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今年の心配:もしホントに政治が刷新されたら?

自民党の政治刷新本部の会合があり、熱い議論が交わされたようです:

その議論内容は:
派閥は解消すべきである。
②(派閥存続を前提に)派閥パーティーを禁止すべきである。
③(派閥存続を前提に)派閥は組閣・内閣改造に際して閣僚候補の推薦をやめるべきである。
政治資金規正法を改正し、連座制導入を含む罰則強化を求める。

②③の議論からも、派閥が集金機構であり、かつ、閣僚を作り出す装置であることがわかります。

今回の裏金スキャンダルが明るみに出た時、1988年に発覚したリクルート事件に匹敵する大事件、と報道されました。
その当時も『政治と金』の問題は散々議論され、『刷新』されたはず。
では、どのように『刷新』されたのでしょうか?

1990年代に入って政治改革が議論され、企業や労働組合からの献金を制限する代償として、1994年に政党助成法を含む政治改革四法が成立し、導入されたのです。
使途に制限がない『政党交付金』が毎年国庫から(つまり税金から)支給されることになりました(2024年は総額315億円)。
でも、企業献金はその後も認められており(額などには制限)、これとは別にパーティー券購入が実質的な献金となっています。
だから、前回の政治改革は、使い途の制限がない『政党交付金』を合法的に得られるようにしたことが『焼け太り』と表現されることもあります。

さて、今回はどうなりますか?

議論②は、派閥パーティー禁止だけなので、国会議員個人のパーティーは相変わらず催されるのでしょう。
もしパーティー自体が禁止されたら、議員秘書は仕事がなくなるかもしれません。

各方面に体当たりで取材をされていたnoterさん、QOLアゲアゲ星人さんの記事に、2021年秋の衆院選候補者の選挙後援会事務所を訪問し、議員秘書Sさんに尋ねる場面がありました:

議員秘書ってふだんなにしてるんですか?」って聞くと「パーティー券を売っています」とS氏。

選挙事務所にいこう♡自民党編!|QOLアゲアゲ星人 (note.com)

これには深く感銘を受けました。
noteの中で1番(ある意味)心に響いた2行かもしれない。

《そうか、パーティー券を売ることが、議員秘書にとって最も重要な仕事なんだ!》
おそらく、ホントにそうなんだ ── と想像します。

議論③の結果も心配です。
大臣や副大臣になりたい人は、これまで派閥の親分に押し込んでもらっていたけれど、それができなくなるわけです。
これはたいへんなことです。
大臣になって権力を振るいたい人もいるのでしょうが、多くは(私見です)『名誉』の方が重要なのでしょう。『名誉』といっても次の選挙で箔がつき当選しやすくなるという『実』も伴うし、大臣に就くことで叙勲の格も上がったりするそうですから。

大臣を務まる能力の持ち主しか大臣になれないのだとしたら、何回当選しようがこの『名誉』にあずかることができない与党国会議員がでてきます。
「それ、国にとってはいいことじゃん!」
いやいや、甘く見てはいけない ── 前回のような『焼け太り』的ルール変更があるかもしれません。

それで、ふと脳裏をよぎったのが、先週の『政治刷新本部メンバー表』です:

やたらと肩書を乱発していましたよね:

日経電子版2024年1月10日 19:18 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1070X0Q4A110C2000000/

本部長 1人
本部長代行 1人
本部長代理 5人
副本部長 7人
のように。

この『政治刷新本部』組織を見習って、各省の大臣、副大臣に加え、例えば財務省では、

財務大臣代行、財務大臣代理、財務大臣補佐、副財務大臣代行、副財務大臣代理、副財務大臣補佐、……

とポストを乱発し始めたらどうしましょう?
与党の国会議員は誰もがナントカ大臣の肩書を持ち、
「それなら、派閥が閣僚候補の推薦をやめてもOK」
と全員Happyで『刷新案③』を受け入れるかもしれない。
いや、かつて副大臣ポストを作ったくらいだから……

さて、ここでマジメに:
政治資金規正法を改正し、連座制導入を含む罰則強化を求める。
これが一番『再発防止効果』がある(というか、これしかない)けれど、どうでしょうか? 覚悟があるかな?
あと、『使途に制限がない』という点(政党交付金だけでなく、各議員に支給される文書通信費も)、『刷新』した方がいい、とこちらもみんなわかっているはず。さて?

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