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日常の出来事ふりかえり:「失くしたiPod nanoを探し出す」

僕がスタッフをしているNPO法人D.Liveでは、「TRY部」という中高生向けの教室を開いている。ここでは毎週何かしらの目標や計画を立て、そこから生徒たちの自信を育んでいく。

教室がはじまると、まず前週立てた目標について「詳細な事実」「原因の分析」「本音の感情」「次、どうする?」の4つの目線で徹底的にふりかえる。この目標は、だいたいルーティン目標、つまり毎日何かしらのことをコツコツこなしていく目標に対するふりかえりであることが多い。なので、「火曜日はできなかった」「なぜなら寝てしまったから」「疲れてやりたくない」「次の週はもう少し量を減らす」、みたいな事柄でふりかえりを深めていく。

ところでこの4つの目線を、目標と言うにはややかけ離れた、ちょっとした日常における出来事に当てはめてふりかえるとどうなるのだろうか。やってみた。

シチュエーション:失くしたiPod nanoを探し出す

詳細な事実
・琵琶湖線の電車を降りてコートのポケットに手を入れると、あるはずのiPod nano(以下iPod)がなかった
・その日、確かに家を出るときにコートのポケットにiPodを入れたが、イヤホンには接続せず、移動中も音楽を聴くことはなかった
・ということは、確実に移動中の車内、もしくは駅で落としている
・しかもイヤホンは手元に残っているので、ステッカーなど外見になんの特徴もないスペースグレーのiPod「だけ」落とすという、仮に見つかっても持ち主確認で信用されないと引き取れない可能性もある展開に
・とりあえず電車を降りて5分もしないうちに、ダメ元でJRの忘れ物チャットサービスで問い合わせた
・すると、それらしきものが降りた電車の終点の野洲駅で保管されているとチャット相手のオペレーターが知らせてくれた
・やがてかかってきた電話で当然持ち主確認を求められたが、とっさに機転を利かせ駅員に操作を依頼して「野球選手登場曲集」というプレイリストがあるか確認してもらい(!)、そのiPodが自分のものであることを断定
・日を改めて取りに行き、いまこうしてiPodから流れるいきものがかりを聴きながら文章を書いている
・フル充電したその日に失くしたので、電池残量は余裕で残っていた

原因の分析
・間違いなく、京都駅から琵琶湖線に乗って座ってコートのポケットからiPhoneを取り出したとき、一緒にiPodもこぼれ落ちた(同じ失敗を昔カード式回数券でやったことがある)
・前々から職場の最寄り駅に張り出されていたJRの忘れ物チャットサービスに興味があって、電車で失くしたと気づいた瞬間「いまこそこれを試すべきときだ」と即座にアクセスしたのが早期発見につながった
・もっといえば、電車を降りて改札を出た直後ぐらいに異変に気づいてなければ間違いなく発見が遅れていたかも

本音の感情
・とりあえず、あってよかった
・でも、正直古いやつだし電池の減りが最近早いし(6年くらい前に名古屋駅のビックカメラで買ったもの)、買い換えるチャンスがついに来たかと一瞬は思った
・買い換えるチャンスだ!と思っていても、同時にどこで失くしたのか?もしiPodが出てこなかったら、明日からなんの機械で音楽を聴けばいいのか?などと不安でフワッフワしてた
・一番強く思ったのは「失くした電車が野洲行きでよかった」ということ。米原行きでも面倒だと言うのに、これがもしも敦賀行きだったら、わざわざ福井県までiPod取りに行く羽目になっていた(ちなみに取りにいけない場合は着払いで郵送)
・野洲まで取りに行くのは近いとは言えそれはそれで面倒だったが、前述のように米原や敦賀まで行った可能性もあったことを考えるとラッキーだった
・それに、野洲駅の近くの西友にあるパン屋に、もはや絶滅危惧種のはちみつバターパンが売っていてとても嬉しかった
・仕方のないことだが、プレイリストを駅員に晒すのはまあまあ恥ずかしかった、と後になって思う
・JRの忘れ物チャットサービスは、結論から言えばまあまあ使いにくかった
・iPod、なくてもまあ不便はしないがあったほうがやっぱり良いな、と失くして引き取りに行くまでの数日間感じた

次、どうする?
・コートのポケットにiPodを入れるときは、かならずイヤホンに接続した状態で入れておく
・しかし、Bluetoothイヤホンだと接続しようがないので落とすリスクがやっぱり高くなる。ということは、いよいよ音楽再生機能付きBluetoothイヤホンを買うべきときがきたのかもしれない(ずっと欲しいと思っている)
・JRの忘れ物チャットサービスはまあまあに面倒くさいので、苦手でも電話で失くしましたと連絡したほうがスムーズにやり取りできる気がする
・失くさないように強い意識を持つのは確実に疲弊するので、今回もまったく意識せず失くしてしまったがあえてその意識は持たないことにする
・またなんか忘れ物して野洲駅に届けられたら、西友のパン屋ではちみつバターパンを買おう

まとめ

冒頭に書いた「TRY部」では、生徒だけではなくスタッフ(大人)もいっしょに目標を立て、この4つの視点からふりかえることをよくしている。実は生徒のみならず大人もこれに結構苦労することがある。なぜかといえば、記憶がないから。

要は人間というのは忘れる生き物なので、「あれっ?これどうだったっけ?」と思考停止してしまうのだ。

そういう意味では、こうした小さな出来事でも記憶が新しいうちにじゃんじゃん振り返っていくのは大いに有効だと思った。それと、「出来事」発信だと目標を立てにくいという欠点こそあれど(「見つけ出す」というのもかなりひねり出した目標だ)、この4つの視点を通してあったことをふりかえると、たとえ小さな出来事でもいろいろ考えさせられることがある。

さすがに次から次へとおこる出来事をこうして詳細に振り返るのは難しいかもしれないが、重大な出来事や、これは忘れちゃいけない!と思うようなことは、この4つの視点を通して定期的に振り返る必要があるかもしれない。

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