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幕開けは台風とともに。ANB TOKYO「感性の遊び場」展

ちょっと前に天気予報見てたときはVIPプレビューのタイミングはうまいこと避けられていた感じでよかったと思っていたのですが、直前になってみたらガッツリかぶってしまうという……もしや台風はVIPだったのか(違)。

ということで8月14日(一般公開日)から始まりました。六本木のANB Tokyoでのグループ展です。

この展示は当方の団体は「協力」というスタンスで、展示自体は作家の石場文子氏が参加しております。

展示作品は基本的に過去作で構成されていますが、この前YouTubeのコンテンツとして作家目線で見どころとか出展作について聞いたのがこちら

実はこの話を聞いていたとき、自分はイマイチよくわかってなかったのです。わかったフリをしておりました(笑

やはり現場に行って実際に自分の目で見て感じないとですね!……そういうことです(そういうことです)

今回の見所は個々の作家の面白さももちろんありますが、なんといっても空間の構成の巧みさではないかと思います。このへんはキュレーションのあり方でガラッと変わるものでもあるので、会場設計しているGROUPのアイディアもさることながら、企画者であるANB Tokyoアソシエイト・ディレクターの三木 茜さんの手腕であると。ANBは毎回「おおー」ってなりますけどね。
自分らもクレジットいただいている分、イチ観覧者よりも少しだけ自分事にさせていただいているのでなおさら贔屓目に見ているかもですが。
作品一点一点に注目もしつつも、作家間を越えてクロスして寄ったり引いたりしながら考えていくとなお良く。

とてもおもしろい展示になっていると思います。

フロアに入った瞬間は、わりとシンプルに見えるかもしれないですが、もし情報量を可視化できるとしたらすごいいろんな情報量の嵐の中にいることを実感することになるかもしれません。見えない密度というか。

展示入ってもテキスト情報はほぼないので、ホントに肌感覚は無風なんですけど。台風の目の中にいる感じかも(リアルに台風来ていたし)。

「あれ?」っていう部分に気がついたら怒涛の考察が始まる。そんな感じです。あるいは作家さんから話を聞くことで気がつく人もいるでしょう。
逆にいうとなにかしらのガイドというか、きっかけがないと難しい部分はある。

ウェブサイトに『「観察 / 所有 / 消費」がキーワードである』、ということも書いてあるので、そうかなるほど……!いや、これは究極的に「観察 / 所有 / 消費」への考察であり、ビシバシと問いかけてくるものがある、とも実はそもそも伏線は張られている。そんなことに初日終えて帰ってきてから思い返したり。

来場者にとっては「観察」ですね。これはポイントになりますので。ぜひお時間に余裕を持ってお越しください。

人によってさまざまなフックはあると思えるので、ぜひ探っていく姿勢で来ていただくと良いかと思います。与えられる情報に頼るな!自分の頭で考えるべし、ということでもあると。展示者として・鑑賞者としてのバランス感覚は難しい話題だと思いますが。

ちょっと話を戻すと冒頭のYouTube会話の中に出てくる「映像」作品、現地にはプリント作品とともに置かれているのですが、これもけっこう「知ってないとわからん・・」というのは正直多々あるかと思います。あえてヒントとしていうなら「時差」とか「時間軸」なんというか……「時間」?そういう停止しない流れ、みたいなところが自分としてはポイントかなと。
その上で他の作家さんの作品と交えて眺めても興味深く感じています。

特に写真やっている人間に見てほしい。と思いますね。シャッターを切るという瞬間的反射の行為について、思わぬ角度から問われているようにも感じました。
それとその付近には実はセラミックに印刷されている藤田さんの作品と、Amazon Basicというテーマを扱った臼井さんの作品があるのがまたおもしろいなと。ネットでの購買行為(Amazonみたいな大きなものは)の中でポチッとしたりカートに入れてそれが実体として届く(形になる)みたいな一連の流れって、写真的であるとも思ったり(実際の作品ステートメントはもうちょっと違うところにあるので、それはあくまで近隣に石場作品があることで誘発される個人的解釈ですが)特別なにものでもなさそうな記号的なものが確固たる形状を形成しようともがいているさまを構築しているように見える作品も、現象が現像される写真的な感触もなんとなく通じる部分はあるのではないかと。

ちなみに、前提情報やここまでの流れを知っているのとそうでないのとでは鑑賞する深さが違うことへのひとつの手立てとして、展示と直接的に関係はないオプション的な持ち込み物ではありますが、今回2015年あたりから2021までの石場さんの制作を俯瞰できる、ちょっとした手引となる冊子を作りました。
作品カタログ的な側面がありますが、これはオフィシャルガイドでもあります。

ANBの会場で入手するのだと送料かからないので、ちょっとお得です。

ちなみにKindle版もあります(ちょっと作り方の研究が足りなくてページベタ載せのものですが・・)https://lieulieu.official.ec/items/65785649 こちらはもうちょっとコスパは良いもしれません。
でもやはり紙媒体の方が、今回表紙とかもちゃんとしているので限定部数ですし、良いと思います……ぜひサンプル触ってみてほしい。
ただ、発色はやはりディスプレイ(発光しているRGB)の方が良いかも。 

と、そんなこんなで9月19日まで開催しておりますので、ぜひ木金土日お近くにお寄りの際はご高覧くださいませ。


展示会基本情報

出展作家|石毛健太、石場文子、臼井達也、長田奈緒、久保田沙耶、斉藤思帆、鈴木基真、永井天陽、藤田紗衣

会  期|2022年8月14日(日)~9月19日(月・祝)
会  場|ANB Tokyo 3F及び4F
住  所|港区六本木5-2-4(六本木駅から徒歩3分)
開催時間|木・金 13:00~19:00、土・日・祝 11:00~18:00
休 館 日|月・火・水(祝日の場合は開館)
入 場 料|一般/500円(税込) ※オンライン事前決済/400円(税込)
学生入場無料 ※学生証要提示
障がい者手帳等お持ちの方及び介助者1名まで入場無料 ※障がい者手帳要提示
予約サイト|https://reserva.be/anbtokyo

主  催|一般財団法人東京アートアクセラレーション
協  力|galerie lieu lieu、HARMAS GALLERY、Maki Fine Arts、Takuro Someya Contemporary Art
企  画|三木 茜(ANB Tokyoアソシエイト・ディレクター)
会場設計|GROUP
キービジュアル制作|藤田紗衣

あ、
あと、最近石場さんは名古屋市文化振興事業団 芸術創造賞を受賞したということで。おめでとうございます。ウチのメンバーのケビン氏が潜入……というわりにはオフィシャルカメラマンかよっていう圧倒的位置取りで撮影してきていただいた様子もぜひ。




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