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第45回日本アカデミー賞を受けて

みなさんこんにちは。
今回は昨日発表された日本アカデミー賞のノミネーションをみてみようと思います。

そもそも…

日本アカデミー賞とは何かというと、

「日本映画人による日本映画人のための日本映画の祭典を」
 米国アカデミーAcademy of Motion Picture Arts and Scienceの正式許諾を得て日本アカデミー賞協会Japan Academy Prize Associationが発足(世界で許諾を得ているのは日本とイギリス・アカデミーのみ)。1978年、米国と同様に映画人が選ぶ映画賞・日本アカデミー賞Japan Academy Prizeが誕生。

日本アカデミー賞公式HPより抜粋

要は米国アカデミーから許可を得て同様のシステムで運用している映画賞です。

ただ、最初の方こそは割とまともな選考をしてきましたが、最近は「えっ?」と思うようなノミネートや受賞を平気で行うようになり、映画ファンからはほとんど無視されているような賞です。

黒澤明がノミネートを辞退したり、樹木希林が壇上で「まともな映画賞になることを願っています」と皮肉を込めて発言したりと、まともな映画ファンなら疑問符を抱くであろう結果であることが多いですね。

ノミネート比較

前哨戦結果と日本アカデミー賞のノミネーションを比較してみます。

作品賞

『ドライブ・マイ・カー』
『護られなかった者たちへ』
『キネマの神様』
『すばらしき世界』
『孤狼の血 LEVEL 2』

こちらが日本アカデミー賞のノミネーション

そしてこちらが前哨戦結果のポイント数です。どうでしょうか。個人的にはいつもに比べればましな感じがします。
ただ、『キネマの神様』に違和感を覚えますね。前哨戦での結果もよくないですし、評価もよくないのに何故?という印象です。
そして後述しますが、『空白』『茜色に焼かれる』『由宇子の天秤』といった評価の高いインディー作品が完全無視されています。

監督賞

濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』
西川美和『すばらしき世界』
白石和彌『孤狼の血 LEVEL 2』
瀬々敬久『護られなかった者たちへ』
成島出『いのちの停車場』

以上が日アカのノミネーション

そしてこれが前哨戦結果です。
前哨戦トップの『空白』『BLUE/ブルー』の吉田恵輔、そして同率2位の『茜色に焼かれる』『アジアの天使』石井裕也が外れました。
一番疑問なのは『いのちの停車場』成島出ですね。いや、『八日目の蝉』や『グッドバイ』とか好きな監督ではあるんですよ。でも吉田恵輔や石井裕也を押しのけてまで?というのが正直なところです。

主演男優賞

役所広司『すばらしき世界』
松坂桃李『孤狼の血 LEVEL 2』
西島秀俊『ドライブ・マイ・カー』
佐藤健『護られなかった者たちへ』
菅田将暉『花束みたいな恋をした』

以上が日アカのノミネーションです。

ここに関しては割と納得だなという感じではあります。ただ、同率2位の『空白』古田新太が外れたのは明らかなインディー映画軽視という気がします。

主演女優賞

永野芽郁『そして、バトンは渡された』
吉永小百合『いのちの停車場』
天海祐希『老後の資金がありません!』
松岡茉優『騙し絵の牙』
有村架純『花束みたいな恋をした』

問題はこれですよ。前哨戦でトップを走っていた『茜色に焼かれる』尾野真千子がまさかの落選!もうどこから諌めていいのか分かりません。
有村架純は妥当でしょう。でもその他はどうですかね?投票した人は『茜色に焼かれる』とか『由宇子の天秤』とか本当に観たんでしょうか?あと吉永小百合はもうそろそろやめません?松岡茉優は確かに上手いです。ただ『騙し絵の牙』はアンサンブル演技だと思うので、この部門で入ってくるのはいただけないですね。
映画ファンと一番乖離した部門はここだと思います。呆れるしかないですね。
僕なら尾野真千子『茜色に焼かれる』、門脇麦『あのこは貴族』、有村架純『花束みたいな恋をした』、瀧内公美『由宇子の天秤』はマストで入れると思います。

助演男優賞

阿部寛『護られなかった者たちへ』
鈴木亮平『孤狼の血 LEVEL 2』
堤真一『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』
仲野太賀『すばらしき世界』
村上虹郎『孤狼の血 LEVEL2』

ここは今年弱い部門であり、鈴木亮平と仲野太賀が入ったのはよかったです。ただ、『ドライブ・マイ・カー』岡田将生が落選しました。そこだけが残念ですかね…

助演女優賞

石原さとみ『そして、バトンは渡された』
清原果耶『護られなかった者たちへ』
草笛光子『老後の資金がありません!』
西野七瀬『孤狼の血 LEVEL 2』
広瀬すず『いのちの停車場』

なにこれ?本当に呆れるしかないですよね。前哨戦結果からして清原果耶はまだ分かるとして他は全く納得できません。
『ドライブ・マイ・カー』三浦透子がノミネートされないってどういうこと?また、とことん『茜色に焼かれる』『空白』『あのこは貴族』を無視するんだなというのが落胆するばかりです。
一応新人賞に三浦透子は入ってますが、同じく新人賞に入ってる西野七瀬は助演女優賞に入ってるのに三浦透子は入らないって何?というか新人じゃないんですけど…

総括

日アカの「何これ?」感は毎年ありますけど、今年は割とマシだと思います。
ただ、映画ファンからの評価が高い『茜色に焼かれる』『空白』『あのこは貴族』『草の響き』などが全く無視され、技術賞もほぼ作品賞の5作品と『いのちの停車場』で占められています。
せめて結果だけはまともであって欲しいと願うばかりです。間違っても『キネマの神様』が作品賞とかはなしで…

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