凍える指でさえ、触れた結晶はすぐに形を失った。
なんて残酷な世界だろうか。
雪の降る夜、アスファルトの上でそのように思った。
静かだ。
今この白い世界には、私しかいないと思えた。
雪は音を吸収するから、という理屈を聞きたいのではない。
さっきの夜のしじまの理由を、聞きたいのだ。

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