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個展(作品発表の場)は点であるか線であるか。あるいはポリゴンかもしれないこと。

先日の石場文子個展「Shuttle Run 2022」はおかげさまで好評の内に会期を終了しました。

主だった部分は最終日に書いているところが大部分なので、こちらのリンクを貼るとして(過去の自分へ丸投げ)

改めて振り返りつつ作家にとっての個展(作品発表)という機会についてちょっと考えてみています。

そもそものところ作家が目的とする部分とはなんでしょうか、あるいはギャラリーとしての目的?今回は主催がARTDYNEさんで、この部分に関しては自分らは完全には語りきれない感じもありますが、いろいろ学ばせていただいて、それはそのまま石場さんの次のフェーズに向けていければと思ってもいます。

いずれにしても「販売」というのは一つの指標であるとともに、もうちょっと大局的な言い方をすれば、「作家(作品)の価値」の向上ということが言えると思います。
もちろん発表することで認知の更新や向上、などさまざまな要素もあると思うのですが。究極的にはアーティストとして生きていくためにというのがあると思うのです。まして企画として開催されるのであればそうですよね。

自主開催の個展やグループ展などであれば、あくまで発表の場だったり発信目的というのも大いにアリだと思います。

「販売」という観点。これは日本人的にイマイチ明言しにくい部分な気もしますが。なんだかんだ見て見ぬ振りをしている人も多い気もしています。もしかしたら無頓着な人も少ないかもしれないですね。
自分もどちらかというとあんまり細かい話は得意でないというか、変に縛られたくないと思ってしまいがちなので、よくも悪くもどうにもアバウトなのですが、改めてこの部分とちゃんと向き合わないといけないなと感じています。

「売る」ということは責任が伴うことである……と。

作家視点で言うと作品の物質的なクオリティはもちろんのこと、なぜそれが価値のあることであるのかという提示も明瞭に必要。と。それはわりとわかりやすい部分だと思うのですが、もうひとつ、先日石場さんとの会話の中で「個展の回数というか頻度」のことがなるほどな、と思うところがありまして。

個人的に発表できる機会があるなら規模は大きい方が良いし(まして作品点数やボリュームとして課題がないのであれば)回数も多い方が良い、と思っていた節があったのですが、ちょっと待てよ……と。

たとえば、一回の展示がひとつの点であるとしたら(展だけに点)、その間隔が短いと場合によりそのひとつひとつの点はどちらかというと小さなものになるし、それぞれの接続の線も短く、むしろ点線?……というかそれって破線?みたいな感じでちょっと脆い感じに逆になってしまうイメージという。

また、時間軸的に考えた時にA展→B展→C展と開催していくのは、一直線上にあるように思えていたのですが、特に今回の「Shuttle Run」のように行ったり来たりや場合によっては思考は右往左往縦横無尽に運動している過程の中のひとつの機会としたら、むしろ上下左右にポイントが点在してそのそれぞれがネットのように線を結び、もっというと面を作っていくようなイメージであるかも、と思いまして。
ここでも間隔(線の距離)が短いと囲われる面は小さいものがたくさんできる。小さい面がたくさんはある意味で細密な感じかもしれませんが、大きな面の集合になるには余計なポイントが嵩むし場合によっては変な凸凹になってしまう。ポリゴンも適正な数を持って時に大胆に置いていった方が滑らかな形状がスマートにできる……

この感じが伝わるかわかりませんが。わかりますかね。

観覧する側にしても多すぎるとむしろ飽和してしまうでしょうし、なんというかありがたみも薄れる、感じもある気がします。

細かなタッチポイントがあることは親近感などにはつながったり、活動自体が精力的な感じにも見えると思いますが、そういうのはそれこそSNSとかが有効なところで、「展示」というのはある意味大技として、ここぞというタイミングを持って「仕掛けていく」という……それもまた作家としての生存戦略なのかも。と。

もったいぶるわけではないですが、出しどころというのも大事なこと。

僕らなどは現状、拠点を持たない形で展開しているので、その利便性を上手く活かして展開していければ思っています。

ひとまず次は夏、そして秋・冬にご期待いただけましたら幸い。引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。

ところで

主催だったARTDYNEの直近(これを書いているタイミング)では次はART NAGOYAでも拝見した馬嘉豪(マ・ジャホウ)さんの個展のようなのでこれも楽しみにしています。6月18日(土)~7月3日(日)
https://www.art-dyne.com/

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