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一目惚れした靴が相棒になるまで

靴は相棒だと思っている。東京はとにかく歩くことが多い街(私が生まれた土地は車社会でほとんど外を歩かないレベル)だし、いろんな表情がある街を歩くのは楽しくてしょうがない。

あきやさんと自問自答ガールズの皆様の完全な影響を受けた私は、第一歩としてフラットで少しボリューム感のある、どこまでも歩いていけそうなローファーを探すことにした。

予算を決めるにあたり、ハイブランドも可とした。言い訳は「出産前後の2年間、マタニティ服以外買っていない自分にご褒美を!」だ。

早速手当たり次第に各ブランドのWEBサイトを徘徊し、あるTOD'Sのローファーに一目惚れした。
いつもならここでピンポイントでその靴だけを試しに行ってしまうが、今回はダメだ。はやる気持ちを抑え、三越伊勢丹の計測サービスYourFit365を予約した。そして様々な靴ブランドを試させてもらった。
それ以外にも、靴売り場以外で様々なブランドの靴を履いていった。

目当ての靴も見に行った。
少しボリュームがあるフラットローファーで、大好きなデザイン。しかし履いてみる革が固く、甲のところについているバックルも甲に当たるため、痛みが出そうだった。「どこまでも歩いていける」感じはしない。

まだ試着1日目だったため、残念だけど他にもっと自分に合う靴に出会えるはずと思っていた。
しかし、その後どれだけいろんな靴を試着しても、それが足には合っていようとも、”あの靴”を忘れることはできなかった。

これには自分でも驚いた。

いやいや靴だよ?どれだけ好きなデザインであろうとも、履き心地より優先するものなんてないよ?

恋愛すらときめきより居心地の良さも方が大事だと思っているのに、靴でそれはないよ?

しかし、どうしても忘れられない。

忘れられないから、再度お店で試着させてもらう。

やはり革が硬く、甲に縫い付けられているバックルが当たる。長距離を歩くと痛くなりそうだ。
お店の方からも、この靴はそれによって購入を見送る人が多いと聞いた。

諦めて帰る。

でも、ふと立ち寄った百貨店の靴売り場に再度あの靴があるのを見つけ、これで最後という思いで試着をお願いした。

その時、ふと気づいた。毎回、微妙に履き心地が違う…?

特に今回は左だけ、甲へのあたりが気にならない。
最初は足のむくみ方かな?と思っていたのだが、YourFit365の計測結果とは異なる左右差だ。お店の方に聞いてみると、職人さんの手作業なので微妙な差分はあるかもしれないとのこと。

それなら、もしかして甲部分が少し当たりづらい靴もあるのでは?
そう言うと、お店の方は同サイズ在庫をすべて持ってきてくださり、履き比べさせてくれた。

「こっちは左(甲)だけきついです」などと言いながら試していき、ラストの3足目で「あ、これは行けそう」という組み合わせに出会った。

「これにします」と言った。

そうは言っても懸念はあった。歩くと甲へのあたりが完全にないわけではないし、お店の方に相談すると、バックルはしっかり縫い付けられているため靴を拡張させるシューズキーパーなどを使っても効果は低そうとのこと。

でも、私はどうしてもこの靴を履きたい。

足の形に合わないわけではない。これまでだって、最初は靴ずれしたけれど馴染んでくれた靴はたくさんあった。革が硬い靴だからこそ、馴染ませていけるはず。いや、馴染ませてみせる。

なんだか変な方向の覚悟を決め、お会計をした。

最初から長距離を歩くのは怖かったので、近所の買い物からはじめ、徐々に歩く距離を伸ばしていった。
やっぱり靴ずれは起こるし、歩く距離が伸びると甲に痛みも感じる。

でも、絶対にこの靴を相棒にしたい。

靴ずれテープを付け、甲には薄いクッションを仕込むことにした。

少しずつ距離を伸ばし、共に歩く場所は近所を脱し、会社や買い物へも行けるようになった。
そして数ヶ月間の期間を経て、ついに1日歩き回っても痛みを感じないようになった。

やった。やっと私はこの靴と相棒になれた。

安堵と、今はお互いお疲れ様でした!という気持ちでいっぱいだ。

正直、今度またこのレベルの靴を買うなら、最初から自分の足に馴染む靴を選びたい気がしているけれど、それでもこの経験はとてもよかった。
何より、私はこの靴を本当に愛している。
今は自分の足にしっくり馴染む一足だ。

やっと仲良くなれました。


ちなみに靴ずれ防止にはこのテープがとてもおすすめです。絆創膏よりきれいで強いです。


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