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新卒人事に赤裸々に聞くシリーズ「面接官が知りたいのは、すごい経験や成功体験なんかじゃなくて、「その経験から何を学んだのか」っていう感性や気持ちを一番知りたい」あじゅまるさん(5/n)

あじゅまるさんプロフィール


メーカーの人事。新卒の採用も担当。自動車メーカーの営業から転職した経験を持つ。
あじゅまるさんnote:あじゅまる|note


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面接で「人数」と「期間」の数字を伝えた場合の面接官の脳内


『「全国大会出場を目指している高校で部員は40人ぐらいいて、キャプテンでした」とかって言われたら、「そんな強豪校で40人まとめてたんだ」ていうのが見えてくるんですよね。

その中で、「自分がどんなこと頑張ったか」とかを書いてもらったり、言ってもらったりすると、もうその子が「40人で何かした」っていうのが前提であったりするので、「チームの雰囲気が悪くて全員と面談した」とか、「チームの練習メニューを副キャプテンと2人で考案して2年の秋から3年引退までずっと練習に取り入れた」とか、人数と時間が入ることでどんなこともイメージしやすくなるんですよね。

また大学時代で「意外と○○に苦労した」とかって言っても、面接官は「そしたら中高6年間では出会わなかった壁にぶち当たってんだろうな」とかっていうのも想像できますよね。』

エピソードに尖りがない時の「人数」「期間」の例


 

ーこの例だと、キャプテンとか準優勝っていうのがあるので自動的に数字がついてくるんですけど、例えばその「平の部員で三年間とか四年間終わりました」みたいなことだったり「こんなに結果が出てないです」みたいなことも全然あるじゃないですか。そっちが多分大半だと思うんですけど、そういう子はどうなんですか?


 
『あ、全然それもありますね。

それでもちゃんと光ってるとか面白いエピソードを語れる人もいて、大学で野球部に入ったけど、人数が10人しかいなくて、大会に出れる人数がギリギリで怪我したら終わりみたいな感じの環境だったと言ってた学生さんがいました。で、さらに経験者が3人しかいなくて、その人は初心者で入って第一回戦を突破するのを目指してたけど、4年間で1回も勝てなかったみたいな。

そこでなんかエピソードは「なぜそれをしたか」を書いてもらえたらいいかなと思うんですけど、結果が勝てなかったでもいいと思うんです。けどその中で「一番自分が取り組んだことはこれだ」みたいなことを書いてもらったらいいと思うんです。
 
例えば経験者3人しかいない中で、「勝利のための〇〇の練習を取り入れて自分の打率がここまで上がるようになったのね」とか。「10人しかいないからこそ、まずは団結力を生むために△△な事を考えたのね」とか。

その思考だったり、プロセスだったりみたいなものを、「逆境の中で」「この少ない人数で」とか、「低レベルな環境でもこれをやってた」みたいなことを提示されると、それはそれでまた1つポイントになるなんて言うこともあります。』
 

ー確かに。でも、例えば「そこそこの規模の野球部でした。部員は20人か30人います。二軍なので出場機会ありませんでした。」みたいなパターンとかはどうなんですか?


 
『そしたら、例えば「規模40人ぐらいで一軍に行けるのは20人しかいないんです、と。そして私は35番目ぐらいだったんで、一軍ことができなかったんです。

ただ目指したのは、一軍で活躍することを目指していて。一軍の先輩達から○○の情報取り入れて、こんなことをやってみたりだったりとか、コーチのアドバイスで△△をやってみたりとか、YouTubeでプロの動作を実際にやってきたんです。
 
でもまあ最終的に私はその一軍での試合ででることはできなかったんですけども、二軍では一番の声出しとムード作りをやってやってきました。

なので自分のとった行動で主力メンバー一軍のナインの活発さも少し変わっていって、部の雰囲気が変わった」とか、そんなニュアンスで「自分が関わったチームがこんな風に多少変わってきますよ」みたいな伝え方ができるかな、と思いますけどね。』
 

ガクチカエピソード格差への人事としての考え

ーなんかこうこうやって色々話していくとエピソード格差ってあったりするじゃないですか。それって人事から見てどう思うんですか?


 
『あーそれは全然仕方ないと思ってるんですけど、それについてどう思ってるかを自分で答えないといけないのかなと思ってて。
 
これ僕、面接って自分の思い出を語る場だと思ってるんですよ。で、面接ってさっきテンプレで話してる就活生が多いって話したじゃないですか。

テンプレが多い面接とかエントリーシートで、なんでテンプレが使われるかって言うと、ガクチカ構文のような格式ばったもののなかでポンとなにか強みが出せるからだと思うんですけど、そこには感情が入らないんですよね。』
 

ーあー、そうですね。


 
 『でも思い出話になると感情が100%入ってくるんです。勝って嬉しかったのか、負けて悔しかったのか、友達とバカみたいなことやって楽しかったのかみたいに、何かしらの感情が入ってくるんですよ。

そのもとになった経験を引っ張ってくることができれば、その話の内容で感情見えてくるので「この子ってこんな子なんだ」みたいなのが見えてきます。なので基本的に面接ではその人の話しは思い出話として語れば良いと思いますし、そうすると自然とその人らしい形が見えてきます。
 
「すごいエピソードでアピールしないと」って思っちゃうのかもしれませんが、面接官が知りたいのは、すごい経験や成功体験なんかじゃなくて、「その経験から何を学んだのか」、「何を感じたのか」、「その学びをどう活かしたいのか」っていう感性や気持ちを一番知りたいんですよね。そこから見えてくる人柄・人間性、その人を形成する価値観が知りたいです。
 
就活では自己分析とかよくやってますけど、僕としてはそこまで必死にあがいて自己分析に時間をかけなくてもいいと思うんですよね。
それよりも人生の中で「テンションが上がったときトップ3」みたいなこととか、「一番へこんだときトップ3」みたいなものを思い出してそういったジャンルに分けて出しとけば、もうそれだけで面接は対応できるんだろうなって思うんです。』
 

ー確かにそうですね。


 
『もう、そうするとさっき言った思い出格差みたいな事って、その人のものでしかない思い出なんだから、別になんでもいいじゃんって思うんですよね。』