見出し画像

どうしようもないほど誰かを好きになったら

どうしようもないほど誰かを好きになったら、どうすればよいか?

この問いについて考えてみたい。

・・・

僕は、人生において、恋愛に対してはオールインの姿勢を取ってきた。

というよりも、そうせざるを得なかった、という方が実態に近い。
誰かを好きになると、他に何も手につかなくなるのだ。
そして、それが恋愛というものなのだと思っていた。

でも、人の話を聞いていると、どうやらそういう人ばかりではないらしい、ということが分かってきた。

「誰かを本気で好きになったことがない」
「付き合っている人はいるが、好きなのかは分からない」
そういう悩みを抱えている人は多い。

ましてや大人になってからだと、「好きな人ができない」という話をよく聞くようになった。
本当に、みんな異口同音にそう言うのである。

そうして、僕はひとつの結論に至った。

「誰か一人のことを本気で好きになれる」のは、紛れもなくその人の才能である、ということ。

どうしようもないほど誰かを好きになった時点で、あなたは素晴らしい才能の持ち主なのだ。
そのこと自体に、まず、自信を持っていいのだと思う。

・・・

「どうしようもないほど誰かを好きになる」といっても、いくつかのケースがあるだろう。

まず、その相手と恋人同士として付き合っている場合。

そのケースなら、話は簡単だ。

相手にしっかりと愛してもらえばいい。

「あなたが好き」、そういうことをしっかりと伝える。
そして、相手にも同じように、好きだと言ってもらう。

もしかしたら、相手は恥ずかしがるかもしれない。
でも、お願いして、言ってもらう。
何回だって言ってもらう。
そして相手に、優しく抱きしめてもらう。

そうしていくうちに、苦しい気持ちは、やがて安心感へと変わっていくだろう。

・・・

次に、その想いを寄せている相手と、付き合っていない場合。

あなたはまだ、その想いを伝えることができていない。

まずは、様子をみるだろう。
ひょっとしたら、この気持ちは勘違いかもしれない、と。
しばらく、その想いを誰にも伝えないまま、自分の気持ちを確かめてみるだろう。

でも、どうやら、自分は本当にその人のことを好きなのだ、ということが理解されてくる。

それは頭でわかる、というよりも、全身でそれを実感する。
居ても立っても居られなくなる。
頭の中を占めるのはその人だけになり、他に、何も手につかなくなる。

こうなったら、できることは一つしかない。

降伏の白旗をあげるのだ。

「好きで好きでしょうがない。どうしようもないから、自分と付き合って欲しい」

そういう想いを、相手に伝えるのだ。
どれだけ緊張しようとも、どれだけ答えを聞くのが怖くても、伝えるのだ。

もしかしたら相手も自分のことが好きで、運良くお付き合いすることができるかもしれない。
そうしたら、恋人になった相手に、しっかりと愛してもらえばいい。

でも相手は、自分を振ってくるかもしれない。
いや、むしろ、そのケースの方が圧倒的に多いだろう。

「まだ知り合ったばかりだから」「今は恋愛の気分じゃないから」いろいろな理由をあげてくると思う。

納得のいく理由ではないかもしれない。
あるいは、納得はしたとしても、悲しさは残るだろう。

でも、考えてみてほしい。

お互いが一目惚れしたケースを除いて、恋愛は基本的に片思いから始まる。

悲しいかもしれないけれど、振られてしまうのはある種、仕方ないこと。

涙は流れてしまうかもしれない。
ご飯も美味しくないかもしれない。
それでも、事実を受け止める。

時間が経ってくると、むしろあなたは、想いを伝えたことで、少しだけ気持ちがすっきりしたことに気がつくだろう。
やや熱が冷め、頭も冷静になってくる。

それからまた、少し時間をかけて考えてみるといい。

「本当に、その人は一生をかけて愛すべき人なのか?」

もしかしたら、答えはノーに変わっているかもしれない。
それなら、新しい恋を探せばいい。

でも、やっぱりイエスかもしれない。
まだどうしても好きであり、その人を想うと涙が流れてくるかもしれない。

その場合、もう一度、想いを伝えてみる。

飽きるまで、好きと伝えるしかない。
相手が折れるか、自分の声が枯れるか。
人生をかけたチキンレースを仕掛けてみる。

そうしているうちに、相手は、「そこまで言うなら」と折れるかもしれない。
そういう風にして恋愛が始まることも、少なくない。
そうなれば、こっちのもんだ。

でも、やっぱり、振られ続けるかもしれない。
そして最後には、伝える言葉もなくなってしまうかもしれない。

しかし、実はそこまできたら、あなたも、新しい恋愛へと向き合う準備が徐々にできているだろう。
恋愛は成就せずとも、「人間として成長した自分」と出会えるだろう。

そういうあなたを愛してくれる人は、世界のどこかに、きっといる。

・・・

そして、最後のケース。

想いを伝えないほうがよい人を好きになった場合、というのがある。

相手がすでに結婚している人だったり、親戚だったり、「なんらかの理由で恋愛関係に陥らない方がよい人」を好きになってしまったら、どうしたらよいのだろう。

この場合は、正直、ケースバイケースというしかない。

自分の頭で考えて、相手にとって、そして周りの人にとっても好ましいと思われる行動をするしかない。

大事なのは、自分のとりたい行動が、相手にとっても嬉しい行動とは限らない、ということだ。

・・・

僕はもう結婚している。

基本的には妻のことが好きだが、もしかしたら、違う人のことを好きになる可能性もないとは言い切れない。

その場合も、想いを伝えない方がよい恋愛のケースと言えるだろう。

そうなったら、僕はどうするか。

僕は、想像で、その人に想いを伝えてみる。

想像にリスクは伴わない。

そうして、僕は結婚をしてからも、いくつもの新しい恋を経験できるのだ。

最後まで読んでいただきありがとうございました!いただいたサポートは、小説を書くためのインプットに使わせていただこうと思います。