希望だった

 つらいときは文章を書いたり絵を描いたりして発散するべしと聞いた。訃報を聞いてから頭がぼーっとする。泣いた目は腫れコンタクト入らない。昨晩の怒りと悲しみを消化できないまま今朝仕事や学校に行った人はどれくらいいるだろう。足元がぐらぐらしている感じ。自分がこのままここで生きていていいのかと大げさではなく考えてしまう不安定さ。喪失感。それでも朝が来て、一日がまた回っていくこの感じ。やるせなさ。
 りゅうちぇるが新しい家族像をぺこちゃんとつくると発表したとき、私はすごくうれしかった。りゅうちぇるの境遇と私は少し似ていると感じていた。結婚してから自分の性自認に気づいたからだ。そんなの後出しでずるいだとかパートナーに対する申し訳なさとか「それって男になりたいってことなんじゃない?」と言われたこととか三ヶ月に一度くらいの頻度で消えてなくなりたくなる衝動とか、自分の身体の底から湧き上がる自己批判を乗り越えなきゃいけなくて、あのときあなたとぺこちゃんがしめしてくれた家族の形はものすごく光に見えた。下記のようなことを書いた。

 あなたがいることで私は救われた。あなたが示したその家族の形は、家父長制を解体し法律結婚以外で愛する人たちと暮らす新しいモデルそのものだった。性別の役割期待を放棄させ、ジェンダーロールをぶっ壊しそれでも家族は一緒に居られることを示した。あなたらしく生きることを一生懸命模索する姿は勇気だった。あなたは希望だった。SNSという断片的な情報は生活の1%も満たないことなのに、スマホを通してSNSを見た人たちがあなたのすべてを知ったかのように、遠くから傷つけるようなことをたくさん言った。あなたの友達でも何でもない人たちが、己の身勝手さを"正義感"と勘違いし、見えている断片的な情報だけで断罪した。苦しくてたまらない。この世の地獄を煮詰めたような恐ろしい世界では生きた心地がするわけがない。自分らしく振る舞うだけで中傷され涙が勝手に出てきてしまうところまで誰かが追い詰められてしまう世界に我々はいるのだ。ものすごくつらい。

今度一人暮らしするタイミングがあったら猫を飼いますね!!