編集者×キャリコン視点から見た、著者デビュー作限定書評#1 『聖域』(YouTuber・コムドットやまと)


今回から、タイトル通りの読書ログを書いていきます。ポイントは、以下の二点。

書籍編集者的…なぜこの本が売れているのか。著者を目指す人がそこから学べることは何か

キャリアコンサルタント(以降、キャリコン)的…この本の著者は出版までにらどんなキャリアを築いてきたのか。またこれからどのようなキャリアを築いていこうとしているのか。そこからキャリアに悩む人が学べることは何か

つまり、「その著者の最初の一冊目の本」を研究しようという試みです。

一冊目は、この本。
『聖域』(コムドットやまと著・KADOKAWA)

◉内容…YouTube登録者数200万人超えのユーチューバー・コムドットのやまとさんが
◉誰に…コムドットのファン、そして僕のような「コムドットってなに?」的なおっさん、おばさんたちに
◉何を…自己肯定感の高め方と成功するための方法を書いた本

まあ、中身は「普通」です。行動しろ、と根拠のない自信を持て、の二点。半分はファンしか意味のないフォトエッセイ。

でもこの本にした理由は、編集者としてもキャリコンとしても興味があったからです。

今年43歳の僕は、ユーチューバーという存在を、職業としてなかなか認められないギリギリ下の世代だと感じています。基本的に人の暇潰しでお金を稼ぐって仕事としてどうなの?と。

ただ、これは岡田斗司夫さんのいう「評価経済社会」や山口周さんのいう「『便利さ』よりも『意味がある』ことが価値される時代」が浸透してきている証拠なんだろうと考えるようになってから、だいぶ柔らぎました。

要は、経済成長が達成された日本では、価値そのものよりも評価によって経済的価値がつけられる。

この著者のやまとさんは同じ大学のちようど20年後輩なんですけど、東大でも早稲田でも慶應でもなく、やんちゃしてるように見えてもそつなく安定企業に入るイメージの上智大生(僕もそのつもりでしたが、あにはからんや。入って二年で民事再生になりました)からこういう振り切った人が出てきたか、と感慨深いものがあります。

一部上場企業でも保証はされない時代。
そして人からの評価、つまりいいね!やチャンネル登録がその人にとっての意味になった時代。
この著者は300万人と公言していますが、きっと達成するでしょう。

一方キャリコン的には大丈夫かな?というもあります。結局暇潰しの提案しているにすぎないから。ネタが尽きたら文字通り終わりです。そういう意味では体力と企画出しの労力が持続する30代前半くらいまでしかできない仕事だと思います。それが証拠に、40代のユーチューバーってほぼいませんからね。

ホリエモンこと堀江貴文さんの哲学にと通じるけど熱中しているならそれでいい。そういう時代なんだだとあらためて考えさせてくれる一冊でした。

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