見出し画像

#010 【書評】無形資産が時価総額の8割を占める時代

無形資産が時価総額の何割を生み出しているでしょうか?答えは8割です。

フィナンシャルタイムズのベスト経済書に選ばれた「無形資産が経済を支配する」を読み進めています。本書の中から、経済ニュースを理解する上で有用なポイントを整理します。

本書では、2006年時点で時価総額世界一だったマイクロソフトの事例が取り上げられています。同社の時価総額のうち、工場や設備といった伝統的な有形資産が占める割合はわずか1%だったというから驚きです。

そもそも無形資産とは?

そもそも無形資産とは?

無形資産とは、たとえば企業の持つデータやノウハウ、ブランド価値といったものを指します。一方、有形資産とは工場や機械を筆頭にカタチを持つモノを意味します。

これらの無形資産は、バランスシート上には表されないケースが大半です。ハーバード大ビジネススクールのミヒル・A. デサイ教授は以下のように述べています。

会計士は価値を正確に把握できない限り、無形資産に価値をつけない。
例えば、コカ・コーラはものすごく貴重なブランドを有している。
だが、そのブランドがどのくらいの価値を持つかは、正確にはわからない。
そこで会計士はそれを無視する。会計における保守主義の原則だ。
―「How Finance Works」より

無形資産投資が有形資産を逆転

無形投資が有形投資を逆転

アメリカとヨーロッパでは、2008年のリーマンショック時期を境に無形投資が有形投資を上回っています。そしてそのギャップが広がりつつあります。

このデータは国ごとにバラつきがあり、無形投資に積極的だったアメリカとイギリスでは、1990年代半ばから後半にかけて、無形投資がメジャーになっています。

無形資産が時価総額の8割を占める

無形資産が時価総額の8割を占める時代に

上記のグラフは、無形資産の重要性が高まりつつあることを示しています。アメリカのS&P500構成企業の時価総額のうち、無形資産が生んだ価値の比率は84%に達しています。

つまり、時価総額の8割は無形資産が生み出しているということです。機械や不動産といった伝統的な有形資産から、知識やデータ、ネットワーク等の無形資産に価値の源泉が移っています。

今回は以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?