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【ノミネート予想】第96回アカデミー賞

みなさんこんばんは。
本日は、現地時間23日に発表されるオスカーノミネーション予想をしていきます。


作品賞

オッペンハイマー

◎『オッペンハイマー』
◎『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
◎『バービー』
◎『The Holdovers』
◎『哀れなるものたち』
◎『American Fiction』
○『マエストロ : その音楽と愛と』
○『落下の解剖学』
△『パスト・ライブス/再会』
△『カラーパープル』

次点 : 『関心領域』『Origin』

 前哨戦からみて『オッペンハイマー』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『バービー』『The Holdovers』『哀れなるものたち』『American Fiction』の5作品は間違いないでしょう。あえて言えば『バービー』はオスカー向きではないですが、10作品固定ということでまぁ入る。
 『マエストロ』は普通に考えれば入るのですが、作品の勢いが落ち着いてきているのが懸念点ではあります。英国アカデミー賞には漏れましたが、それは5枠だから。10枠なら入るでしょう。フランスの『落下の解剖学』も今の勢いなら入るとは思います。昨年の『逆転のトライアングル』枠でしょう。
 『パスト・ライブス/再会』は前哨戦でも強かったですし入りそうですが、次点の作品と入れ替わってもおかしくない位置に思えます。一番の問題は『カラーパープル』で、PGAとGGを落としています。GGはドラマ部門、コメディ・ミュージカル部門10枠あるのにそこに入ってこなかったというのは痛いですよね。ですがここにきて勢いを盛り返してきている印象で、次点の作品よりは有利な位置にいるのかなと思います。
 『関心領域』はCCでほぼ無視されたのが気になります。一番批評家ウケしそうなのに。『Origin』は前哨戦では全く顔を出していませんでしたが、ここにきて強力なキャンペーンを展開中。サプライズ指名があってもおかしくないと思います。
 個人的には『May December』がめちゃくちゃ面白かったので入って欲しいけど流石に無理か…

監督賞

The Holdovers

◎クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』
◎マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
◎ヨルゴス・ランティモス『哀れなるものたち』
○グレタ・ガーウィグ『バービー』
△アレクサンダー・ペイン『The Holdovers』

次点 : セリーヌ・ソン『パスト・ライブス/再会』、ジュスティーヌ・トリエ『落下の解剖学』

『オッペンハイマー』クリストファー・ノーラン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』マーティン・スコセッシ『哀れなるものたち』ヨルゴス・ランティモスの3人は確実でしょう。そして受賞もこの中から出るでしょう。BAFTAではスコセッシ、ランティモスが落ちるという波乱がありましたが、流石にアカデミー賞で落ちることはないと思います。
 同様にBAFTAから落ちたとはいえ『バービー』グレタ・ガーウィグも確実ではあります。ただ、上記3人とは異なり、『バービー』は演出が評価されるタイプの映画ではないのが懸念点ではあります。同じ女性監督であれば『パスト・ライブス』セリーヌ・ソン『落下の解剖学』ジュスティーヌ・トリエの方が作家性という面で評価されるのかも。特にトリエはパルムドール枠ということで浮上する確率がゼロではありません。
 アメリカの賞ということを考えるのであれば、『The Holdovers』アレクサンダー・ペインも外せません。ただ、ペインは今までの傾向から考えると脚本が評価されてきたタイプなので、落ちる確率もある程度考慮すべきでしょう。ペイン好きとしてはぜひ入って欲しいですが。監督賞はだいぶ混戦状態ですね。

主演男優賞

ジェフリー・ライト

◎キリアン・マーフィー『オッペンハイマー』
○ブラッドリー・クーパー『マエストロ : その音楽と愛と』
○ジェフリー・ライト『American Fiction』
○ポール・ジアマッティ『The Holdovers』
△コールマン・ドミンゴ『ラスティン : ワシントンの「あの日」を作った男』

次点 : アンドリュー・スコット『異人たち』、レオナルド・ディカプリオ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

 ここは難しい。『異人たち』アンドリュー・スコット『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』レオナルド・ディカプリオのどちらも入る可能性があるコンテンダーでしょう。『ラスティン』コールマン・ドミンゴの枠が不安定であり、どちらかが入ってもおかしくないと思います。
 『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー『マエストロ』ブラッドリー・クーパー『American Fiction』ジェフリー・ライト『The Holdovers』ポール・ジアマッティの上位4人は確実に入るでしょう。『マエストロ』は作品の勢いが弱いこと、『American Fiction』は黒人俳優として『ラスティン』と票が割れる可能性があること、ポール・ジアマッティは『サイドウェイ』の前例があることがそれぞれ懸念点ではあります。

主演女優賞

エマ・ストーン

◎リリー・グラッドストーン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
◎エマ・ストーン『哀れなるものたち』
○キャリー・マリガン『マエストロ : その音楽と愛と』
△ザンドラ・ヒュラー『落下の解剖学』
△アーンジャニュー・エリス『Origin』

次点 : マーゴット・ロビー『バービー』、アネット・ベニング『ナイアド その決意は海を越える』、グレタ・リー『パスト・ライブス/再会』

 この部門は激戦、誰が落ちても不思議ではありません。特にBAFTAで『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』リリー・グラッドストーンが落ちたのはびっくりでした。しかしGGでは受賞していますし、流石にオスカーで落ちるとは考えづらい。同じくGGを受賞した『哀れなるものたち』エマ・ストーンも確実に入るでしょう。この二人の一騎打ちです。
 『マエストロ』キャリー・マリガンは落ちる可能性もありますが、かなりオスカー会員からは愛されている印象。『プロミシング・ヤング・ウーマン』では受賞一歩手前で敗れましたが、そろそろとらせてあげたいところ。『落下の解剖学』ザンドラ・ヒュラーは作品に勢いがある事が大きな強みです。そして昨年の『トゥ・レスリー』アンドレア・ライズボロー枠になりそうなのが『Origin』アーンジャニュー・エリスでしょう。ただ、いささかキャンペーンが遅すぎた印象で、ギリギリラインであることは間違いないでしょう。受賞は流石にない。
 『バービー』マーゴット・ロビーは主演女優賞向きの演技ではないこと、『ナイアド』アネット・ベニングは作品に勢いがないこと、『パスト・ライブス』グレタ・リーはインディペンデント映画であることがそれぞれの不安材料です。この三人ならアネット・ベニングを推したいところではあります。

助演男優賞

ライアン・ゴズリング

◎ロバート・ダウニー・ジュニア『オッペンハイマー』
○ライアン・ゴズリング『バービー』
△マーク・ラファロ『哀れなるものたち』
△ウィレム・デフォー『哀れなるものたち』
△ロバート・デ・ニーロ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

次点 : チャールズ・メルトン『May December』、スターリング・K・ブラウン『American Fiction』

 助演はどちらも受賞者が決まっているようなものですね。ここは『オッペンハイマー』ロバート・ダウニー・ジュニアでしょう。CCとGGを受賞、BAFTAとSAGでもしっかりとノミネートされています。
 ここで注目なのは『哀れなるものたち』からWノミネートなるか、ということだと思います。前哨戦ではマーク・ラファロが強そうでしたが、SAGではまさかのウィレム・デフォー単独ノミネートでした。この作品が好きな私としてはWノミネートされてほしいですがなかなか厳しいかな。
 『バービー』ライアン・ゴズリングはある程度確実ですが、作品に引っ張られやしないかという心配があります。『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ロバート・デ・ニーロは当落線上にいるのは確かで、他の人と入れ替わってもおかしくないですよね。
 批評家賞では大受けしていた『May December』チャールズ・メルトンは重要賞で失速、勢いがなくなってきています。『American Fiction』スターリング・K・ブラウンはSAGにノミネートされ急浮上しています。
 受賞者は決まっていますがノミネートで波乱が起きるでしょうか。

助演女優賞

ダニエル・ブルックス

◎ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ『The Holdovers』
◎ダニエル・ブルックス『カラーパープル』
○エミリー・ブラント『オッペンハイマー』
△ジョディ・フォスター『ナイアド その決意は海を越える』
△ペネロペ・クルス『Ferrari』

次点 : ジュリアン・ムーア『May December』、レイチェル・マクアダムス『神さま聞いてる?これが私の生きる道?!』

 ここも受賞者は『The Holdovers』ダヴァイン・ジョイ・ランドルフでしょう。助演男優賞と同じく批評家賞はもとより重要賞でも独占状態。そんなランドルフを追いかけるのはここにきて勢いを加速させている『カラーパープル』ダニエル・ブルックスでしょうか。『カラーパープル』からは唯一有力な演技賞候補ということで『カラーパープル』ファンはここで投票するはず。
 『オッペンハイマー』エミリー・ブラントは作品の力が強力で、それに引っ張られてノミネートまではいくでしょう。長らく一線からは退いてきた『ナイアド』ジョディ・フォスター、オスカー会員のお気に入り『Ferrari』ペネロペ・クルスが入るかどうか、ギリギリラインでしょう。
 個人的には『May December』ジュリアン・ムーア(素晴らしい演技!)や『神さまきいてる?』レイチェル・マクアダムスが入ってきたらサプライズとして面白いと思っているのですが。特にマクアダムスはここ最近の急浮上が凄く、ノミネートされてもおかしくないです。

長編アニメーション映画賞

ニモーナ

◎『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』
◎『君たちはどう生きるか』
○『マイ・エレメント』
○『ニモーナ』
△『ロボット・ドリームス』

次点 : 『チキンラン : ナゲット大作戦』『ミュータント・タートルズ : ミュータント・パニック!』

 『スパイダーマン』『君たちはどう生きるか』はノミネートは当然、どちらが受賞するかということでしょう。
 『マイ・エレメント』は評価がイマイチ奮わなかったですがピクサーですし、ノミネートまでは間違いなさそうです。『ニモーナ』はNetflix作品ですが評価が高いですよね。『ジェイコブの海の怪物』で実績もありますし入るでしょう。
 あと一枠の争いになりそうです。個人的にはクオリティが高そうな『ロボット・ドリームス』がサプライズ指名を受けて欲しいです。

国際長編映画賞

雪山の絆

◎『雪山の絆』(スペイン)
◎『関心領域』(イギリス)
○『枯れ葉』(フィンランド)
△『PERFECT DAYS』(日本)
△『The Teachers' Lounge』(ドイツ)

次点 : 『ポトフ 美食家と料理人』(フランス)、『マリウポリの20日間』(ウクライナ)、『Io capitano』(イタリア)

 スペインの『雪山の絆』イギリスの『関心領域』は間違いなく入るでしょう。フィンランドの『枯れ葉』も。カウリスマキは『過去のない男』でもこの部門に入っており、好きな人は多いと思われます。
 あとの2枠は正直全く分かりません。ここでは日本の『PERFECT DAYS』ドイツの『The Teachers' Lounge』を入れましたが、ショートリストに残ったどの作品と入れ替わっても不思議ではありません。特に可能性が高いと思われるのはウクライナの『マリウポリの20日間』でしょうか。ウクライナ侵攻という問題が世界を覆っている今、長編ドキュメンタリー映画賞とのWノミネートを受けてもおかしくありません。フランスの『ポトフ』、そしてイタリアの『Io capitano』は前哨戦でいくつか入っており、またこの部門常連の国で気に入りそうな気がします。

長編ドキュメンタリー映画賞

Bobi Wine : The People's President

◎『マリウポリの20日間』
◎『ビヨンド・ユートピア 脱北』
○『ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー』
○『STILL : マイケル・J・フォックス ストーリー』
△『Bobi Wine : The People's President』

次点 : 『Four Daughters』

 ここもどれが入れ替わってもおかしくないと思います。とはいえウクライナの『マリウポリの20日間』、そして北朝鮮問題を扱った『ビヨンド・ユートピア』は前哨戦でもいい成績を残しています。
 前哨戦という意味で言うと『ジョン・バティステ』『STILL』もそれ以上にいい成績ですが、英語圏の個人にフォーカスしたドキュメンタリーって本選に残りづらいんですよね。著名人のドキュメンタリーでいうとビリー・アイリッシュやレディー・ガガのドキュメンタリーもオスカーには残らなかったことを考えると当落線上にいると考えるのが普通でしょう。社会性のある『Bobi Wine』やアート的な『Four Daughters』が滑り込んできても不思議ではありません。

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