物を追い続けてきた。この惑星を訪れてからどれほどの時が経ったのか。もはやヘルメス自身、覚えてはいない。
壮麗なる砂漠都市アルケア。その手前でヘルメスは歩みを止めた。
少女の吹くオカリナの音が、物悲しく響いている。
「…見つけた」
アルケア。それがかつてあった場所には巨大な虚無の大穴が開いていた。
少女の吹くオカリナの音が、物悲しく響いている。
「貴様の仕業だ。そうだろ、ボルドヌス」
少女の吹くオカリナの音が、止まった。
少女の姿をしたそれは、ヘルメスを一瞥して言った。
「ヘルメス。ははっ、お前は相変わらずゴミだな」
ボルドヌスを見つめるヘルメスの瞳が、鈍く銀色に光った。
【「狩猟戦」に続く】
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