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スクワットは難しい


正しいフルスクワットには、
他のトレーニング種目には決してまねのできない効果があります。
マシンなどいうまでもありません。
中枢神経系の活動が大きく、身体のバランスと連携が向上し、
骨格への加重とそれによる骨密度の向上、
筋肉への刺激とそれによる成長、
結合組織への負荷とそれによる強化、
メンタル面のキツさとタフさ、
そして身体全体のコンディショニングなどが挙げられます。
故障でスクワットが行えない場合を除いて、
ウェイトトレーニングを行う人はすべて
正しいスクワットを覚えるべきです。
      ―――『スターティング・ストレングス』マーク・リペット


▼▼▼マッスルメモリー▼▼▼


長女が2017年9月に生まれた。
僕はその2ヶ月後、40歳になった。
人によっては10年前に同じ経験をしている。
早い人はもっと早いだろう。
40歳で初めて親になる、
というのはかなり遅い人だろう。
僕は考えた。
「子育ては体力」だという。
でも僕は「体力のなさだけには自信がある」
と公言するほど、虚弱体質で、
筋肉も少なく、体力がない。

これはまずい。
体力をつけなくては!
いろいろ考えたあげく、
当時僕の友人がちょうど筋トレを始めてて、
その恩恵について聞いていたので、
筋トレを選んだ。

そして2018年4月にジムに入会してから、
筋トレをかれこれ5年近く続けている。
1年前に引っ越してからはジムから遠くなったので退会し、
部屋にラックを組んで「ホームジム」でトレーニングしている。

筋トレの種目って、
もう無限とは言わないけど、
どこまで行ってもまだまだやってない種目がある、
ってぐらいたくさんある。
あまり変わった種目はやらないが、
5年間で試した種目は100種類は余裕で超えていると思う。
その中でもいくつか「思い入れのある種目」がある。
「好きな種目」はデッドリフトと、
トライセップスエクステンション。
なんか好きだ。

僕は体質でいうと、
とても筋肉がつきにくい。
内胚葉、外胚葉、中胚葉という、
体質の分類がある。
親指と小指で反対側の手首を握って、
重なれば外胚葉、
ぴったりくっつけば中胚葉、
届かなければ内胚葉型。
上から順番に筋肉がつきづらい。
内胚葉型はイージーゲイナーと言って、
たとえばトムブラウンのみちおくんのような、
脂肪も筋肉もつきやすく、
トレーニングもしてないのに怪力、というタイプ。
中胚葉は「標準体型」。
筋肉も脂肪もバランス良くつく。
外胚葉はアンガールズの山根さんのような、
ひょろひょろの体型になりやすい。

僕は骨が細く手足の長い外胚葉型なので、
筋トレをしても本当に筋肉がつきづらい。
それはそうなのだけど、その中でも、
ひときわ着きづらい部分と、
わりと着きやすい部分がある。

5年やって分かったのは、
僕は上腕三頭筋が比較的発達しやすいということ。

最近気づいたんだけど、
多分これは、
母親が小児ぜんそくの僕の体質改善のためにやらせた、
剣道のおかげのような気がする。
剣道は本当に毎週行きたくなくて、
何度かはサボったりもした。
マジでいやだった。
母親とケンカもした。
わりと苦々しい思い出として僕は剣道を思い出す。
結局小学校1年生から3年生ぐらい?まで、
3年ぐらいやったんじゃなかったかな。

あれが人生に与えた影響なんて考えたこともなかった。
でも、今、45歳になって、
上腕三頭筋が発達しやすいのは剣道のおかげかも、と気づいて、
少し過去を肯定することができた。

剣道の素振りって、
基本、上腕三頭筋のトレーニング種目と同じ動きなんですよね。
それを3年間、いやいやながらも毎週していたのだ。
で、マッスルメモリーっていうのがあって、
一度そのスポーツを辞めても、
二十歳までにやったスポーツの記憶を、
筋肉が細胞レベルで覚えているんですよね。

小さい頃水泳をやってた人なら、
20年以上のブランクがあっても、
大人になって筋トレをすると、
広背筋がやけに発達しやすいことに気づいたり、
サッカー教室通ってた人が、
大腿四頭筋の発達がすごく良かったり、
大学の部活でヨットやってた人なら、
老人になって長いブランクの後筋トレしても、
やはり背中と上腕二頭筋の発達がすごく良かったりする。

そういうこと。

、、、で、僕は上腕三頭筋が発達しやすく、
それゆえに上腕三頭筋の種目が好きだ。
デッドリフトは、なんか知らないけど好きだ。
デッドリフトって、筋トレのほとんどの種目とは逆で、
手足の長い人に有利な種目らしく、
それも関係があるかもしれない。


▼▼▼好きな種目▼▼▼


でも、「好きな種目」とは別に、
「思い入れのある種目」というのもある。

それが、
1.ベンチプレス
2.スクワット
3.ミリタリープレス

の三種目なのである。

ベンチプレスについては説明不要だろう。
筋トレしてる人で、
ベンチプレスにハマったことのな人なんていない。
それぐらいポピュラーな種目。
とにかく楽しい。
重量が伸びていくのも、
コンパウンド種目にしては疲れないのも、
あと、大胸筋という、
鏡で一番確認しやすい部分がわかりやすくパンプするのも。
「ごほうび」が多いのだ。

筋トレしてる人が筋トレしてる人に出会ったとき、
名前を紹介しあった後に、
90%の確率でする会話は、
「ベンチプレス何キロですか?」である。
それぐらいポピュラーなのだ。

「このあいだ1レップだけですけど100キロ挙げました」
「え? すごいじゃないですかー。
 僕なんて80キロが限界で、
 今やっと70キロでセット組めるようになったぐらいですよ」
「いやいや、70キロでもしっかり効かせれば、
 相当すごいですよ。
 、、、ていうか、胸、でかくないですか?」
「いやいやそんなことないですよ」
「僕よりでかいですよ。
 うらやましいなー、
 特に上部が発達してて凄いですね。
 うらやましいなー。
 胸囲何センチぐらいあるんですか?」

もう、片方が女性だったら現行犯逮捕である。

でも、筋トレLoverたちは、
プロテイン片手にこういう会話をしているのである。

本当だ。

信じてほしい。

そんで、ミリタリープレス、
これに関しては今日は話す時間がない。
この種目は2年ぐらい前に出会って、
それからずっと真面目にやっている。
筋トレのなかで一番「重量が伸びづらい種目」だと僕は思っている。
最近やっと45キロで5回挙げられた。
ここまで来るのに本当に大変だった。
でも、とても良い種目。
今のフィジークのトレンドで、
とにかく肩を大きくしたい人が多い。
サイドレイズとかみんなやりたがるんだけど、
遠回りのようにに見えて、
コンパウンド種目のミリタリープレスが、
実は近道なのではないかと最近思うようになった。


▼▼▼スクワットは難しい▼▼▼


そして今日のメインテーマ、
スクワットである。

スクワットはたぶん、
すべての筋トレ種目のなかで、
一番難しい。
デッドリフトが一番難しい、
という人もいるが、
先ほど言ったように僕はわりと得意なので、
スクワットが一番難しい。

本当に難しい。

調子に乗って「100キロ10回できた!」
と思ってたら、
実はまったく深くしゃがめておらず、
パラレル(膝が床と水平)までしゃがんだら、
50キロでも挙がらないことに気づき愕然とし、
また50キロに戻って練習するのだけど、
重量を増やすと無意識にしゃがみが浅くなり、
またフォームを直して重量を落として、、、
というのを、この5年でかれこれ5、6回は繰り返して、
今、重量を落として、
「またイチからやり直し」の段階にある。

本当に奥が深い。

僕は手足が長いのと、
ハムストリング(もも裏)の柔軟性がもともとないのが相まって、
正しくスクワットすることが本当に難しい。
ボトムポジション(深くしゃがんだ状態)で、
力が完全に抜けてしまって、
軽い重量でも切り返しができない。

今は切り返しを重点的に練習している。
もう、スクワットは筋トレではないのかもしれない、
と思い始めている。

フィギュアスケートの4回転とか、
卓球のチキータとか、
サッカーのヒールリフトとか、
野球のツーシームボールを投げるとか、
そういうのと同じように、
「その動作自体がスポーツ」のような気がしてくるのだ。
「それができること自体が大きな達成」というような。
筋肉が発達するかどうかは、
副産物にすぎない。

ただ足の筋肉のことだけ考えるなら、
ブルガリアンスクワットで十分なのだ。
だけどスクワットをやるのは、
「できない、でもいつかやりたい!」
という、子どもの頃暗くなるまで野球やサッカーを練習した、
あの頃の「体が思うように動かせた喜び」の延長にあるもののような気がしている。

僕は死ぬまで、スクワットをできないかもしれない。

でも、やり続けたい。

「あーい、とぅいま、てーん!!!」
で有名な、
芸人の「ですよ。」さんが、
「チョココロネ」という、
彼の代表的なネタを、
もう20年磨き上げている。
(ちなみにクソつまらない)

、、、でも、
「最高のチョココロネ」は、
まだ一度もできたことがないという。
もう、頭イカてると思うんだけど笑、
なんか、その姿を見ていると感動に変わってくる。
ほら、
「20●●年●月の○○ホールでやった、
立川談志の「芝浜」聞いたことあるか。
あれ聞いたら落語家やめたくなるぞ」
みたいな話しがあるじゃん。

「ですよ。」さんにとって、
「チョココロネ」はそういうものになっている。
そのパッケージで見ると、
最高に面白い。

面白すぎる。

ですよ。さん、
最高である。

で、僕にとってのスクワットは、
ですよ。さんのチョココロネなんですよね。
最近はタブレットで自分で撮影して、
自分のスクワットフォームをチェックして、
改善を繰り返している。

僕が「最高のスクワット」をするのが先か。

ですよ。さんが「完璧なチョココロネ」をするのが先か。

僕の妻をはじめとして、
マジで宇宙の誰も興味ないと思うけど、
僕は本気でやっている。
最高のスクワットができた暁には、
ひとり祝杯をあげようと思っている。

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参考文献および資料
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・『スターティング・ストレングス』マーク・リペット



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