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アクズメさん、まさかのTVアニメ化。「キミとフィット撲死ン愚」と題して、13月よりDONGJING MXにて放送へ #AKBDC

参考文献

本編

 みなみの国は今日も暑い!

「いッけなーい、遅刻遅刻!」

 ドーン! と玄関ドアが開け放たれ、そこから飛び出したのは筋骨隆々の美男子、それはもちろん我らがアクズメさんである! 口には熱々のトーストをくわえ、あふれんばかりの愛くるしい笑顔。

うぉーすよーしふぁるふぁやるか!」

 アクズメさんはおもむろに腰をおとし、クラウチングスタートの姿勢をとった!

(謎のアナウンス)
On your marks位置について.
Set用意.

 「Set」のかけ声と同時。アクズメさんは腰をあげ、前を見すえた。するどい夏の日ざしのもと、鍛え上げられた大腿四頭筋がビキビキと音をたてている。

パーンスタート

 号砲が轟く(アクズメさんの脳内で)。直後、吹き荒れたのは壮絶なソニックブームだった。そしてそこに、すでにアクズメさんの姿はない。かッ飛んでいったのだ。超人的ロケットスタートをキメたのだ!

 ドドドドドドドド! 

 激しいストロークはアスファルトを粉砕し、アクズメさんが駆け抜けたあとにはさながら巨大怪獣が暴れたかのごとき、もうもうたる爆煙が残されていく。職場までの距離は約三十キロメートル。アクズメさんの脚力は常人の三倍。ゆえに、二十分もあれば着く計算である。

 これは間にあっちゃうね~!
 無遅刻無欠勤、さすが俺!

 アクズメさんは勝利を確信した。その時だった!

 タス……ケテ……

「ん?」

 腕と足を直角に曲げ、超高速振りあげ振りおろし走法を繰りかえしながら、アクズメさんは眉をしかめた。花椒で味つけしたトーストは、すでに飲みこみずみである。

 ドドドドドドドド! 

 タス……ケテ……

 まただ。アクズメさんのストローク音に紛れこむように、誰かの声が聞こえてくる。アクズメさんは思わず呟く。

啥咪なに?」

 タス……ケテ……

 ドドドドドドドド! 

 タス……ケテ……

 その声は直接脳に響いているように感じた。

啥小なんだよ!?」

 ドドドドドドドド! 

 タス……ケテ……ケテ……

 ドドドドドドドド! 

 アクズメさんの凄まじいストローク音のなかでも、声は徐々に大きくなり、クリアになってくる。

 タス……ケテ……

 ドドドドドドドド! 

 タスケテ……

什麼是什麼え なになに!?」

 ドドドドドドドド! 

 タスケテ

 ドドドドドドドド! 

 助けてッ!

 アクズメさんはクワッと目を見開く。ズガガ! アスファルトを削り、急制動急ブレーキ。削りとられたアスファルトは高速で飛翔し、摩擦熱で輝く。まるで戦闘機がばらまくフレアのように美しかった。

 助けを求める声……だって!?

 アクズメさんは目を閉じ、心を澄ます。

 助けて……助けてッ!

「あっちか!」

 顔をあげ、彼方を睨む。声の源へと躊躇することなく駆けだす。真の男アクズメさんは、助けを求める声を見逃すことなどできないのである。

 駆ける。アクズメさんの視界のなか、亜音速の感覚(※個人の感想です)で風景が流れていく。空は青く、太陽は輝いている。過ぎ去っていく住宅街、驚いたように振りかえる人びと。やがてビルをふたつ飛び越えたころ、風景は不穏に変わりつつあった。少しずつ空はかげっていき、墨を流したように黒く黒く染まっていく。太陽は気味の悪い灰褐色に変わり、その輝きは触手のようにウネウネと、不気味な蠢きのようだった。街からは人が消えていた。 

ッ!」

 アクズメさんはビルの頂から降りたつ。ズドンと三点着地。空き地のような場所だった。そこには血まみれの……猫のような生物が横たわっていた。

「ふむ……」

 アクズメさんはあごに手をあて、猫っぽい生物に近づき思案した。猫っぽいやつは息も絶え絶えだった。再びアクズメさんの脳内に声が響いた。

 助け……て……

「俺に助けを求めていたのはお前か」

 助け…………

 アクズメさんはうなずいた。

「いいだろう。俺が助けてやるよ……ハイ!」

 アクズメさんはまるで舞いを踊るかのように、緩やかに優美に、円を描くように手と足を動かした。

(謎のナレーション)
双手托天理三焦シュアンショウトゥオティエンリーサンジャオ

 それはまるで天を支えるかのように。

左右開弓似射雕ズォヨウカイゴンシーシャディアオ

 全身を弓のようにしならせ。

調理脾胃須単挙ティアオリーピーウェイシュダンジュイ

 ゆるやかに天と地を抑える。

五労七傷往後瞧ウーラオチーシャンワンホウチァオ

 あなたを迎えいれるように手を広げ。

揺頭摆尾去心火ヤオトゥバイウェイチュシンフォ

 不動の姿勢で大地を踏みしめ。

両手攀足固腎腰リァンショウパンズーグーシェンヤオ

 泳ぐように大気を撹拌し、謙虚に大地へと首をたれる。

攥拳怒目増気力ザンチュエンヌームーゼンチーリー

 すべての邪悪を破壊する拳を繰り出し。

背後七顛百病消べイホウチーディエンバイビンシャオ

 慈愛をこめて天を仰ぐ!

ハイ! ハイ! ハイッ!」

 アクズメさんの掌から麗しい輝きが放たれて、猫っぽいやつを包みこんでいく。なんかよくわからんけど気功っぽいなにかによって、猫っぽいやつの傷はみるみるうちに癒えていく!

「これでもう大丈夫だぜ」

 直後、傷の癒えた猫っぽいやつは……跳躍し、空中でくるくると回転した!

「うお!?」

 アクズメさんは驚いた。着地した猫っぽいやつは直立二足歩行だった! 驚くアクズメさんをしり目に、猫っぽいやつはシュッ、シュッ、と拳を繰り出しながら語りだした。

 ありがとう、完璧な治癒だ。俺の名は、ベルナルド。

 渋い声だった。

「おいおいおい、CV.大塚明夫かよ……」

 猫っぽいやつは肯定するようにうなずき、続けた。

 いいか、アクズメ。

「は? なんで俺の名前を知ってるんだ?」

 俺はお前に願いがあって、このみなみの国まで来たんだ。

「お願いだって……?」

 そうだ。

 猫っぽいやつは……ベルナルドは可愛らしく首をかたむけて微笑んだ。

 俺と契約して、イール討伐の聖戦士になって欲しいんだ!

「えー!? なんだって!? イール討伐の聖戦士だって? 宇宙の脅威である邪悪なるイール型宇宙生物がこの地球を狙っておりベルナルドは銀河連邦から派遣されたネコ型宇宙拳闘生物なのであって選ばれし地球人に拳闘の力を授けイールと闘う聖戦士にしようと考えていた、しかしその最中邪悪イール型宇宙生物に襲われ傷つき息も絶え絶えになりながらもここまでたどり着き選ばれし男が接近していることに気がついてテレパシーで呼びかけた……つまりは俺にイール討伐の聖戦士になって欲しい……ッてコト!?

 そうだ。そして……すでに危機はそこまで迫っている!

「なんだって!?」

「「イルイルイルイル!」」

 それは不気味な笑いだった。黒くかげった空、灰褐色に蠢く太陽。その下で、巨大ないくつもの影が蠢き、いままさに空き地を包囲しようとしていた。それは正視するだけで気が狂わんばかりにおぞましい、邪悪なるイール型宇宙生物だった。見た目からしてあきらかにヤバく、生命の危険を感じさせる。アクズメさんは前のめりになって叫んでいた!

「契約する!」

 ベルナルドは微笑んだ。

 いいだろう、それでは始めよう!

 アクズメさんの拳に光が渦巻き、それは黄金のボクシンググローブと化していく。

 これこそが聖戦士の証、『撲死ン愚グローブ』だッ!

「「イルイルイルイルー!」」

 不気味な咆哮とともにイール型宇宙生物はアクズメさんたちに殺到する。ベルナルドは野太い声で吠えるように言った!

 いいか、俺の言うとおりにするんだ。
 そうすれば、なにがあろうと大丈夫だ!

「わかったぜ!」

 構えて!
 まずは正しい構えでリズムをとれ。
 1、2、1、2。 前、後ろ、前、後ろ!

 しっかり足腰を使うんだ!
 それではいくぞ!

 せーの、アッパー!

 アクズメさんに近づこうとしたイール型宇宙生物のあごが打ち抜かれた! ズンズン、スズンズン! アクズメさんの脳内に壮絶なビート魂の鼓動が鳴り響き、そのビートに合わせるようにベルナルドは叫び続ける!

 内側からしっかり打て!

 せーの、アッパー!
 せーの、アッパー、左アッパー!

 せーの、呼吸をしっかり!
 せーの、右、左、アッパー!

 せーの、相手のあごを狙うぞ!
 せーの、アッパー、連打、続けていけ!
 右、左、右、左!
 せーの、アッパー、連打、続けて打ってストレート! せーの、1、2、3、4、5!

 ナイスパンチ! 腰を入れて!
 拳は上、せーの、打って、ひねる!

 せーの、シッ、シッ!
 拳は上、下げるなよ!
 呼吸するのを忘れるな!
 せーの、まっすぐ伸ばして戻すぞ!

 ほら、もっとテンション上げろ!

 その速度は加速し、まさに黄金の奔流と化していく!

 せーの、ジャブ、ジャブ! それだ!
 せーの、ジャブ、ジャブ、ジャブ、ジャブ、ストレート、
 1、2、3、4、パンチは正確に打ち分けるんだ!

 せーの、ストレート、ひねってアッパー!
 せーの、左、右、左!

 せーの、1発、2発、3発!
 せーの、トン、トン、トン、トン、トン!

 いい調子だ! 右にタメをつくっていくぞ!
 せーの、ストレート、フック、ひねってアッパー!
 せーの、フッ、フッ、フッ!

 パンチを撃つときはしっかり腹筋引き上げろ!

 リズムをつくるぞ!
 せーの、トントントン!
 せーの、ストレート、アッパー、連打、1、2、3、4、5!

 イール型宇宙生物が次々と肉屑と化していく。ズンズン、ズズンズン! アクズメさんの魂のビートが最高潮に達しようとした瞬間、「イルイルイル!」イール型宇宙生物は合体し、巨大なおぞましい何かとなってのしかかってきた!

「!」

 ベルナルドは叫んだ!

 お前ならいける!

「そうだ、俺ならいける……」

 ここからが本番だ!
 さらに追いこんでいくぞ!

 リズムをつくるぞ。
 1、2、1、2。前、後ろ、前、後ろ!

 気合いを入れろ!

「気合を入れた!」

 トン、トントントン、
 せーの、ジャブ、ジャブ、ジャブ、ジャブ、ジャブ、ストレート!
 ひねってアッパー、アッパー、アッパー、アッパー、ストレート!
 1、2、3、4、5、6、7、8!
 最後のパンチは力強く!

 気を抜くな!
 右、左、右、左、1、2、3、4、5、6、7、8!

 キレ良く、思いきり!
 ジャブ! ジャブ三発!
 ワン、ツー、ひねって、右、左、右、左、ストレート!
 1、2、3、4、5、6、7、8!

 シッ、シッ、シッ、シッ!

 お前ならいける!

「俺ならいける!」

 せーの、アッパー、アッパー、アッパー、
 右、左、右、左、ストレート!
 1、2、3、4、5、6、7、8!

 もっと、もっと、もっと、もっと!
 パンチでイールを叩き潰せ!!

 全力で行くぞ!

 せーの、シッ、シッ、シッ!
 せーの、シッ、死ッ、死ッ!
 せーの、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、
 死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ!
 死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ!
 死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ!
 死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ!
 死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ、死ッ!

 死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死ッ!
 死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死ッ!

 光の速度でアクズメさんの思考が加速していく。イール型宇宙生物は原子レベルまで分解されていく! 黄金の光に包まれるなか、アクズメさんは考えていた。

 あ。

 そういえば。

 俺……。

 今日は誕生日だったわ。


 せーの!



💥✊💥👊💥



 というわけで、話題のアニメ、13月から放映予定「キミとフィット撲死ン愚」の完成披露試写会の様子、いかがでしたか? 全世界のアクズメファンが詰めかけて、すごい熱気が渦巻いてますねー! それではさっそくファンの皆様に感想を聞いてみましょう!

 👩‍💼 < 感動しました! 感激ッ!

 🙆‍♂️ < こんなアニメ見たことないッ!

 🤷‍♀️ < ずっと「え!? え!? え!?」って!

 🧟‍♂️ < うぼぼぼぼ

 💁‍♂️ < アクズメさん、かっこ良すぎ!

 🙆‍♀️ < アクズメさんしか勝たん!

 🤸‍♀️ < きゅんです!

 🏌️‍♂️ < いややばいでしょって話だよね


 せーの!


 🙋‍♀️🙋‍♂️🙆‍♂️🙆‍♀️ < アクズメさん、サイコー!


 せーの!


 🙋‍♀️🙋‍♂️🙆‍♂️🙆‍♀️ < アクズメさん、かっこよすぎ!


 せーの!


 🙋‍♀️🙋‍♂️🙆‍♂️🙆‍♀️ < アクズメさん、



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✨🎉 お誕生日おめでとうございます! 🎉✨



これはなに?

アクズメさんによるアクズメさんのための祭典、Akuzume Birthday Carnivalへの参加作品です!

【おしまい】

きっと励みになります。