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誰も知らない風邪の正体.

普段病院の救急外来(通称ER)で多くの患者さんを診察していますが、寒くなってくるとよくこんな場面に遭遇します.

〜とある診察にて〜
👨「昨日くらいから鼻水と喉の痛みがひどくて、市販薬買って飲んではいるんですけあんまり効かなくて、、泣」
👩‍⚕️「わかりました、症状からして風邪だと思いますがまずはインフルエンザとコロナの検査をしましょうか」
👨「はい、お願いします」

・・・・30分後

👩‍⚕️「お待たせしました. 検査の結果どちらも陰性でしたよ」
👨「あー、よかったです.  先生、そしたらお薬もらえますか?」
👩‍⚕️「もし市販薬をお持ちならそれで十分ですよ.」
👨「え、抗生剤はもらえないんですか?知り合いはそれ飲んですぐ治ったって聞いたんですが、、、」

風邪に効く魔法の薬はある??

風邪をひいて何か特効薬がもらえることを期待し、すがる思いで病院を受診する患者さんが少なくありません.
たまに風邪に対して抗生剤を処方する町医者がいますが

基本的に抗生剤で風邪が早く治ることはありません!

もし抗生剤を飲んで良くなったと感じた方は、プラセボ効果(ただの思い込み)か、非常にまれですが細菌感染を起こしていた可能性があります.

そもそも世間一般で言われる「風邪」というのは
医学用語では「急性上気道炎」といわれるもので、そのほとんどがウイルス感染による「ウイルス性急性上気道炎」といいます.
細菌によるものは稀だと覚えておいてください.

そして風邪の原因となるウイルスの種類はなんと200種類以上!
コロナウイルスやインフルエンザウイルスはその1つにすぎないのです.

もちろんインフルエンザやコロナウイルスの感染力はとっても強く、まわりで流行ってたりする場合は、それらのウイルスに感染している確率はぐん⤴︎  と上がります.

ここでみなさんがよく耳にする抗生剤というものは、「細菌」を倒す薬です.
もう一度言います、「ウイルス」ではなく「細菌」を倒す薬です!

先ほどのも言ったように、風邪というのはほとんどがウイルス感染によるものなので、基本的に風邪に抗生剤は意味がないという認識でばっちりです.

それでは、ウイルスを倒すお薬はないの?と疑問が生まれると思います.

結論、

あるけどあんまり効かない

インフルエンザに対して、よく処方される「タミフル」、「リレンザ」などのお薬は抗インフルエンザウイルス薬といって、インフルエンザ専用のお薬になります.

ただ、症状が出てから2日以内に飲まないと意味がない、しかも1日早く治るか治らないか程度の効果
副作用とかを考えるとあまり出したくない先生が多いです.
(僕はメリット、デメリット説明した上で、患者さんの希望に合わせて出すようにしています)

そしてコロナに対しては、いろいろニュースで特効薬が開発されたなど取り上げられていますが、若くて普段元気な方に出すような効くお薬は今のところありません.
たった今、若くて普段元気な方と言ったのは、高齢で持病がある方にはこれ以上悪くならないように「ラゲブリオ」という抗ウイルス薬を処方することがあるからです.

そんなわけで、若くて普段元気な人はつらいなか病院で長い時間待たされた挙げ句、高い診察料払わされるくらいなら薬局で症状に合ったお薬を買って飲んだほうがいいんです.
もし、学校や仕事の関係でコロナかインフルエンザか知りたい場合は市販の検査キットで十分です.

以上、誤解されがちな風邪の正体について書いてみました.

大事なことなので、よかったまわりのみんなに教えてあげてください.
ためになったなぁと感じたらスキとフォローをお願いしますね.


また健康、病気に関することで興味があること、疑問に思うことがあれば気軽にコメントください.


次回は、
風邪薬ほしくて薬局に行ったものの、種類が多すて棚の前でずっと悩んでしまう人へ
風邪薬の個人的な選び方について書きたいと思います.
お楽しみに.


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