最近感動した言葉「きれいめな服」
日常の言葉という言葉、すべて気になってしまう性質なので、広告を見て違和感があるとそこにばかり目を奪われてしまう。
たまたま目に付いたのは、ユニクロのLINE広告だった。
多分これは友だち登録するとヒートテック的なものを追加して、そのままブロックもせず延々と広告を流されているのである。
完全に元を取られている。
そんなことはいいとして、サムネイルにもあるこの広告が気になった。
注目してほしいのは、右側のお姉さんの色味がなさすぎる上に、さらに同系色の上着を持っていることではなくて、
「きれいめブラウス&パンツ」の文字の部分だ。
「きれいめ」ってなんだ???
言葉ヤクザはここに引っかかった。
「きれいめ」ってことは、対立する概念の「汚め」の服もあるのか?
何か「きれい」と言い切ってはいけないやましい事情でもあるのか?
(バングラデシュの小さな村の労働力を搾取し作られている後ろめたさか?)
などと思ってしまったわけだ。
普段あまり服装に疎いので文字面だけみて「なんなんだこれは」という感想を抱いていた。
あまりに気になったのでTwitterで、これは何ぞ、と問いかけたら、意外にもすぐ答えが返ってきた。
複数人から反応があったのだが、どうやら「きれいめ」とは「フォーマル」に近い概念であることは間違いなさそうである。
ふむふむ。だがこのままでは、言葉ヤクザは許してくれない。
「だったらフォーマルと書いとけ!」
もっともである。
だからもう少しきれいめな服を検索して「きれいめ」の定義を考えることにした。
結果として考えた。「きれいめな服」とはこういうことである。
「色使いや形が派手でなく、フォーマルに着られる服だが、難しいコーディネートの工夫をせずとも私服として着て違和感がない服」
ということみたいだ。
これはすごい。意図していない部分もあるかもしれないが、「きれいめ」と1つ怪しい単語を使うことでこんなに多くの概念を伝えているのである。
「きれいめ」の修飾語は女性ものの服に多かったが、中には男性ものの服にもきれいめと呼ばれるものがあった。
多くはジャケットスタイルにシンプルなTシャツやシャツである。シンプルなデザインで洗練されていそうな感じを出している。
他意はないのだが、広告系のクリエイターが着ていそうな服である。
「きれいめ」な服は仕事着とプライベート着を分けて持つコストと場所を減らすための着回しを応援している気がした。
だから、制限の強いフォーマルを意識させつつも、私服としても対応できますというアピールをしているのである。
そう考えるとこの「きれいめ」と書かれている服が急に、仕事もプライベートもイケイケのデキル奴に見えてきた。
きれいめ、侮れない。
広告という限られた文字情報なので、多少は定義の怪しい言葉を使ってでも、受け手に印象よくうつることが大切なのはわかる。この「きれいめ」はまさしく、怪しく、そしてしっかりした言葉であることがわかった。
きっとこの「きれいめ」を服に使い出した人は相当賢いに違いない。
休みの日でもこざっぱりしたジャケットを着たい男性や、上手に着回したい女性は「きれいめ」で検索してみるとよいのかもしれない。
「きれいめ」は頭の悪そうな言葉だが、実はもの凄く頭のいい言葉だった。
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