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スタートアップ管理部門のマネジメントは難しいという話。

2023年もそろそろ終わりに近づき、さぞスタートアップの管理部門の方はお忙しいことでしょう。

スタートアップの管理部門で、マネジメントを行っている中で感じる難しさと、目指すべきマネジメントについて考えてみたので、noteを書くことにしました。同じような境遇の方にお役に立てれば幸いです。

Xでも定期的に発信してます。
https://twitter.com/shun_tanak

なおマネジメントの難しさは既に数多くの書籍等で発信に譲ることにして、私は「スタートアップの管理部門」に絞って綴っていきたいと思います。



難しさ① メンバーよりも専門分野が詳しくない

スタートアップの管理部門は少数精鋭です。
そのため、機能単位で最少人数を配置することが良くあります。40~50名規模の会社だと、マネージャー+経理財務1名、法務 or 労務 1名、総務はみんなでのような管理部門が一般的かと思います。少数精鋭を求める分、メンバークラスの方でも一定の経験を求める場合に、マネージャーである自分がメンバーよりも、経理財務、法務、労務の細かい点まですべて詳しいということはあり得ません。
事業拡大やIPOを目指す過程では、専門領域での難関資格保有者(公認会計士、弁護士、社労士 etc)で、経験豊富な方の採用が必要となるケースはよくあり、マネージャーがメンバーよりも専門分野が詳しいという状況を継続することは難しいと感じます。

難しさ② 社内ロールモデルが少ない

これは難しさ①とも連動する部分もありますが、スタートアップの管理部門は少数精鋭です。
大手企業やメガベンチャーではマネジメントの先輩がたくさんおりますが、スタートアップでは"いたらラッキー"くらいに思ったほうが良いでしょう。マネジメントを人から盗み、学ぶというのは一定数マネジメントの母数が近くにいることが必要条件です。
機能単位で人員配置を行うスタートアップでは、社内でマネジメントのロールモデルを見つけることは難しいと感じます。

難しさ③ 経験年数とスキルの相関性が高くない

管理部門の採用で非常に難しいのが経験年数とスキルの相関性です。例えば、上場企業で経理経験が5年ありますと同じ経験年数を持った方でも、

・Aさん:連結決算、開示経験有
・Bさん:単体決算、監査法人対応経験有

で、同じ年数でも保有するスキルは全くの別ものです。またそれぞれの経験も、対応レベルがタスクレベルか、プロジェクトマネジメントレベルかでもだいぶ違います。

このメンバーは経理経験が5年あるという表層的な部分だけでマネジメントすると、メンバーの実力以上の仕事を任せてしまったり、逆にメンバーが手持ち無沙汰になってしまったりと組織運営上の問題が発生します。

チームメンバー一人ひとりに対して、どのような業務を、どのような役割で任せられるかを正確に理解しておくことが求められ、勿論、自分の専門外についても一定理解しておく必要があるために難しいと感じます。

スタートアップの管理部門のマネージャーはどうあるべきか

ここまで難しさを羅列していきましたが、その難しさを超えるために何をしたらよさそうかについてまとめていきたいと思います。

① プロジェクトマネジメント(ピープルマネジメント含)力を高める

会社が大きくなるにつれて、特定部署だけで進められるプロジェクトが減ってきます。(例:IPO準備、資金調達、ワークフロー導入など)
そんな時に、職人肌の管理部門メンバーをまとめて、円滑油になってプロジェクト推進できる人はだれでしょうか。

そう、管理部門のマネージャーです。

経理財務、労務、法務など各専門分野の知識、チームメンバーの経験を理解し、全体を俯瞰できる役割は管理部門のマネージャーしかいないのです。

全体を横串で俯瞰しながら、プロジェクト進行するために、プロジェクトマネジメントの経験は必要不可欠です。そして、職人肌気質の人材が多い管理部門だからこそ、ピープルマネジメントが出来る横断的な人材は貴重と感じます。

だから頑張りましょう。

② 遊軍になることを恐れない

プロジェクマネジメントばかりをやっていると、タスクが減ってきて不安に思うことが増えてくるかもしれません。(自分も自分の周りにもマネジメントレイヤーになったときに同じ悩みを持った方が一定いました)

ただ、チーム全員がタスクに追われ、短期的な視点しか持っていないと、3〜5年後に管理部がどうあるべきかの長期ビジョンをチームメンバーが持てずにモチベーションが下がるかもしれません。

そのため、将来を予測し、遊軍を演じる役割は管理部門内には必要で、それはマネージャーしかできないと思います。理由は①で述べたとおりです。

そして遊軍がいなければ、プロジェクトがピンチの時に関与しているメンバーが疲弊したり、最悪の場合はプロジェクトの失敗にも繋がるかもしれません。そのため、チームを俯瞰しつつ、マネジメントしつつ、プロジェクトによっては一兵卒として稼働する。こういう人が必要と感じます。

一兵卒として稼働するためには、チームメンバーが実施している業務を理解し、わからない部分は謙虚な姿勢を持ってメンバーに教えてもらうことが大切です。

だから頑張りましょう。

まとめ

AIの進化とともに、管理部門の業務はどんどん自動化されていくと予測されています。そしてマネージャーが持つ”管理業務”も同様に消滅していくと予測されています。

一方、国内では東京に限らず、スタートアップの数は増え続けています。

調達できたスタートアップはIPOやM&Aを目指し、事業拡大を行う。そのた
めには強い管理部門が必要不可欠です。経営者はみんなわかっています。

上記の2つの記事からわかることは、

・管理するだけのマネージャーは不要になる
・知識や経験だけある管理部門人材は不要になる
・スタートアップは増え続けおり、優秀な管理部門のマネージャーは必要

です。

プロジェクトマネジメント(ピープルマネジメント含)と、柔軟に役割を変更出来る管理部門のマネージャーはそう多くありません。どちらもそう簡単にできるようになるものではなく、だからこそスタートアップの管理部門のマネージャーは難しいのです。

線形のキャリアを描きにくい現在、過去の先輩方のキャリアをある程度参考にしつつも、令和時代に合った管理部門のマネージャー像を今後も模索していこうと思いますので、境遇が近い方や一緒に考えてくれる方がいらっしゃれば、ぜひご連絡ください!
(ワークショップとかやりたい)

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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